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【日本大学】建築人の成功ノウハウを共有しあうことで,若手が活躍しやすい建築業界へ

一級建築士試験の大学別合格者数ランキングで毎年,トップに君臨する日本大学.その理由の一つが卒業者数の多さだ.建築系だけでも,理工学部,生産工学部,工学部,短期大学部の4学部5学科がある.その歴代卒業生たちによる同窓会組織が「桜門建築会」です.その会報誌の129号で「活躍する建築人」という特集が組まれ,そこへの寄稿を依頼されました.下記内容を寄稿させて頂きました.

2024年5月 129号

◆美食の町として地域全体が開花

スペイン北部にサンセバスチャンという町がある。この町には世界中から多くの観光客を集める魅力がある。それは美食体験だ。行列ができるような人気料理をこの町の飲食店が生み出すと、そのレシピを他の飲食店に公開・共有し、町全体でさらに進化・発展させていく。そんな美食レシピのオープンソース化によって、美食の町として地域全体が開花したのだ。

美食の町として地域全体が開花

このように、スキルやノウハウのオープンソース化による新たな価値の創造と進化の連鎖は、我々が手にするスマホのOSなど、コンピュータープログラミングの分野では以前から存在していた。

◆スキルのオープンソース化

僕がその話を知ったのは大学4年生の頃だった。同時に、僕は建築設計スキルのオープンソース化を夢みた。当時、建築デザインのスキルを身につけるには、アトリエ系設計事務所に就職し、過酷な労働環境に耐えながら習得(修行)せねばならなかったからだ。給料も安く、実家が裕福でないと建築家のもとで修行すら出来ない状況でもあった。そのため、建築家になることを諦めていく同期も少なくなかったのだ。
 
だからこそ、互いの建築設計スキルやノウハウを共有し合い、それらをみんなで磨き上げながら、業界全体を活性化させていく、そんな仕組みの実現を僕は切望した。
 
しかしながら、当時の僕はあまりに無力で、何も出来ないまま、結局、アトリエ系設計事務所に就職することになった。そして、人生に疲弊しながらも2年間の実務経験を積み、一級建築士試験の受験期を迎えた。
※当時は、大学の建築学科を卒業しても、2年間の実務経験を積まねば一級建築士試験を受験できなかった。
 
建築士受験においては、当時から資格学校に通学することが一般的で、高額な受講料がかかった。給料の安い僕のような若手設計者は、教育ローンという借金を背負って、受験勉強せねばならない。日々の仕事に追われ、勉強量不足や体調不良等により不合格となれば、借金だけが年々、積み上がっていく。
 
そんな実情を知った時、僕はそこにあるチャンスを見逃さなかった。
 
まだ、インターネット黎明期ではあったが、ネットを上手に活用すれば、独学でも一級建築士試験に合格できるノウハウをオープンソース化できると予見できたからだ。

◆一級建築士試験の合格ノウハウの共有

直近の合格者たちが、合格ノウハウを公開・共有し、それを次年度の受験生たちが実践しながらブラッシュアップしていく。そうやって、合格を成し遂げた暁には、次の受験生たちへそのノウハウを惜しみなく公開・共有する。そうやって、成功ノウハウを年々、みんなで進化・発展させていく仕組みの実現に僕は自分の人生をかけることに決めた。

今から25年も前の話だ。当時の僕は25才だった。
 
そうやって生み出された合格ノウハウは、書籍化され、インターネットの普及とともに、ネット上の口コミによって広まっていった。そして、独自に試験対策アプリを開発し、リリースするようになったり、東京都や大手建築系企業、建築士会などから依頼され、一級建築士育成プログラムをプロデュースするようにもなった。

母校の日本大学では、著書「法規のウラ指導(学芸出版社)」をテキストにして,毎年、100名程度の学生に建築法規について講義している。

近年では、日本大学を始め、様々な大学の学生たちに、無償で一級建築士試験対策をサポートするようになった。大学在学中から日々の講義内容とあわせて一級建築士試験勉強を進めておくだけで、大学卒業後、一発で建築士試験に独学合格できるからだ。一級建築士資格を取得できれば、その後のキャリア デザインも有利に展開できる。自分の建築キャリアをどのようにデザインしていくかを学生たちには,もっと本気で考えて欲しい.そうせねば,10年,20年なんて,アッという間に過ぎ去ってしまう.

◆建築(転職・就職)エージェント サービス

今、建築設計業界は、深刻な人財不足に悩まされている。一方で、いまだブラック企業が多く、建築設計という仕事に夢や希望を抱いて設計事務所に就職した若手設計者がうつ病になるまで追い込まれている事例も多い。現状のままでは設計事務所への就職を希望する若手は減少していくばかりだ。
 
そこで、建築学生たちと一緒に、イケてる設計事務所を訪問し、職場環境を見学させて頂き、さらに、学生たちが経営者に自由にインタビューできる見学ツアーを開催するようになった。

成功している設計事務所の実態に直接、学生たちが触れられる機会を増やすこと、先輩設計者のキャリアデザインやビジネスモデルの成功事例をオープンソース化することで、新しい成功モデルを若手が次々に生み出していける未来を次世代へ贈りたい。それが、今の僕の夢であり、既存(オモテ)の建築教育では成し得ない新しい建築教育の形である。このようにオモテの建築教育の限界を越えていく挑戦を僕たちは教育的ウラ指導と呼び、独自に建築士エージェント サービスも行うようになった↓

興味があれば、気軽に荘司までご相談ください。連絡方法などは↑の記事に掲載しております。


【教育的ウラ指導としてのその他の取り組み】
一級建築士製図試験規模の建物の仕組み(構造・設備)の見学ツアーは↓


東武ワールドスクエアの展示模型で学ぶ建築作品の勉強会+懇親会は↓


建築業界での就活トーク イベントは↓


地域の中学校でキャリア デザインについてのトーク イベント↓


地域の小中学生,高校生に千葉大生が合格までのキャリア パスを共有↓


千葉大学の学生による生物学ワークショップをいすみ市でプロデュース↓


いすみ市の小中学生たちへ建築士の仕事の魅力を伝えるワークショップ↓


以上

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