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【日本建築史】南部曲がり家

前回からの続きです.

民家には,町屋(商工業者の住宅)と農家(農業や漁業を生業とする方たちの住宅)の2つがあり,そのうち,農家としては,南部曲がり家についての知識が平成16年の一級建築士「学科」試験に出題されています.

【問題】
江戸時代における居住施設に関して,農家は,地方により架構や平面が異なり,東北地方の南部曲り家においては,馬を家の中で飼育できるようになっている.

【解説】

岩手県の旧南部藩領を中心に,南部曲がり家と称する独特の民家形式が生まれた.一般的な長方形平面のいわゆる直家に厩(うまや)をL字形に突出させた型を曲がり家をいう.

尚,南部曲がり家と似た平面形式に「中門造り」がある.新潟・福島・山形・秋田各県地方に見られる茅葺き民家形式のひとつで母屋に対し,直角に馬を飼育するための馬屋(うまや)を突き出させたL字型の平面が特徴である.突き出たうまや部分には,通路や便所が配置されることが多く,突き出たうまや部分の妻側から外部アプローチをとり,そこからうまや部分の通路を通って母屋へとアクセスする.

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南部曲がり家と空間構成が似ているが,南部曲がり家の方が,母屋に対し,突き出すうまや部分が大きく,南部曲がり屋は,母屋とうまや部分の入隅から外部アプローチをとることが多い.
※「中門造り」と「南部曲がり家」の違いは,コチラ

【解答】〇
 続く

南部曲がり家は,↓の映画の舞台にもなっています.


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