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【日本建築史】茅葺きって何?

前回からの続きです.今回は,番外編として,茅(かや)葺き,杮(こけら)葺き,檜皮(ひわだ)葺きという3つの屋根のつくり方について,その違いをご紹介します.この違いが何となくわかるようになると日本建築を観ることが一層,楽しくなっていきますので.

◆茅葺き
茅(かや)を乾燥させて屋根に敷き詰めます.最も原始的な屋根の葺(ふ)き方で,縄文時代の竪穴式住居の屋根も茅葺きです.茅はどこにでも自生しており,入手が容易だったことが屋根の葺き方として最初に普及した要因と考えられます.昭和初期まで茅葺きの民家が多く残っていました.その代表例は「白川郷・五箇山の合掌造り」です.

農閑期(のうかんき)に集落の人出を集めて屋根の葺き替えができたことも,農村部で茅葺きが多く残された要因の一つでした.一般的には20~30年毎に葺き替えが必要です.そんな茅葺きの最大の弱点は火事です.江戸時代の都市部の住宅では,瓦が普及したこともあり,防火の観点からも茅葺きはほぼなくなってしまいました.

一方,日本古来の伝統を重んじる神社にはまだ,茅葺き屋根が続いております(瓦屋根は仏教の伝来とともに,大陸から伝わってきた建築技術です).その代表例は「伊勢神宮の本殿」です.

また,草庵風が好まれた「茶室」でも茅葺き屋根が用いられてきました.

そんな茅葺き屋根のつくり方はコチラ↓

茅葺きの屋根を葺き替える時って,古い茅の一部を残して,それを新しい茅と組み合わせながら葺き替えていくんですよね.これって,メチャクチャ地球循環型建築の理想的モデルではないでしょうか.地産地消だし.
続く

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