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【西洋建築史】大英博物館(イギリス/ロンドン)

前回からの続きです.
令和2年の一級建築士試験には,次の知識が問われました.

【問題】◯か×で答えよ
大英博物館(イギリス,1824-47年)は,考古学の成果に基づく古代ギリシアや古代ローマ建築の研究及び正確な理解を通じ,その造形原理の復興を試みた新古典主義を背景としている.


【解説】

Google Earthより

古典建築の本質から離れていったバロック建築の反動として,再び,古典建築の本質への追求が新たに始まる.それが新古典主義建築である.当時(18世紀)は,考古学が発達し,ポンペイ遺跡(約2000年前に火山の噴火によって一夜にして消えた古代都市)の発掘調査の成果もあって,ルネサンス期よりも,より忠実に古典建築(=ギリシャ・ローマ建築)を再現できるようになっていた.

こうした古代建築に対する研究の進化を背景にして,その造形原理の復興を試みたのが「新古典主義(クラシック・リバイバル)」である.「ネオ・クラシシズム」ともいう.また,新古典様式の中心であるギリシャ様式の復興を表現する時に,「グリーク・リバイバル」様式という.
※グリークはギリシャの意味.

特に,イギリスでは,ローマ建築よりも,ギリシャ建築が好まれ,模範とされた.大英博物館の正面ファサード部分は,ギリシャ神殿で用いられたイオニア式の円柱で構成されている.

ギリシャ神殿を模範としたファサード

なお,大英博物館の図書館部分の大部分が他へ移転したため,その部分は,ノーマン・フォスターの設計により,自然光が差し込む,ガラス屋根付きの通路兼中庭の空間へと改修され,グレートコートと呼ばれる.

グレートコートには,インフォメーションやカフェ,ミュージアムショップなどがある

【解答】✗ 今回で西洋建築史編は終了となります.最後まで学んで頂きありがとうございました.日本建築史編は,↓のまとめ動画で学んでください.


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