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これぞデジタルゲーム――人狼から見た『グノーシア』の魅力

グノーシアを一言で言うと「1人で遊べる人狼」です。

グノーシアは嘘をつく。人間のふりをして近づき、だまし、そして身近な人間を一人ずつ、この宇宙から葬り去る――。

プレイヤは閉鎖された宇宙船の中で人間に擬態した宇宙人『グノーシア』を探し出し、多数決で殺します。他人がグノーシアかを判定できる「エンジニア」、グノーシアの襲撃を阻止する「守護天使」など、アナログゲームの人狼でお馴染みの役職も登場します。

また、「時間が巻き戻ってループしている」という世界観なので、1ゲーム終わるごとに時間が巻き戻り配役がリセットされます。先のゲームでは人間だったのに今回はグノーシアになっていた、もしくはプレイヤ自身がグノーシアとして振る舞うこともあります。

具体的なゲームの内容や雰囲気については以下のレビューがとても分かりやすいのでそちらにお任せして、ここではアナログゲームの人狼との比較という観点でグノーシアの良さを紹介します。

アナログ人狼の欠点

グノーシアは、ダンガンロンパやキミガシネといった「人狼っぽい世界観でのアドベンチャーゲーム」ではなく「疑う」や「かばう」といったコマンドの応酬で戦う、アナログゲームの人狼とほぼ同じ構造を持ったゲームです。

アナログ人狼には明確に以下のような欠点があります。

* 大人数で場所と時間を合わせないと遊べない
* 難易度が高い

とくに難易度の高さはかなりのもので

* 慣れるまでは考えることが多すぎて、ゲームスピードを速く感じてしまう
* 面と向かって他人に敵意を向ける・向けられる
* 能動的に会話しないといけない

といった点があり、初心者が始める敷居を高くしています。

1人で遊べる人狼

グノーシアは上記の問題に上手く解答しています。まず1人用ゲームなので場所や人数などは全く問題になりません。CPU相手なので疑ったり疑われたりされるのも怖くないです。

ゲームスピードや自由会話に関しても「疑う」「同調する」などのコマンドで1手ずつ進み、いつでもじっくりログを見ながら考えられるので、自分だけのペースでゲームを進めることができます。投票の直前に納得いくまで過去の議論を全部読み直す、なんてアナログ人狼だとなかなかできません。ゲーム終了後に解答付きでログを読み直すのも、プレイヤスキル向上の楽しさがあります。

↑ゲーム終了後のログ。この時点で嘘がバレていた、というのが分かる

振る舞いで個性を表現するCPU達

本来、自由な会話の上に駆け引きが成り立つはずの人狼をCPUと遊んで楽しいのか……と思いきやそんなことはなく、本物の人間と遊んでいるように感じられます。

議論を進めるごとに内部ではヘイト、高感度といった状態が細かく動きます。これにより「目立った行動をとると狙われやすい」、「印象の良い相手は騙しやすい」といった駆け引きが発生します。キャラの個性も”直感”や”可愛げ”といったパラメータで表現されており、それぞれ独特の振る舞いをします。例えば「論理的に辿り着けることに気づかない」「勘で言ってることがやたらと当たる」「ヘイトを集めてでも正確な情報を優先する」など、キャラごとにいろんな特徴があります。

もちろん、アナログ人狼での対面ならではの空気感などを利用した自由な駆け引きは体験できませんが、個性通りに振る舞うCPUにも段々と愛着が湧いてきます。

しげみち……

その他の比較

強いてデジタルならでは欠点を上げると

* 村利のために自分が死ぬ、という選択が取れない
* 時間をあけてCOするとそれまでの判定結果が適当に作られる

などがありました。これらはアナログ人狼だとわりと面白い駆け引きなのですが、1人用デジタルゲームだと組み込むのが難しい要素です。

ですが、デジタルならではの利点もあり例えば「直感力」パラメータが高いと稀に発言者の嘘を見抜けます。これはアナログで例えると「GMから自分にだけ確実な情報が1つ貰える」ということです。自分が見抜いた場合は勿論、他の誰かの振る舞いが急に変わったりすると「見抜いた可能性がある」とも考えられ、駆け引きを奥深くします。

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アナログゲームの人狼との比較という観点でグノーシアを紹介しました。現状プレイできるハードがPS Vitaしかありませんが、人狼が好きな人や人狼をやってみたいけど遊ぶ機会がないといった人におすすめです。


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