私が鍼を打たなくなった理由Part 3(番外編)

私が鍼を打たなくなった理由は過去に2回に渡って紹介してあります(Part 1, Part 2)が今回は番外編として鍼治療のエビデンスって全くないんだよっていう話と、同じ鍼師たちへの違和感というかジレンマを書いていきます。

今現在(2018年11月)の時点でも鍼治療の効果の証明は全くないということは鍼灸業界としては秘密にしておきたいことです(笑)。例えば、経絡(ツボ)に鍼を打つ方法、ドライニードリングといって筋肉の痛いところや硬いところに打つ方法(トリガーポイントと呼ばれるものがその一つの例)、そして超適当に鍼を打つ方法(と鍼を打ったかのように見せて実は打っていない方法)とを比べても全く効果の違いはないということが証明されてしまっています(涙)

とは言うものの世界中では相も変わらず鍼治療は行われており、それで痛みが治った!とか、病気が治った!とか言われていますが、それはそれでいいのです。一体何が作用したのか(たまたま治るタイミングで鍼を受けた、痛みや症状が一時的に和らいだので心が安心して治っていった、プラシーボ効果、コンテクスト効果など)は不明ですが、もしその鍼治療が衛生面に問題がなく、危険な場所に鍼を打つ手法でなければ、誰からも文句を言われることはないと私は考えています。

前置きはさておき、鍼灸学校時代の思い出を語りますが、鍼灸学校入学時は私は鍼治療に幻想を抱いておりました。ツボに鍼を一本さすだけで痛みをとったり、病気を治したりすることができると。

もっというと細〜い鍼をほんのチョコンと刺すだけで痛みが取れる先生が本物だと!信じていました(笑。実際、鍼の実習の授業のときも、太い鍼を使う先生や多くの鍼を刺す先生は生徒の間で「下手くそ」認定されていました(笑。で、手や足の先のツボ1−5個ぐらいに鍼を指して痛みを取る先生を尊敬していました(笑。

鍼治療の講習会に出たときも、鍼をいかに痛くなく刺せるかどうかで受講者同士のヒエラルキーが決まり、切皮(鍼を入れる瞬間のこと)のとき痛い人も「下手くそ」認定されていました(笑。

だから私もいかに鍼を痛くなく打つかという練習(切皮)を自分の足がバンバンに腫れるまでしました。でもそれは鍼治療の幻想がなくなっていったのと、別に痛くなく打つ練習をしなくても(そんなテクニックを使わなくても)痛くなく打てる方法をある先生から教えてもらったことで、あれだけ必死に練習したテクニックを捨ててしまいました(笑。

それでも日本の鍼業界では鍼をいかに痛くなく打てるかということが重要視されています。特に女性の鍼灸師はそういう傾向が強いと思われます。しかし、とある有名な美容鍼の第一人者と名乗る先生の手法は、顔に鍼を刺すときに

メッチャクチャ痛い!

のです。でも美容のためという理由で受講者たちは痛くさせながら練習でバンバン打ちまくります。お前らの理想というか思想はどこに行ったんだ?(笑。

彼らは有名な先生の手法だから正しいと盲信しているっぽいのです。そもそもの「鍼は痛くなく打って効かせるもの」という理想はどこにいったのか?

ただ我々の業界の人たちは常に新しいテクニックを習得しようと努力している人が多いことは付け加えておきます。しかし、そういう人たちは週末に講習会で習ったテクニックをすぐにクライアントに試す人が多いのですが、さすがにそれはクライアントにとっては気の毒だと思うのですが・・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?