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ルーラーと在惑星、または大家の家賃徴収と店子の保護

日本には古くから借家文化があり、落語の題材にも長屋を舞台に部屋を借りる店子(たなこ)と長屋を取り仕切る大家が登場する。長屋には様々な職人、浪人、その女房子供、はたまたお尋ね者や女の脛を齧るヒモやごくつぶしなどもいる。

現代の賃貸住宅は大家に代わって不動産屋が賃貸契約書を作り、家賃を徴収するが、当時はこれを大家がすべて取り仕切っていた。大家は店賃(たなちん・家賃のこと)を受け取るだけでなく、長屋の決まりごとを定め、揉め事の仲裁に入り、ときには困窮する店子の世話をすることもあった。これはサインに在留する惑星をルーラーが支配するのとよく似ている。

サインのルールはサインのエレメント、クオリティ、そしてルーラーによって決まる。ルーラーとはルールする者、つまり決まりを作る大家のようなものだ。たとえば牡羊座のルーラーである火星は牡羊座の大家であり、牡羊座に入った天体はみな火星の指示に従う。ちょうど店子が大家のいうことを聞くように。天体の性質がサインによって異なるのは、長屋によって大家の指示が変わるからである。

さて、落語に登場する大家は長屋の世話があるから普段は自宅にいるものだけれど、天界においては大家は自宅にとどまらず、自身もあちらこちらへ旅をする。そして旅先ではよその長屋に滞在し、店子としてそこの大家の指示に従う。火星は牡羊座、蠍座では大家として大手を振るうが、いったんそこを離れるとひとりの旅装束の店子である。店子は滞在先のサインの大家の指示に従わねばならない。

しかし地上と同様、大家が留守の間もサインに滞在する惑星は大家に店賃、つまり家賃を支払わねばならない。また大家は自宅を離れても置いてきた店子の面倒は見るのである。この家賃とは何か、どうやって支払うのか。こうした質問が質問箱に多数寄せられたので、今回は店子の家賃の払い方を、そして大家はいかにして旅先から店子の面倒を見るのかについてお話したいと思う。つまりルーラーは在惑星とどのような関係にあり、その影響はチャートにどのような形で暗示され、どのように現実に反映されるのかという話である。例として2018年の日本の春分図を上げる。今回は約5000文字。


ルーラーと在惑星 店子が家賃を払う方法

まず家賃の払い方だが、これには二種類の流れがある。ひとつはサインからサインへの流れ、もうひとつはハウスからハウスへの流れだ。今回はサインからサインへの流れについてお話したいと思う。

サインのルーラーの流れを100文字でまとめると以下のようになる。

サインからサインへの流れは天体が位置するサインのルーラーを追いかけることで理解できる。これは天体配列とも呼ばれ、最終的にすべての天体を牛耳る天体はファイナル・ディスポジターと呼ばれる。東京都千代田区を拠点とした2018年の春分図を見てみよう。

我らがAmateruは自動的にディスポジターを検出する機能を持っている。春分図のディスポジターの流れは以下のようになっている。

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