映画『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』レビュー

【嘘をつき続けるからそこに真実もあると信じて不二子に騙される】

 つまりはおっぱいが最強であって、揺れれば目を奪われ、触れれば心を奪われるくらいに凄まじい威力を発揮するおっぱいを持った峰不二子の最強ぶりを、存分に味わう映画かと『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』のことを言えば良いかというと、言えば良いのだけれどもそれだけではない峰不二子の素晴らしさが、全編にわたって描かれている映画だというのが、この場合はピッタリかもしれない。

 父親が5億ドルを横領して逃げている父子家庭にメイドとして入り込み、父親に追っ手が迫る中で5億円の在処を記憶しているジーンという心臓病を抱えた息子とともに逃走。父親はビンカムという人に言うことを聞かせる呪術めいた技を繰り出す殺し屋に迫られ、爆弾を爆発させるがビンカムは平気で逃げた不二子とジーンを追い始める。

 待ち合わせ場所に父親が現れず、やはり死んだのではとジーンに告げる峰不二子。だったら2人で5億ドルを持ってそれで心臓病を治し、逃亡しようとジーンを誘うものの、そこにルパン三世と次元大介が絡む。不二子が手練手管でジーンから貸金庫の在処と暗証番号を聞き出して、5億ドルを独り占めしようとしていると思って横取りなりしようと企むものの、ジーンは父親が死んだと憤って復讐するまで暗証番号を言いそうにない。笑うルパン。不二子ちゃんでも落とせない相手がいるんだねえ。

 そんな、女性の色気も詐欺的な話術も通用しない子供相手にさしもの峰不二子もタジタジか? それとも本気でジーンのことを考えている? そこはやっぱり峰不二子だけあって、目当てはただ金、そのためには嘘だって平気でついて子供を騙すことだってするんじゃないかという感性が一方にありつつ、ジーンを狙うビンカムという殺し屋を相手に、必要もないのに単身で挑むような格好良さも見せたりして峰不二子という存在の真意を掴ませない。

 それもやっぱり自分のため? 金が手に入ったから行きがけの駄賃? 何を言っても嘘に聞こえるが、その美貌その肢体からどこかに本当も混じっていたらと思わせて止まない峰不二子という存在の魅力と怖さを、存分に感じさせられる映画になっている。映画といってもテレビシリーズ2本分くらいの長さだけど。

 そんな峰不二子の前にジーンも落ちたかどうか。あるいはランディも? 分からないけど目の前にあのおっぱいが見えてそして触れさせられたら、もうきっと何かが変わるくらいの衝撃を受けるんだろう。アニメは絵なのにそう思わせられるくらいの柔らかさが感じられ、ぷにぷに感も表現されている。巧い作画。そしてモーション。描いた原画の人は描いて楽しかっただろうなあ。

 小池健監督の「ⅢRD」シリーズらしくクールでスタイリッシュでシビアでシニカル。ただ峰不二子が全面に出て子供相手の母性めいたものを見せたりもするから、全体にソフトな感じも今回は漂う。ただし後半はそんな不二子が殺し屋相手に圧巻の体術を見せてくれるからもう驚き。そんなに強いならルパン三世だってかなわないんじゃないかな。

 次元大介を演じた小林清志の声が今回は良かった気が。最初から雰囲気完璧。若いとはいわないけれども歳を感じさせない声を聞かせてくれている。そしてルパン三世。おっちょこちょいの三枚目より栗田貫一は小池ルパンのニヒルでクールな感じがやっぱり良く似合うよ。ランディ役の宮野真守もふざけたところがなかった。沢城みゆきはもうどこまでも峰不二子を自分に取り込んでいた。

 そんな感じに声も良く絵も良くおっぱいもいっぱい。これは劇場で見るしかない。最前列で見上げてその柔らかさに押しつぶされそうになるしかない。そんな映画だ。やっぱりおっぱいか。(タニグチリウイチ)

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