想いを燃やして走る。  ルヴァンカップ決勝 湘南ベルマーレ vs 横浜Fマリノス 分析的感想

こんにちは、96と申します。普段は、

にて浦和レッズの試合のマッチレポートを書いています。今日は、浦和レッズのホーム埼玉スタジアムにて行われたJリーグ ルヴァンカップ決勝の感想を書いていきたいと思います。浦和戦以外のレポートはあまり書かないので、お手柔らかに。誤解や間違いがあれば是非ご指摘ください。

両チームのスタメンと思惑

湘南控え:21冨居、4アンドレ・バイア、41ミキッチ、2菊地、9イ・ジョンヒョプ、18松田、23高山
横浜控え:30鈴木、4栗原、44畠中、5喜田、8中町、16伊藤翔、26イッペイ・シノヅカ

湘南のフォーメーションはお馴染みの3-4-2-1。曹貴裁監督の植えつけた、1トップ2シャドー、両サイドのWBをはじめとしたフィールドプレイヤー全員のハードワークで走り勝つ「湘南スタイル」で決勝に臨みます。
対する横浜は4-3-3が基本フォーメーション。かつては堅守の名門といわれた古豪は、グアルディオラ監督の下プレミアリーグを席巻しているマンチェスターシティを中心としたシティ・フットボールグループ(CFG)との提携を経て、オーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー監督の下、「ポジショナルプレー」と呼ばれるボール保持を前提とした攻撃的なサッカーで勝ち上がってきました。

選手の給与やクラブの規模を比較するまでもなく、湘南に多彩な戦術の幅はありません。湘南は、これまで7年に渡る曹貴裁長期政権において極めてきた、プレッシングを基本としたハードワーク・ハイペースな「湘南スタイル」を決勝にぶつけるという構えだったと思われます。
一方の横浜は近年ボールポゼッションを基本とした「ポジショナルプレー」の採用など戦術面での向上に取り組んできたチーム。特徴的な面で言えば、ボールを簡単に蹴らずにビルドアップを図るためにGK飯倉を使うことや、両SBの松原、山中が中盤中央に入り込んでまるでIHのように振る舞う、いわゆる偽SBの動きなど、激しくプレスに来ることが予想される湘南に対して、最終ラインからの質の高いビルドアップでそのプレッシングをかわしてゴール前へ侵入していくことが基本的な狙いと言えると思います。
ということで、横浜のビルドアップvs湘南のプレッシングというのがこの試合の基本的な構図となりました。

最高のモチベーションと勢いでゲームに臨んだ湘南

比較的若い選手の起用も多い両チーム。ほとんどの選手は個人としてキャリアで始めてのタイトルを狙う対戦ということで、両チーム共にハイテンションな試合の入りとなりました。
中でも気を吐いていたのは、浦和からのレンタルであることを忘れるほどに湘南の主力として定着し在籍も長くなっている右WBの岡本でした。開始直後、左サイドからのフィードがファーまで流れたところを胸トラップで収めて開幕のシュート。このゲームをアグレッシブに行くんだという強いモチベーションを感じさせるプレーでゲームに入ります。このシュートが枠外になったことで横浜のゴールキックからビルドアップが再開。すると湘南は横浜のビルドアップに4人でプレッシャーに行きボールを奪うと、すぐに中央へパスをつなぎ後ろから秋野のミドルシュート。このシュートも横浜のブロック似合ってゴールには飛びませんでしたが、早い時間から湘南のプレッシングに対する姿勢は明確に現れていました。
その後も、4分の秋野のミドル、その直後5分には横浜陣内最深部でのビルドアップを岡本がインターセプトしてクロス、8分には中央から持ち運ぼうとした天野を囲んで奪い取り逆サイドを掛けがあった杉岡を使ってのカウンター、12分にはクイックリスタートでボールを受けた山中を間髪入れずに金子が捕まえてショートカウンター、エリア内へのボール供給は弾き返されますが、続く13分には左サイドからのスローインを受けに降りてきたウーゴ・ヴィエイラを秋野が潰して梅崎に繋ぐと梅崎のクロス、それが弾かれても岡本がセカンドボールを繋ぐと、最終ラインの山根の縦パスを岡本へ、岡本が秋野へ落とすと山崎とのパス交換を経て左足ミドルと、積極的なプレーへの関与、出足の良さ、思い切りの良さを全面に押し出した湘南が勢いで横浜を圧倒し、得点には至らないものの序盤を支配していました。15分が経過した時点でのチーム全体での走行距離は、横浜が19.5km前後だったのに比べて湘南は約21km。これはこのペースが90分続けば単純計算で9km近くも走行距離に差がでることになるペースですから、それだけの勢いの差を以って湘南がこのゲームに入り、そして序盤を支配したことがわかるのではないでしょうか。

横浜の組み立てと湘南の準備

いくら初のタイトルへ向けモチベーションMAXの湘南であっても、この序盤のハイペースを90分間維持することは難しい。ということで、横浜は15分過ぎから徐々にビルドアップの形を見せて行くことになります。
横浜のビルドアップにはいくつかパターンがあるため、基本的なものとこの試合でよく見られたパターンを整理しておきます。まず、4バックのうち2枚のCBが幅を取り、GKの飯倉とアンカーに入った扇原を含めてひし形を形成します。この4枚が横浜のビルドアップのスタート地点となり、相手のプレッシングをかわしながらボールを前進させることになります。もしくは扇原が2枚のCBの間に落ちることによって擬似3バックを作り出し、ロングフィードを含めたパス能力に特徴のある扇原を中心にボールの前進を図ります。

次に、横浜がよく使うビルドアップ手法として、松原、山中の両SBを中央に絞らせるというものがあります。

いわゆる偽SBや「アラバロール」と言われるこの動きによって、横浜は扇原が降りた分の中盤の底のパスコースを補充するとともに、中央に入るSBに相手の選手が付いてくれば直接前線のWGまでのパスコースを得る事もできます(1分の松原→仲川など)。さらに、万が一ビルドアップの途中でボールを奪われてカウンターを受けたとしても、扇原が空けた中盤中央の底という重要度の高いエリアを事前に埋めることができるため、リスク対策としても機能する、というものです。
これら、扇原を最終ラインに落とすパターンやSBを中央に入り込ませるパターンを状況によって一部または全部(つまり、扇原が落ちずに右SBが中に入ってきたり、扇原が最終ラインに落ちた上で左SBだけ中に入ったり、など)適用することによって最終ラインからのビルドアップを実行し、攻撃的な選手を揃えた前線の5枚にボールを届けたいというのが横浜のビルドアップとなります。
しかしながら、この横浜のビルドアップの手法は、欧州を席巻した手法をトレースした興味深いものである一方、もしかするとそれ故に、これまでのリーグ戦でもさんざん他クラブからスカウティング・研究されてきました。また一朝一夕でマスター出来るものでもないことから、失敗を恐れず継続的に取り組むポステコグルー監督の方針も相まって、マリノスと対戦するJリーグのクラブはこのビルドアップ手法をよく認識しており、特に驚くものではありませんでした。つまり、初タイトルのかかる大一番で、毎シーズンオフには戦術や指導を学びにドイツへ渡る研究家でもある湘南の曹貴裁監督が、このマリノスのビルドアップに無策でゲームに臨むはずもありませんでした。
湘南のゾーン2(中盤のゾーン)における守備体系は5-2-3に見える形で、山崎、梅崎、石川の1トップ2シャドーが3枚並ぶようにしてマリノスのビルドアップに対峙していました。

通常5–2-3で守る場合、中盤のボランチ2枚の両脇のスペースのケアが非常に難しいという弱点があります。前に3枚並べ、後ろに5枚使っているために、中盤のスペースを使われて守備組織を一つずつ動かされてしまうとどうしても最終ラインに穴が空いてしまいます。曹貴裁監督がこの決勝にこの形を採用した意図は、恐らくはマリノスの両SBの中央に入ってくる動きの予防と考えられます。中盤の2枚の脇にスペースを開ける一方で、最前線に3枚が並んであらかじめ中央の縦パスのコースと、マリノスのSBが使うスペースを消しておくことで、上述のマリノスのビルドアップを防ぐ意図があったのではないかと思います。たしかにこの状態でマリノスのSBが中央に入ってきたとしても、すでに湘南のFWが使いたいスペースを消しているわけですから効果的ではありません。
中央を思うように使えないマリノスは、次の選択肢を選び始めます。簡単に言えばそれは大外を使って前進するということになります。

たしかにSBが中に入り込んだ際のメリットの一つは大外のパスコースを作りやすいということでした。ということで、マリノスは湘南が待ち構える中央を避け、チアゴ マルチンスから仲川、もしくはIHの大津が大外まで下がってボールを受けて前進、もしくは仲川に渡す、逆サイドでも同様にドゥシャンからユン イルロクへ、もしくは下がってきた天野を使うといった形での前進をこのゲームでのスタンダードとしていきました。

「勢い」を「流れ」に。そしてゲームを支配する湘南

湘南がしたたかであったのはこの後です。中央を閉じて最初の狙いである偽SBによる中央支配を阻止し、大外からのビルドアップに誘導する、そして狙い通りマリノスが大外のビルドアップに逃げ始めたところで、一気に狩りを始めます。

湘南としては大外レーンが空くことは最初から折り込み済みだったのでしょう。スペースに落ちた天野に対しては、湘南の右WBの岡本が猛然とチャージを仕掛けます。その分岡本がいた最終ラインのスペースが空いてしまいますが、最終ライン残りの4枚がスライドして擬似的な4バックを形成することでケア、さらには岡本がチャージを仕掛けることで前を向けない天野に大して、シャドーの石川やボランチの金子がヘルプに入ることで選択肢を削り取り追い込んでいくような守備を狙っていたように思います。マリノスもこれは理解していて、岡本や杉岡が飛び出してくる場合にはロングボールでWBの裏を狙おうという意図は持っていたのですが、湘南の最終ラインのスライドが完璧だったこともあり、また追い込まれた状態で蹴るロングボールに精度が伴わなかったこともあり、マリノスとしてはロングボールをビルドアップの出口として有効に使えなかったことも痛かったかもしれません。
このような守備の狙いに対するマリノスの回答は、無理にSBを中央に入れて「死に駒」にせず、通常のサイドの位置でビルドアップに参加させる、ということが考えられます。実際に、10分には山中がドリブルで持ち上がって金子を引き出し、金子が出て行った裏のスペースで天野がボールを受けることでゾーン3(いわゆるアタッキングサード)に侵入することに成功しています(天野のアーリークロスをウーゴが収めて大津のミドル)。しかし、サッカーにおける攻守は裏と表。マリノスのSBが中央に絞らないということは、マリノスにとってはサイドで優位性を得ることができる一方で、湘南にとっては中央に配置した1トップ2シャドーがフリーを享受でき、中央での優位性が生まれることになります。つまり何かの間違いでマリノスのビルドアップが阻止された場合、マリノスは湘南の1トップ2シャドーを中央にフリーで放置しているため、被カウンターにおける危険度が跳ね上がってしまいます。例えば15分には山中がサイドからの前進を図りましたがその後湘南のプレスバック等で引っかかりロスト、クリアボールが山根から中央の山崎に渡ると落としたボールで梅崎が前を向き、一気に駆け上がった逆サイドの杉岡を使ってのカウンターまで、湘南のカウンターが滑らかに決まっています。ということで、マリノスとしては中央は消されているが、被カウンターを考えると安易にSBを開かせたままにはしずらく、かといってIHを大外に逃がしての前進は湘南に準備されているためになかなかリズムを掴めないという状態に陥ってしまったのでした。
マリノスが状況に明確な回答を見つけられずにいるうちに、湘南は少しずつ最終局面=ゴールエリア内にチャレンジできるようになっていきました。20分を過ぎる頃には、ゲームの入りの勢いは明確なゲームの流れに変わり、19分の岡本のクロスに梅崎が合わせたシーンや、21分にインナーラップした石川がマリノスのディフェンスラインとGKの間にグラウンダーのクロスを送ったシーンなど、主に湘南の右サイドから明確なチャンスを作り出すことが出来るようになっていきました。
状況が良くならないマリノスは、ビルドアップの調整に腐心します。この時間帯から両SBを外に開かせる代わりに、中盤の底の枚数を確保するために扇原に加えて天野が降りてくることでゾーン1における6on3の状態を作り出していました。20分を過ぎて湘南のプレッシングも無限には続かないということで、この辺りから明確にマリノスがボール保持し、湘南がブロックで構えるという構図が見え始めます。

押し込まれた湘南ですが、だからといって流れを渡したわけではありませんでした。多少押し込まれても5-2-3で中央のパスコースとプレーエリアを切っているために中央は固く、また前線の1トップ2シャドーも押し込まれたとしてもプレスバックをサボることがないので押し込まれても枚数は足りています。天野がビルドアップに参加することでようやく安定的にボールをゾーン2に運べるようになったマリノスですが、構造的な問題を解決できたわけではないために結局ゾーン2においても湘南の守備に苦戦することとなりました。湘南は28分には山崎のフリックからフリーで前を向いた梅崎のドリブルシュート、33分には狙い通りサイドで金子・石川が山中を追い込み、裏を駆け上がった岡本のクロスにフリーで山崎が合わせますが惜しくも体勢が整わずに枠外など、得点だけがないものの完全にマリノスの喉元に迫るほどに試合を支配していました。
そして35分。これまた狙い通りにサイドからのビルドアップを追い込みボールを奪うと、比較的狭い局面ながら落ち着いて繋ぐ意思を見せる湘南。中央に入っていた山根が前へ出したボールが引っかかりマリノスのバイタルエリアに転がると、逆サイドから中に寄っていた杉岡がこれに素早く反応。秋野のランニングでCBを引っ張り、背後から猛烈な勢いでスプリントする梅崎を気にしてか松原がバックステップを踏んだ一瞬の隙に左足を一閃。ついに湘南が先制のゴールをこじ開けたのでした。
その後も山崎のフリックに梅崎が抜け出した37分、左サイドでボールを追い込みカウンターを展開した38分、松原の不用意なウーゴへの縦パスを坂がカットし、こぼれ球を拾った梅崎が中央をドリブルで前進、たまらず大津が引き倒してイエローを貰った42分、マリノスの低い位置でのビルドアップを理想的な形で追い込み、山根の鋭い縦パスがエリア内の石川に通った44分など、ボールの奪いどころを持っているために良い守備から良い攻撃へとリズムを作り続ける湘南に対し、マリノスはなかなかよい形でゾーン2より前に進むことが出来ませんでした。

マリノスの逆襲:扇原の上下動による前進とレーン攻撃

両チーム交代がなしで後半へ。湘南は前半の勢いそのままにマリノスのビルドアップを追い込み、攻撃的な守備で後半も支配を狙います。しかし、個の力の怖さを持つのはマリノスでした。後半開始直後、前半と同じようにサイドに追い込まれながらも、天野が鋭いアーリークロスを蹴り込むと、エリア内でウーゴが反応。若干ボールが流れたところを後ろから大野に倒されますがフエはなし。たしかにウーゴが即シュートに持ち込める体勢だったかというと怪しいですし、ウーゴの倒れ方もアピール臭いのですが、後半開始直後の大チャンスだっただけに、ここで何かが起こっていれば試合が変わっていたかもしれないシーンでした。ちなみにそのこぼれ球を仲川が拾っていますがこれもシュートにはいけず。それにしても、天野の全く試合の文脈に関係なくエグいクロスをあげる能力は恐ろしいものがあります。蹴り込んだシーンも、湘南は注文通り金子がチャージして天野の自由を奪い、近いパスコースは全て消していた、まさに完璧に追い込んだ場面だったのですが、それがあわや失点のドンピシャクロスに結びつく意味がわかりません。
後半のマリノスは、前半に比べれば格段にうまくボールを運べるようになっていたと思います。

これは象徴的だった2分のシーンですが、梅崎に惜しいシュートを撃たれた後のビルドアップ、マリノスはドゥシャンから外に開いた山中へ。山中はワンタッチで中央のスペースに出すと、扇原が持ち上がります。これまでは中央から運ぶか、サイドから箱ぶかの2択で、どちらかを選んだ瞬間に狙いを持った湘南に刈り取られるという感じのマリノスでしたが、ここではまず山中がサイドに開くことで湘南のWB岡本を引っ張り出し、さらに天野がボランチ秋野を引っ張ることで出来た中央を後ろから扇原が使う形で前進することが出来ました。後半はこの扇原の前進(最終ラインに戻るだけでなく、中盤のスペースを使いに上がる)がビルドアップをスムーズにしていた要因にの一つかもしれません。また、この場面に代表されるように、マリノスとしてはこんな感じで左から仲川の待つ右へ運んで行き、大津と松原がそれをサポートしてゴールに迫る形がチームとしての基本的な狙い目だったでしょうか。仲川、大津、松原と、全員大外での1on1も中に入ってのワンタッチプレーも出来るという良い攻撃性能を持つ右サイドの3選手が、それぞれ担当レーンを交代しながら仕掛ける場面は可能性を感じました。

中央では試合の文脈と無関係にアシストが出来る謎の特殊能力を持つ天野と決定力のあるウーゴもいますので、マリノスとしてはこの形が出てくれば追いつけるという感じだったでしょうか。その後も7分の天野のコーナーにウーゴが飛び込んで合わせたシーンや、FK崩れのカウンターで山中が走り、ファーへのクロスを仲川がトラップしたもののシュートまで持ち込めなかったシーンなど、後半はマリノスがボール保持からゴールに迫りました。また、左サイドではユン イルロクがうまくボールを引き出しWBを釣り出しての天野や山中のサポート、追い越しといったお馴染みの手法でクロスまで持っていくシーンが多く見られました。
逆に湘南は若干悪いところが出たというか、前半のようにハンティングハメ殺し状態であればゴリゴリいけるのですが、ほとんど枚数を合わせてプレッシングに行く形なので、一度外されるとそのまま最終局面を迎えてしまうという感じでした。さすがに前半45分をあれだけのペースで戦っているので、後半は出足や連動性の部分で若干落ちてきていたこともあったと思います。とはいえ、後半開始直後の梅崎のシュートや、12分、14分ごろの岡本のシュート等、脆さのあるマリノスの守備をついて湘南も攻めの姿勢を崩していませんでした。というかマリノスは多くの選手の守備意識がテキトーすぎるので、「守備は相手がゴールしなければいいだろ」くらいの感覚しか持っていないように感じます。負けていたというのもあるんでしょうが、似たようなマインドのチームの苦労を痛感してきた浦和サポーターとしては切ないものがありました。
15分を過ぎる頃には湘南のペースも明確に落ち始め、マリノスは苦労なくゾーン2までボールを運び、頻繁にサイドを攻略してクロスをあげたり、エリア内に侵入しシュートチャンスを作るようになっていきました。

タイトルを勝ち取った湘南の積み上げ:寄せの技術

後半20分を過ぎる頃には、毎分とも言えるペースでマリノスが湘南ゴールに迫っていきます。守勢に回らざるを得なかった湘南ですが、一方でこの試合を通じて見せていた彼らの積み上げが湘南を支えていたように思います。この試合、ファールが多かったのは湘南の方だと思いますが、一方で悪質なものが多かった印象はありません。試合を見ていた気づいたのですが、湘南の選手は足だけでボールにアタックせず、身体の幹、体幹を相手の軸足に寄せるようにチャージしていました。これはピッチのどのゾーンにおいても同じように、しかも出場しているほとんどの選手から見ることができました。身体ごとぶつけるので相手の自由を素早く奪えいざとなれば確実に潰せますし、何より足だけを引っ掛けるような印象の悪いファールにならないのが利点でしょうか。これが威力を発揮したのが後半20分以降で、マリノスにボールを保持されシュートシーンを多く作られるものの、最後の最後でマリノスの選手に自由にシュートを撃たれる場面はほとんどありませんでした。左サイドを抉られた際のクロス対応でも、右サイドから仲川の突破があっても、中央でウーゴが抜け出してもおなじように身体を当てて自由を奪う。疲れとプレッシャーが出てくるこういった試合の後半20分以降でもこのような対応が出来る湘南の選手は、おそらく日々の練習からこのような身体の当て方を指導されているのではないかと思いました。さすがに疲れが出来てて、23分の秋野のファールなど全てについていけない場面ももちろんあるのですが、26分には秋野に替えて松田、32分に梅崎に替えて高山、そして42分には途中投入の松田を下げて菊地を投入するなど、選手交代も絡めながら守りきりました。中でも最終ラインの3人、特にCBの坂の対応はこの試合を通じて素晴らしかったです。この最終ラインの3人の絶対に自由にやらせない守備が最後の最後までマリノスに思い通りのフィニッシュを許さなかったというのはこの試合の大きなポイントというか、90分間プレッシングを継続できない以上湘南が勝つための最低限度のパフォーマンスで、その意味で坂を中心とした湘南の選手たちはこれを満たしていたと思います。
一方のマリノスは後半23分にユン イルロクに替えてイッペイ・シノヅカを投入。さらに33分にはどう考えても怪我治ってない伊藤翔が「復帰」し、プレッシャーが弱まりゾーン2までのボール保持に苦労しなくなったこともあり湘南を攻め立てました。伊藤翔が入った直後にはドゥシャンの持ち上がりからエリア内でシノヅカを岡本が倒すもののノーファール。35分には仲川の右サイドでの仕掛けからの左足クロスに伊藤翔が飛び込むもシュート出来ず、38分には高山のファールで得た35mほどのフリーキックで山中がロベカルリスペクト砲を射出しますが枠外。40分にもフリーキックからミドルシュートやクロスからゴールを脅かしますが攻めきれず。42分は山中が大外、シノヅカがハーフスペースに入りながらペナ角を攻略し、中央で伊藤翔が合わせるもののブロック。44分はシノヅカと山中で左サイドを抉ってクロスも、湘南DFに寄せられた扇原のヘディングは力なく枠外。ロスタイムに突入した45分+1分にはウーゴがエリア内で競り合った落としを天野が打ち込むもブロック、こぼれ球を拾って二次、三次、4次攻撃まで攻め立てるも最後はウーゴのヘディングも寄せられて力なく秋元の手に収まり、万事休すで終戦。ルヴァンカップの栄光は湘南ベルマーレが、最後はボロボロになりながら掴み取ったのでした。

想いを燃やして走る:湘南の輝きとマリノスの伸びしろ

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