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【ラジオ】僕らの好きなフリーフォーク.mp3 <前編>

*ポッドキャスト番組「アーバンぱるNEW」の文字起こし記事です。

後編はこちら

<メンバー>
店長 / ダモリ / ファグ






<オープニング〜remix No.173>


店長「今回のテーマは、僕らの好きなフリーフォークです。」

全員「はい。」

ファグ「今回は前回に続きフリーフォークということで、店長がちょっと話足りなかったということで、引き続きやっていこうと思います。で、前回はフリーフォークのジャンルの成り立ちとかどういうジャンルになってるのかみたいなことを話してたんですけど、今回は我々の好きなアーティストがどういうものかっていうことを中心に話をしていこうと思います。」

店長「はいはい。」

ファグ「で、ですね、私この前実家に帰ったタイミングで2005年のREMIXを、多分日本で出た雑誌で唯一フリーフォーク特集を巻頭に持ってきた雑誌・特集号ですね。No.173・2005年11月号を持って帰ってきて読み直してたんですけど。結構これがね、面白くて。結構アーティストも、割とこの段階でフリーフォークって呼ばれるようなやつは大体網羅されてて。ま、2005年やから当然なのかもしれないんですけど。でも、ちょっとずつ位置づけが微妙に違ってて。表紙がやっぱアニコレっていうのも。アニコレが一番前面に出てるんやなぁって思ったり。ブラトルボロ・フリーフォーク・フェスティバルのことを野田さんが書かれているけど、でもアニコレがやっぱりフリーフォークの代表格みたいな感じで取り扱われてる、と。」

ダモリ「ブラトルボロはちょっと書いてるだけみたいな?」

ファグ「そうそう、なんかフリーフォークの起源としてみたいな感じで書いてて。で、なんか”Apex TwinからAnimal Collectiveへ”みたいなすごい感じ文章も書かれている。だから、この前言ってた話でいうと、シルバーアップル的な、電子音とロックの混交みたいな。フォークか、フォークのミックスみたいな方が優先されてるような特集で。まあ、もう一つ面白かったのがDevendra BanhartとかJoanna Newsomとかの扱いっていうのがちょっと別枠で書かれてて、”フリーフォークの定義から逸れてもっと大きな括りでのフォーク、アコースティックの広がりを見ていこう”っていう。ちょっとフリーフォークとは違うフォーク、アコースティックの新しい動きとして括られているのが結構面白いポイント。で、もう一つフリーフォークについて書いてる雑誌があって。これはまあ未読やねんけど、ユリシーズっていう雑誌が出てて。知ってます?Devendra Banhartが表紙の。」

店長「あー、知ってる知ってる。読んでないけど。」

ファグ「それでもフリーフォークのページがあるみたいで。それのタイトルがなんか”フリーフォークのプリンス、デヴェンドラ・バンハートの動向”みたいな感じのタイトルになってて。で、なんかあとアップルミュージックでJoanna Newsomとかを見ると、フリーフォークのプリンセスかなんか、フリーフォークと言えばみたいな人の代名詞がJoanna NewsomとかDevendra Banhartに2005年以降に入れ替わっていく、みたいなのがあって。ま、05年の段階で”The Golden Apples Of The Sun”が出てて。そこで切り替わったっていうよりは、そっから多分次の年のJoanna Newsom”Ys”が決定打になって、フリーフォークのイメージっていうのが入れ替わったんじゃないかなっていうのが俺の推測ですね、今のところ。」

店長「でも、なんかその辺の話はちょっと前回やった”The Golden Apples Of The Sun”が広義の意味でのフリーフォーク、みたいな話とちょっと通じるところがありますよね。」

ファグ「うんうん。で、まあなんかそれが2006年やったんじゃないのかっていう。ちょっと今後もし聴いた人で気になる人は、その辺りを調べていただくと、もしかすると何か見つかるかもしれないという感じですね。」



<Joanna Newsom>


ファグ「そう、アップルミュージックには”フリーフォーク・シーンの歌姫として一躍時代の寵児となったジョアンナ・ニューサム”って書かれてるね。レヴュー、スタッフメモに。ちなみにこのアルバム(Ys)は、プロデューサー:Van Dyke ParksSteven Albiniに、ミックス:Jim O'Roukeっていう。」

店長「豪華メンバーですね」。

ファグ「ねえ。」

ダモリ「超豪華メンバーじゃないですか。」

ファグ「すごい強烈なね、アルバムで。」

店長「松田聖子やん。」

ファグ「松田聖子?」

店長「日本のポップスの頂点の人たちが総結集して作り上げるみたいな感じ。」

ファグ「でも、これは世代またぎっていうのがやっぱ面白いんじゃないの?Steven AlbiniVan Dyke ParksJim O'Roukeっていう。」

ダモリ「あー。はいはいはい。」

Joanna Newsom / Ys (2006)

店長「1stのライナーとか読んでてちょっと面白かったのは、なんかJoanna NewsomTerry Rileyの授業に出てたりとか。DeerhoofのGregとHELLAのドラマーの人のデュオ、Nervous Copっていうのに参加してたりとか、それが05年ぐらいやったと思うけど。その西海岸人脈というか。」

ファグ「あ、HELLAってそうやったんや?」

店長「HELLAもそうやったと思うけど、確か。」

ファグ「なんかニューヨークっぽいイメージやったけど、そっちの方なんやね。」

ダモリ「カリフォルニアとかじゃなかったっけ。」

ファグ「あ、カリフォルニア?あーそうやね、Joanna Newsomは西海岸の方やもんね、確か。」

店長「うん、そうそう。なんかそういうとことも繋がってんねなっていうのが、ちょっと面白かったですね。」




<Jewelled Antlar>


ファグ「はいはいはい、なるほどね。なんかさ、その西海岸のシーンってはあんまり知らんかったけど、Jewelled Antlar一派っていう...」

店長「あー、あれですね。平山(悠)さんがTweetしてくれたやつですね。」

ファグ「そうそう、平山(悠)さんがTweetしてくれたやつとか。まあ、でも結構そのさっき言ったリミックスにも載ってたりとか、あとは最近のele-kingで”フォークの逆襲”っていう特集があったけど、それにもちょっと記載があったりとかする。割とやっぱフリーフォークのカテゴリーの中で、ちょっと異端な感じの人たち、その人たちがサンフランシスコにいたんですね。彼らは90年代後半くらいから活動を始めてて。で、なんかそこまでフリーフォークとしてぐるっとまとめてしまうと、結構自分の好みとしてはJewelled Antlar一派のThujaとか。要はSteven R. Smithっていうギタリストがいんねんけど。が、やってたプロジェクトは凄い好み。むっちゃなんか60年代から地続きのサイケ感を感じるというか。」

Steven R. Smith

ダモリ「なんかめっちゃ出してる人やったっけ?Steven R. Smithって。」

ファグ「そんなに出してない。結構作品をアートピースみたいな感じで作ってて。で、まあそこから平山(悠)さんが書いてはったことに繋がってくんねんけど、要はインターネット的な販売のし方。CD-Rに焼いたりとかして売っていくみたいなんやけど。数がめちゃめちゃ少なくて、プレス数が30とか極少で作ってたらしくて。で、それが買えへんたりした人がどうやってその音源を手に入れようとするかっていうと、SoulseekとかっていうP2Pを使ってGETしようとした。」

ダモリ「あー、はいはいはい。」

ファグ「そうそうそう。っていうのがあったらしくて、そういう感じのインターネットカルト的なコミュニティーを作ってた、みたいな。かなり面白い西海岸のコレクティブっていう感じで。インターネット黎明期感が凄いありますね。今はBandcampで多分、ほとんどの音源が聴けるようになってんのかな。」

店長「うん。なんかBandcampに移行してんな。」

ファグ「そうそうそう。なんか過渡期のインターネットカルト感みたいなのがあって、インターネット神秘主義的な感じ、っていうのかな。凄い好きっすね、これは。なんかこの辺の美意識ってさ、ブラトルボロ・フリーフォーク・フェスティバルに出てた、直接そのユニットでは出てないけど、Charalambidesっていうバンドがいて。その人らは結構、Loren Mazzacane Connorsとかと一緒に共演したりするような感じの、ちょっと不気味かつ美的みたいな感じの音作りをする夫婦かな?のユニットがいんねんけど。テキサスか、確か。その人達も結構その系統の音で、Charalambidesとかも割と好みですね。何か音質があんまり良くないコミューナルな感じの即興かな。」




<Dredd Foole~Matt Valentineの活動>


店長「まあその傾向でいうと良かったのは、やっぱりDredd Fooleが非常に良かったですね。」

ファグ「あーそうなんや。俺、Dredd Fooleはあんまりハマらんくて。なんか結構かき鳴らし系やんか?スペーシーSimon Finn、みたいな感じじゃない?」

ダモリ「Simon Finnも結構スペーシーやけど。」

ファグ「Simon Finn、スペーシーやな。あれDavid Toopとかが絡んでたんやったっけ?音響実験みたいなんに。何かそんな記事をどっかで読んだ記憶があるけど。」

ダモリ「確かDavid Toopがなんか絡んでた気がする。」

ファグ「なんか音響っぽいフォークの流れ、なのかなと思って。」

店長「いや、なんか俺が聞いたやつは、もうちょっとドロドロとした感じの印象を持ったけど。んで、Dredd FooleMatt Valentineのレーベルから出してたりとかするんですけど。まあ、個人的になんかフリーフォークを多少掘ってみて、やっぱりキーマンやなと思ったのはMatt Valentineなので。」

ファグ「あー。」

Dredd Foole / Daze On The Mounts (2004)

店長「音的な好みとしても、やっぱりTower RecordingsとかMV&EEとか、その辺がなんか自分のフリーフォーク観と一番合致する感じがして、非常に好みですね。」

ファグ「あー、そうなんですか。Tower Recordingsは結構なんか透明感があって、エーテル感があるような曲が多かったかな、っていう印象ですね。」

店長「そうね。ちょっとなんか神秘主義っぽいというか、そういう印象はあるかな。」

ファグ「マットは俺はソロが一番いいかな。Tower RecordingsMV&EEより、一番なんか変な感じが、変な曲が多い気がする、ソロの方が。なんかな、やっぱ長尺のフリーインプロっぽいところに電子音とかが入ってくる。その辺をどういうバランスで作るかっていうところで、結構集団即興系のフリーフォークの人たちの個性が分かれてくるんじゃないかなっていう風に見てますね。」

ダモリ「電子音の入れ方、みたいな?」

ファグ「で、なんか結構Tower Recordingsとかは陶酔的な感じ、というか。」

店長「そうね。集団即興的なグチャっとした部分と、ちゃんとフォーキーな部分と、その塩梅が割と自分的にはちょうどいい感じがして。結構何回も聴いてますね。」




<No Neck Blues Band>


ファグ「なんかその辺のアーティストやと、No Neck Blues BandとかSunburned Hand Of The ManとかJackie-O Motherfuckerとか。その辺が割と比較対象としてあるけど、その辺はどうですか?」

ダモリ「思ってんけど、No Neck Blues Band結構なんかジャーマンサイケっぽくないすか?」

ファグ「ジャーマンサイケっぽい。」

ダモリ「ジャーマンサイケっぽいでしょ!」

店長「まあね。Embryoともやってるしね、ダモちゃんの大好きな。」

ダモリ「そうそう。俺の大好きなジャーマンのEmbryoとも演ってるし。」

The No-Neck Blues Band And Embryo / Embryonnck (2006)

ファグ「いやノーネックさ、やっぱCANの民族音楽期みたいなところがよく引き合いに出されるなっていうのと。あと、なんかあんまり電子音的なものをは使ってないっていうのがあって。」

ダモリ「そう言えばそうね。だから、かなりフォークな...」

ファグ「うん、でもフォークって言うより、ちょっと軽いトライバルみたいな。もっとこう原始的なところからトライバルなグルーヴが立ち上がってくるとこをやろうとしてるみたいな感じがして。あ、ノーネックにいた人から話を聞いたことがあんねんけど、割とみんなインテリで。」

ダモリ「あー、はいはいはい。」

ファグ「なんとなくこうフリーフォーク的な...、フリーフォークやってる人がインテリじゃないって訳じゃないねんけど。何て言うかもうちょっと先行世代っぽいムードがあるのかなというか。インテリジェンスが音楽の要素に滲み出てきてしまうみたいな感じはあって。何となくやねんけど、何かこうフリーフォークって個人的な感覚やねんけど、どっかでそのだらしなさ、みたいな。インテリジェンスみたいなのを、インプロビゼーションとか、そういうものから引き算しようとしてるんじゃないかなみたいな感じがあって。」

ダモリ「ああ、それはなんかアニコレとか結構感じるよな、っていう。」

ファグ「なんか、だらしなさ。アンチコンセプチャルみたいな感じやねんけど。でも、自然発生的なグループっていう意味ではちょっと似てたりすんねんけど。なんかもっと普通っていうか。もっと大衆に染み付いている音が自然に出てくるみたいな雰囲気がフリーフォークにはあるかなと思ってて。」

店長「うんうん。」

ファグ「だから、なんかNo Neck Blues Bandはその辺で結構こう理知的な感じがするねんな。だから、楽器の選択とかも、なんかその辺にあったギターを使うみたいな感じっていうよりは、こういうものを使ってみようかっていう形跡があるのかな、みたいな。それが音的に悪いとか良いとかっていうことではないんやけど。そういう違いがあるような気がして、端的にNo Neck Blues Bandはやっぱちょっとフリーフォークより先行世代の音なんじゃないかな、っていう風に個人的には思っているっていう。」

ダモリ「まーでも、普通に多分90年代後半ぐらいからやってるんじゃないかな、確か。」

ファグ「結構みんなそうやねんな。さっき挙げたようなTower Recordingsとか。なんかRedditのスレッドを見てると、Tower RecordingsNo Neck Blues Bandは、やっぱりある時期の、特に90年代後半のニューヨーク・シーンのスターやったみたいなことを書いてる人がいて。だから、なんかちょっと先行してて。で、そっからフリーフォーク・シーンっていうのを作っていく人として、さっき店長が言ってたようなMatt Valentineっていうのがいると。それとはNo Neck Blues Bandはちょっと別の立ち位置にいる。だから、なんかフリーフォークっていうカテゴリーの中に入ってくるっていうのとは、ちょっと違うのかもなみたいな感じで見てるって感じかな。」

店長「うん。Matt Valentineとかはさ、ニューヨークからバーモント州とかに移住したりして。やっぱりフリーフォークのなんか、都市部じゃなくて郊外感というか。っていう所で、なんかちょっと差が出てくるのかな、っていう気はするけどね。」

ファグ「確かに確かに。郊外感ていうのは、すごい重要っすね。」

ダモリ「はいはいはい。」




<Espers>


ファグ「なんか北東アメリカの人達って言うとね、結構そこに定住してやってるみたいな感じの人がいるよね。まあ、北東シーンやと重要なんは、Greg WeeksがやってたEspersとか。」

ダモリ「あー、Espersね。」

ファグ「うん、何かそこに根づきながらやってる人、みたいなんもいると。」

ダモリ「Espersは好きでしたね。なんかDurutti Column”Tomorrow”をカヴァーしてて。ええなぁと思って。Durutti Columnのカヴァーもしてるし、なんか民謡もカヴァーしてるし、みたいな。」

ファグ「あー、はいはい。」

店長「Espersは何やろうな。なんかブリティッシュ・トラディショナルな感じが強くて、俺の印象では。」

ファグ「ケルティックな匂いはするね。」

店長「そう、それがなんかアメリカン・フォーク好きの俺としては、ちょっとちゃうわ、みたいな気持ちになる。」

ファグ「あー、アメリカン・フォーク好きなんや?初耳っすね。」

店長「アメリカのフォークが好きやな。なんで英国臭が強いとちょっと、ウッてなる、みたいな所はあるな。」

ファグ「でも、Josephine Fosterはいいんじゃない?Josephine Foster好きそう。」

店長「あー、Josephine Fosterは割と好き。やけど、なんか塩梅があるな、やっぱりその辺の。」

ダモリ「そうなの?」

ファグ「そうなんですか。」




<英国勢〜Vibracathedral Orchestra>


ファグ「俺、逆に結構フリーフォーク周辺の人たちを色々聞いてみて、なんか意外と英国勢がいいなって思うことが多くて。なんか意外やったいうのはあったっすけどね。」

店長「英国勢?」

ファグ「うん、なんかアメリカン・プリミティブやとアメリカ勢多いねんけど、Alexander Tuckerっていうシンガー・ソングライターがいて。なんかJackie-O MotherfuckerとかStephen O’Malleyとかと交流があんねんけど。めちゃハイトーンのクリアな感じのボーカルに、フェイヒーっぽい陶酔的なフレーズがこう...」

ダモリ「カントリー、ブルーグラス的なフレーズが?」

ファグ「うん、なんかでもサイケっすね。サイケ感じたっていうか。なんか凄いよかって。あー、こんなアーティストいるんやなって思ったりした。あとは、なんか英国勢で言うとさっきちょっと言わへんてんけど、Tower RecordingsNo Neck Blues BandSunburned Hand Of The ManJackie-O Motherfuckerに並んで集団即興系でいうと、Vibracathedral Orchestraっていうイギリスの即興コレクティブがいて。」

ダモリ「うんうんうん。」

ファグ「これも結構キャリアが長いから、あんまりこうフリーフォークなのか、っていうのが。イギリス、結構このシーンの人達キャリア長い人が多くて。でも、なぜかフリーフォークのとこで紹介されてることが多くて。で、まあそこの人たちとかも凄いかっこいい音を出している、と。リアタイでも聴いてたし。で、何か調べ直してみたら結構イギリスのアバンギャルド人脈みたいなのがあって、そこと繋がってる。ちょっとだから、イギリスのアポカリプティック・フォークとかネオ・フォークとかの系統とは違う人達っていうので。それで、調べてた時に1個なんか面白い記事があって。WIREのボツになった記事をDavid Keenanがブログにアップしてんねんけど。で、A Bandっていうのを取り上げてて。これはVibracathedral Orchestraを結成したNeil Campbellっていう人がいんねんけど、その人が80年代に結成したバンドがあってA Bandってのがあるんですね。で、93年に”Artex/A Lot”っていうLPを出してて、それに対してキーナンが、”後にフリーフォークと呼ばれることになるものに多く先行し、それを予期している”っていう風にそのアルバムをレビューしてる。」

店長「うんうん。」

A Band - Artex/A Lot (1993) LP

ファグ「これが凄い面白くて、むっちゃフリーフォークっぽいねんけど。っていうところでなんか多分フリーフォークに霊感を与えた存在として、度々フューチャーされてるみたいなところがあって。で、そのNeil Campbellとよくつるんでた人でRichard Youngsっていう人がいて。この人はなんか日曜音楽家みたいな感じの人やねんけど、特筆すべき点として、2006年にAlex Neilsonというドラマーと一緒にJandekのライブサポートをしてる。アメリカアウトサイダー文脈とここで繋がってきて、そういうことをやってるみたい。」

店長「はい。」


後編はこちら




【REFERENCE】


WEB SITE

○No Neck Blues Band redux: my 2006 (or 2007?) interview with Dave Nuss https://alienatedinvancouver.blogspot.com/2021/03/no-neck-blues-band-redux-my-2006-or.html

Allan MacInnisによるNo Neck Blues BandのDave Nussへのインタビュー。即興と匿名性を重視しており、フォークというよりはニューヨークのフリーな即興コレクティヴという様相(ESP的な)が強いことが伺える。Jim O'rourkeを介したJohn Faheyとの繋がりや、Embryoとの共演の話も。


○弧高のギタリストからマルチ・インストゥルメンタル奏者への変化を目指したSteven R. Smithの新なるユニットUlaan Janthina
https://hiroshi-gong.hatenablog.com/entry/2020/11/19/231131

Steven R.Smithは90年代後半のサイケ・ジャムバンドMirzaなどで活動していたギタリスト/マルチ奏者。前回でも紹介したhiroshi-gongさんによるブログ『ディスカホリックによる音楽夜話』の2020年の記事。ここではUlaan Janthinaとしてリリースした神秘的なパッケージのカセットテープ作品を紹介。

○An Aquarium Drunkard Guide to Jewelled Antler https://aquariumdrunkard.com/2021/09/28/an-aquarium-drunkard-guide-to-jewelled-antler/

フォークドローン/ノイズグループのThujaのLoren ChasseとGlenn Donaldsonが作ったレーベル/音楽集団であるJewelled Antlerの来歴といくつかの音源を紹介している。この集団にはFursaxaやSteven R.SmithやDonovan Quinnらも含む。その場限りのコラボや少数の手売りCD-Rとして作られており聴くのが難しいのもあるが、Steven R.Smithの作品などBandcampで公開しているものもある。

○WIDE-EYED WONDER: AN INTERVIEW WITH BEN CHASNY OF SIX ORGANS OF ADMITTANCE
https://www.popmatters.com/110153-wide-eyed-wonder-an-interview-with-ben-chasny-2496073229.html


○Six Organs Of Admittance - Interview https://pennyblackmusic.co.uk/Home/Details?id=15211

BEN CHASNYの2009年の『Luminous Night』リリース時のインタビューと2007年のインタビュー。John FaheyやRobbie BashoよりもLeo Kottke、米国勢よりもBert Janschなど欧州勢ギタリストを好んでいるのが興味深い。

○The Wire 300: David Keenan locates the roots of the UK’s current DIY underground in the anarchic activities of The A Band https://www.thewire.co.uk/in-writing/essays/the-wire-300_david-keenan-locates-the-roots-of-the-uk_s-current-diy-underground-in-the-ana

David Keenanによる記事で、Richard Youngs、Neil Campbellの参加していたA BandのUKアンダーグラウンドシーンでの重要な位置を示しているほか、A Bandの1993年の録音『*Artex/A Lot*』にフリーフォークとの類似性を見出している。


○Neil Campbell Interview
http://www.furious.com/perfect/neilcampbell.html

2003年のNeil Campbellのインタビュー。即興のスタンスとしては、フリー・インプロより古き良きジャミングが好きとのこと。A Bandの記事と併せて読みたい。AMMやPharoah Sanders、Peltにも言及あり。


○Nontraditional folk in Brattleboro https://www.rutlandherald.com/news/nontraditional-folk-in-brattleboro/article_eafb70cf-240a-5132-ab5b-cdcbf7d6be52.html

ブラトルボロのある地元バーモント州の新聞Rutland Heraldによるブラトルボロ・フリーフォーク・フェスティバル2003年当時の記事。出演者の紹介など。「Joan Baezを想起させないフォーク・フェスティバル」


○Amplitude Equals One Over Frequency Squared - Jackie-o Motherfucker Interview
http://frequencysquared.blogspot.com/2005/02/jackie-o-motherfucker-interview.html

『Fig.5』リリース時の2001年のTom GreenwoodとJef Brownへのインタビュー。サウンドチェック的には作られたこの作品について語っている。また芸術教育での商業主義においての失望など、素朴さを失っていく社会について語っており、当時のムードというか、ある種の閉塞感からの動機も感じられて面白い。


BOOK

〇REMIX NOV.2005 特集:森へ、フリー・フォークへ、フリークド・アウト・フォークへ

フリーフォークを巻頭特集にした数少ない国内誌。この時点で言及すべきアーティストが出揃っていることがわかる。クラブ系の雑誌なので、アニマルコレクティブを巻頭に持ってきたのかと想像。デヴェンドラバンハートとアリエルピンクの扱いが現在とは少し異なっていて気になる。


〇別冊クロスビート ULYSSES no.1 AUTUMN 2009

フリーフォークの旅という特集冒頭で「60~70年代のイギリスアシッドフォークを(中略)継承するのは、今やイギリス人ではなく主に西海岸のアメリカ人であるという歴然とした事実なのだ」と書かれている通りThe Golden Apples Of The Sun以降のフリーフォーク観か。21世紀のフォーク英米交流としてのフリーフォークという側面に焦点があてられており、Devendra Banhart、Bridget St John、Linda Perhacsのインタビュー。


〇FEECO magazine extra issue MUSIC + GHOST (2022)

憑在論をテーマにGhostboxからネオフォーク、BBC Radiophonic Workshopなどの軌跡を結び合わせ、英国でかつて夢見られ既に失われてしまった未来の痕跡と、それによって逆照射される現代、そしてその幻影を追い求める人の性に考えを巡らせる一冊。 「大いなる古きアメリカ」と題された節で、フリーフォークは米国版憑在論として取り上げられる。ネオフォーク、マイケルジラとの関係に光を当てながら、英国憑在論との比較によって、伝承なきがゆえにひとつのフォークロアを夢想しつづける宿命を負った米国の姿が浮かび上がってくる。
https://atochietebura.com/HD/h024.html


〇ele-king vol.29 Summer 2022 特集:フォークの逆襲─更新される古き良きモノたち

Big Thiefを筆頭にじわりと盛り上がりを見せる近年のフォークシーンをとりあげながら、そこに至るまでの歴史も紐解く濃密な内容。フリーフォークについてのコラムもあり。

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【What’sアーバンぱるNEW】 アーバンぱるNEWとは、ゼロ年代に培われたサイケデリック感覚のフィルターを通し、音楽にまつわる様々な事象を語り合う精神の旅番組です。

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