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Crahs主宰「暮らしの音楽2」レビュー

Crahs主宰 "CDショップ・ライブハウス以外"限定コンピレーションアルバムの第2弾「暮らしの音楽2」、持って帰りたいフライヤー部のライター班に協力してもらい、レビューを寄稿させていただきました!

コンピレーションアルバムの詳細
http://www.crahs.jp/web/kurashi_va2.html

広範囲のお店に設置されていますが、近くにお店がない…もうなくなってた…という場合には、コチラで郵送も行っているので、ご利用ください!

01. Crahs - 空にお気に入りの色を入れて [Twitter]

 カフェとかショップで「あ、いいな」っていう音楽の出会い方は結構あるんじゃないかな?あのメロディーが歌詞が頭から離れなくて、検索したりすること…。そんな偶然の出会いが偶然じゃなくなるのが『暮らしの音楽』かもしれない。Crahsらしいポップでかわいいメロディーに、思わずリズムを取りながら口ずさんでた…歩きながら聞いてたらスキップしたくなる軽快なミュージックに自然と笑みがこぼれてしまう。青空の下気持ちよさそうに歌っている姿が想像できるこの歌をぜひ聴いてほしい!暮らしに溶け込む音楽は頑張る毎日に癒しと活力を与えてくれる。どうでもいいけど、私が彼らを知ったきっかけも無料のコンピアルバムだったんだよね。(文:なかえ)

02. ドミノライン - あいのうた [Twitter]

 愛と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。恋人への “愛”?それとも家族に対する愛情だろうか。あるいはもっと壮大に、人類愛と答える人もいるかもしれない。“愛”という単語は実に様々な意味を持っている。そんな中、“笑顔になれる音楽と、ほっと一息つける場所”をテーマに掲げるバンド・ドミノラインが表現する“愛”は、直球勝負のギターロックで紡がれる、とても優しいグッドメロディの応酬だった。その名も“あいのうた”。聴いているだけで心が温まるような歌詞と、心地いい上質なポップス。安定感のあるボーカルが、曲の良さをより引き立てる。忙しい毎日の中で忘れがちな“愛”について思い起こさせてくれる、そんな1曲。(文:阿部文香)

03. あいまいネイビー - 夜中の行進 [Twitter]

突然ですが鳥の鳴き声って、可愛いですよね?
ちゅんちゅんとか細いながらも空に抜ける高音がこの歌にあります。
でも、深夜2時に聴くと世間迷惑。
猫の鳴き声って、可愛いですよね?
にゃーにゃーと愛くるしさと可愛いさのある声の伸びがこの歌にあります。
でも、深夜2時に聴くと世間迷惑。
ところで、丑三つ時って怖いですよね?
幽霊がよく出る時間だそうです。
でも、この歌の世界の深夜2時は月に照らされたわくわくする夜なんです。
そんなやさしい夜の歌、深夜2時コンビニ帰りの住宅街でぜひ聴いてみてください。(文:ハンガイ)

04. 中村パーキング - ひぐらし [Twitter]

 最近は、音楽に対して“新しさ”を求められがちだと思う。しかし、中村パーキングの曲は”懐かしさ”を感じさせる。スッと耳に届くvo.石川の歌声と、あたたかさをもつ優しいメロディがそうさせるのだろう。
 『ひぐらし』というタイトルの通り、夕暮れの街を連想させるような1曲だ。夕暮れの街はわたしたちを様々な記憶や感情をもたらす。近所の家からする晩御飯の匂いで思い出した母の手料理、学校終わりに走って帰った通学路、ミュージックプレイヤーから流れる昔よく聴いていた曲…。この曲もきっとそんな存在になるだろう。
 肌寒くなってきたこの季節、帰り道のおともにいかがだろうか。(文:atsuki)

05. ぼっちぼろまる - アイウェア・ラプソディー [Twitter]

 目が悪い女子にとって、大抵の場合コンプレックスになる“眼鏡”。世の中には確かに“眼鏡女子”愛好家と呼ばれる人々もいるが、彼らが愛でる子に限って伊達眼鏡だったりする。さて、本曲はそんな近眼女子に恋をした少年の歌だ。青春の甘酸っぱさをぎゅっと詰め込んだような歌詞に、ひたすらキャッチーなギターリフ、そして文句の付け所のない秀逸な楽曲構成。聴いているだけで少し草食系な妄想男子の姿がありありと浮かぶようだ。
 ここまで読んで普通のロックバンドか、と思った人。ちょっと待ってほしい。まさかの一人バンド、しかもゆるキャラ。最早一周回ってクールの域に入るレベルだ。冗談抜きに今のうちにチェックしておくべきだと思う。(文:阿部文香)

06. オトドケモノ - 口裂け女 [Twitter]

 拳1つ入るか入らないかの人間の口を言葉の出口とするならば、その出口の大きさに不釣り合いな大量の言葉たちが、常に長蛇の列をなし、順番待ちしている。
 そして時折、その順番を守らず、無理やり口を裂くように、世界に出て、誰かの耳に届こうとする言葉たちがいることを、そしてそれを押さえ込めず、誰かを傷つけてしまうことを、私達は日々痛感している。
 一体何枚心にフタがあれば、失言せずに生きられるのだろうか。だから今日も口が裂けても言えないことを絶対言わないように、人類は今日もマスクを付ける。
 こんなメッセージを明るく軽やかなキーボードのリズムに乗せて歌う。この事実を受け入れてからが、人生は面白いと言わんばかりに。(文:遊津場)

07. 桜草 - 17 [Twitter]

 実に冷静で聡明そうな丸眼鏡の似合う見た目のボーカルから、期待通りの澄んだ歌声と勢いだけじゃない大切に綴ったことが分かる歌詞が心に響く。
 他の楽曲やライブも見たことある私的には、夜中の肌寒いくらい澄んだ、気持ちいい空気を纏ったバンドだと思っている。彼らの曲を耳にすると、心が洗われるような星空の下に来れて、明日への希望を込めて、星空へ自分の手を伸ばしたくるエモい感情に浸らしてくれる。
 この「17」という曲も、聴き手の心を澄ませる空気をスーっと心に流し込んでくる。その空気が、心の中にあるモヤモヤとした感情をキレイに吹き飛ばしてくれる。
 彼らこそ人間洗浄機。この機会どのご家庭にも楽曲を1つは用意していただきたい。(文:遊津場)

08. toitoitoi - 日常 [Twitter]

 音楽には、少しぐらいの違和感が必要だと思っている。
 『日常』と名付けられた楽曲の中で、ありふれた日常を“非常に”という形容詞を用いて唄っている。対極に位置する2つの言葉が、あまりにも自然に成り立っている。
 toitoitoiの音楽は明るく激しく、時にラテン的だ。ライブパフォーマンスが特殊な為にアーティスティックな面が先行しているが、このバンドの根幹にあるのは「アコースティックである」という事。
 曲の構成に必要な最低限度の音と、隠し味のように振る舞う、“日常”と“非常”という真逆の言葉。少しの違和感が、あなたの好奇心をより一層引き出してくれる。

09. Lana - くだらない話 [Twitter]

 「特別薄っぺらいやつを」というワードが、ここまで多幸感に溢れるとはね。
 誰でも共感のできるとっても身近なロックンロールを武器に、どこまでも遠くにいくことのできるバンドとして存在する可能性を感じさせる。
 インディーズバンドが安直に前向きな未来を歌うと「言われなくても、分かってるわ!もっと練った言葉紡げ!」とすら言われることなくスルーされるが、この曲にしろ、YOUTUBEにある「ウーロンハイ」にしろ、しっかりと狙っている心情に対して歌を置いてくる。これなら「安直さ」ではなく、「親しみやすさ」を聴き手は感じるだろう。
 きっとこれからも安心感を感じさせるロックンロールを産み出していくぞ。(文:遊津場)

10. 鈴木実貴子ズ - アホは繰り返す [Twitter]

 自分としては珍しく、何の事前情報も無しに鈴木実貴子ズを聴いてみた。イントロから想起されたのは、青空。清々しさを感じるメロディだな、と。そんな感想は、20秒で白紙に戻ったが。
 バンド名の通り、主軸を担うVo.鈴木が歌う第一声は“阿呆が繰り返すのは”という、まさかの一撃。よもや、そんな言葉で始まるとは。
 ツーピースである利点とも言えるシンプルさを前面に活かし、言葉への集中度は否が応でも強くなる構成。世の理不尽さに言葉を武器に挑むコンセプト。にも関わらず、本作では受け容れる事を諭すような言葉が並ぶ。
 “あるべき”場所や物を見失わないように。音楽家に限らず、あらゆる人への戒めのような楽曲だと思う。(文:しおつき)

11. 北村瞳 - 産声 [Twitter]

 これだけストレートに想いを伝えられると聴きながら少し照れてしまう。愛おしいっていう感情も生まれた瞬間があって、人を愛したそのとき産声をあげるのだろう。“愛”っていうものがこんなにも尊くて美しい感情なんだって、彼女の歌声から響いてくる。ずっとずっと大好きな人と生きていきたいと思うのは当たり前かもしれないけれど、本当は難しいことなのかもしれない。それでも不老不死の方法を探してしまう…。だって、やっぱりずっとそばにいたいし、いてほしいから。日常に転がる些細な感情や出来事も彼女の声にのって歌になれば、大切なキラキラとしたものへと変わる。この歌を聴くと、大切な人の声を聞きたくなる、会いたくなる。(文:なかえ)

12. アサトアキラ - さよなら青春アイデンティティ [Twitter]

 どこか悲しみを帯びたようなアサトアキラの歌声。“君はもうフロアにはいない”というワンフレーズにどれだけの思いが込められているのだろうか。
わたしたちリスナーとアーティストを繋ぐものは「音源」と「ライブハウス」の2つがある。本人が大切にしているのはきっと後者だろう。ライブハウスでしか味わえないかけがえのない時間を大切にしてほしいという願いが込められているように感じる。
 あなたがこの曲でアサトアキラと出会えたなら、ライブハウスという場所に足を運んで欲しいと心から願う。きっと彼から目が離せなくなってしまうから。どんな気持ちがこの曲に込められているか、きっとわかるはずだから。(文:atsuki)

13. EatScene - DDD [Twitter]

 円舞曲や輪舞曲は、時に人の生き死にを比喩した舞踊に充てがわれる。一聴して分かる通り、彼らはロックバンドだ。今作『DDD』はダンスロック。踊るように歌う様は、クラシック用語で言い表す事が適切に感じてしまう。
 エフェクトの効いたイントロから、軽快で明瞭な楽曲構成。それとは裏腹に、歌と命を終わりあるものとして言葉にするストレートさは、ズシリと重い。
 まだまだキャリアのスタートアップ期にあり、この先より多くの変化を示してくれるに違いない。そして、どんな形容詞も当て嵌らないEatSceneとしてのジャンルを確立してほしい。そのバンド名が示す通りに。(文:しおつき)

14. オモイメグラス - earphonic [Twitter]

 ステージを創造し、空間を創造するバンド。新しいもの、面白いものを創っていくために『想い、廻らす』彼らは“暮らしに溶け込む”というよりも“暮らしを彩るスパイス”のように感じる。曲を聴いた人にはぜひMVを見てほしい。Vo.祐の世界観を視覚化した映像は、彼女の世界の片鱗に触れられるだろう。あなたがイヤホンをつけるときは世界から逃げ出したいときか、入り込みたいときか…。世界を彩るのも世界と切り離すのも音楽かもしれない。面白いものを創る彼らの活動は自分たちの音楽にとどまらず、他バンドのMVやアクセサリー制作と多岐にわたる。音楽・映像から伝わる世界観の欠片に拾うごとに新しい感情が聴いた者の体を廻るだろう。(文:なかえ)

15. Freebee - スーパーヒーロー [Twitter]

Q.あなたにとってのスーパーヒーローは?
A.ウルトラマンでした。
この「暮らしの音楽2」のエンディングを飾るのは、地球に衝突する隕石を爆破した後に流れるような全米が涙する感動的な曲ではなく、
スーパーヒーローになりたかった小さい頃を思い出す陽気で歩くような速さで、暖かい南国の風を感じる音に乗せた歌でした。
「スーパーヒーロー」というタイトルですが、とてもとても漫画やテレビで見たスーパーヒーローになれなかった平々凡々な日々を歌っている。
繰り返される「スーパーヒーローになりたかった」 というワードは特にヒーローに憧れた男子には強く強く刺さる言葉だ。
でも結局いつかは誰かのスーパーヒーローになるのだ。(文:ハンガイ)

全体レビュー

 電車の中を見渡して欲しい、皆イヤホンを耳に個人の世界に没入している様子が見られるでしょう。
 当たり前に音楽が「暮らし」の中の一部になっていて、当たり前に朝が来て、夜になって、猫がにゃーと鳴く。
 そんな当たり前な「暮らし」に15組のアーティストがあなたに色を添えるのが他にないこのCDだけが持つ良さだ。
 どのアーティストも当たり前過ぎて忘れていた空の色とか、太陽の暖かさに気付かせてくれるような「暮らし」に寄り添った曲を展開している。
 ぜひこのCDをkawara CAFFE&DININGでコーヒー片手に聴いて欲しいし、やがて音の鳴る場所であなたのお気に入りのアーティストと待ち合わせをして欲しい。(文:ハンガイ)

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