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【SNK】時の河【SNK】

 最初にいっておくと、完全にキャラ愛勢向けの話題であって、プレイヤー視点の話ではない。
 EVOで『餓狼伝説』の新作に関する発表があった時、ぼくが真っ先に考えたのは、できることなら時間の流れというものを大切にしてもらいたいな、ということだった。
 初期の『餓狼』シリーズの登場キャラには、おおむね全員に生年月日をはじめとしたパーソナルデータが設定されていた。たとえばテリーは1971年生まれ、アンディとジョーは72年生まれ。ギースはテリーよりも18年早い1953年生まれとなっている。細かいようだがこういう設定は実はわりと重要で、キャラ同士の関係性に大きくかかわってくる(と思う)。

 草薙京という若者がここにいる。彼と相対しているのは八神庵で、家系のことを抜きにしても宿敵といえる間柄である。当然、両者は同い年であるほうが何となくバランスがいい。
 また、このふたりには、オロチに対抗していく三種の神器としての使命を語って聞かせ、みちびいていく役どころの神楽ちづるがいる。そんな彼女が京&庵と同い年だったり年下だったりすると、何となくもやっとしないだろうか?
 京のチームメイトの紅丸は、京のライバルといいつつも、何だかんだで彼を見守る兄貴分的悪友ポジションにいる気がする。これも京よりはほんの少し年上がいい。そして、京はもちろん、紅丸や真吾のこともさりげなく気遣える大門先生は、彼らよりももっと大人であったほうがいいだろう。

 ――というようなことを、『KOF94』の登場から30年近く経過した今であれば、ほとんどの古参ファンが同意できるのではないかと思う。決してメッセージ量が多いとはいえない格ゲーというジャンルで(『KOF』はまあまあ多いほうだったが)、そういう共通認識が構築されているというのは、やはり年齢周りの設定が充実していたからだろう。
「そうか、ちづるは京たちより年上なのか……あんな自覚の足りないやんちゃ坊主どもの相手はたいへんだろうなあ」
 とか、
「紅丸って京のことをガキあつかいしてそうだけど、ゴローちゃんから見たらどっちもガキだよなあ」
 とか、年齢というパラメータがあるからこそ強く印象づけられる関係性というものは確かにある。
 逆に、肉体改造とともに記憶をいじられたために年齢が16~18歳ということになっているK’や、明らかにメンタリティは大人なのに自称16歳で通しているウィップ、あの外見で56歳のイグニスなど、年齢表記がストーリー面をフォローしているケースもある。
 第一、年齢表記がなかったら、16歳のK9999をからかう19歳のアンヘルという関係性はどうなる!? 思春期の小僧に密着して(アンチェインによる判らん殺しで)ぐちゃぐちゃにしてくる19歳のプロポーション抜群のラテンぽいノリのおねえさんだぞ!? 許せねえよ、あの小僧! うらやましい! おまえはそんなだから存在を消されたんだよ!

おめえ、16のガキがこんなのに絡まれたらよう……なあ……?

 ハァハァハァ……あぁあ……。

 まあ、『KOF』時空ではキャラは年を取らないので、だったらもう最初から年齢明記しなくてよくね? とスタッフが考えたのかもしれないが、個人的には年齢くらいは明示してくれたほうが、あれこれ妄想するにはよかった気がしなくもない。
 たとえばシュンエイと明天君はどっちが年上なのか。イスラはふたりより下なのか。ドロレスと現在のククリはどちらが年上なのか――そういったことが気になって仕方がない。めんどくさいファンの悪い癖

 結局何がいいたいのかというと、新作『餓狼』では、旧来のキャラを出す際にも、彼らに年を取らせることを恐れないでほしいということである。
 あ、それと、あのシルエットを見て「アンディも登場する模様」とか書いてるライターは『MotW』全キャラクリアするまで寝るな。「フリーマンも登場する模様」だったら許してたかも。

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