見出し画像

【SNK】ケインって誰よ?【KOF】

 ぼくはこれまでにSNK作品の小説をいくつも書かせてもらってきた。分量的に多いのはやはり『KOF』で、それをきっかけに、のちのちゲーム本編のスタッフロールに名前が出るようなお仕事もさせてもらったりしている(これか!? このせいでブラジルニキはぼくの立場を誤解しているのか!?)。そのほかにも『サムスピ』や『月華』の小説をやらせてもらったり、『餓狼』ではガラケー時代にケータイ小説なんかもやらせてもらった。だから余計に「『龍虎』のお仕事だけやってない!」という思いが強いのだが、それはさて置き。

 よそさまのところではどうなのかは知らないのだが、SNKの場合、「今回のノベライズではこういうものを書きたいのですが」というプロット的なものを提出し、それにOKが出たら実作業に移る、という形でやってきた。ちなみにこのプロット的なものを書くためには当然のように全チームのエンディングを含めたストーリーを把握しなければならないので、『97』からはもうMVS版を発売日(=アケ版稼働日)に購入して自分でCPU戦をクリアする、という作業をまずやらなければならない。必要経費万歳。
 ただし、このプロットの段階では、細かい部分に会社的な要望が入ることはあっても、基本的にNGになったということはない。唯一、企画書を出した段階で、「あ、それはちょっとやめてください」といわれてプロット提出まで進まなかった『RB餓狼SP』という例外はあったものの、『KOF』ではそういうことはなかった。悪くいえば、当たり障りのない部分を小説にしていたからというのが一番の理由かもしれない。当たり障りがないというのは、つまりは、ゲームのストーリーから大きく逸れるような内容にせず、極力オリジナルのキャラも出さず、ゲーム中のキャラクター解釈を崩さず――みたいな感じ? まあ、「それって当たり前じゃないの?」と思われるかもしれないが、世の中にはあえてそういうノベライズにしてくれと打診してくるメーカーや出版社も存在するし、そういうものを書く作家さん、それが許されるタイトルも存在する。
 ただ、ぼくは『KOF』ではそういうことをしたくなくて、そういうプロットを出してそれが認められただけなのかもしれないが、とにかくそういうものばかりを書いてきた。

 ゲーム内で描かれた世界をなるべく壊さないように、キャラやガジェットは設定にあるものを使い、設定にないものは勝手に書かずにまずメーカー側に聞く。ゲームのストーリーと矛盾しないようにする。その上で、ゲームでは描かれない日常的な部分も描く。
 そういうスタンスは、『MI2』以降、公式ストーリーを書く際にも念頭に置いていた。たとえば『XII』のライデンのストーリーには、ケイン・ゴールドマンというインタビュアーが出てくるが、このキャラはぼくがテキトーに考えたわけではなく、DC版『MotW』の取説(!)が初出である(今でいうならクレメンス・ベラミーな)。さほど重要なポジションではないが、せっかく使えそうなキャラがいるのだからここで再利用しておこうと思ったのである。
 これは個人的に二次創作を書く時にも心がけていることなのだが、近年は『KOF』と『サムスピ』くらいしか新作が出ないので、何か書こうにも燃料が足りなくてちょっと困っている。
 とりあえず『龍虎』の新作はようはよう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?