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【SNK】イケる!【SNK】

 唐突な昔語り。
 ぼくが『MI』シリーズのお手伝いをしていた頃、当時の開発の偉い人が対外的に、

「『餓狼』は『MI』で補完する!」

 みたいなことを発言したことがある。それはファンに向けての単なるリップサービスではなくて、まだ『MI2』がリリースされていなかった頃から、現在の『MI』は3作でストーリーにケリをつけて、そのあとはデュークが若かった頃のエピソードを3部作でやる、その舞台はサウスタウンでフェイトも登場させる、というような話はあった。企画書があったのかどうかは知らないが、ぼくは偉い人からそのつもりでいてくれといわれていた。
 実際にはゲーム画面に1ミリも登場しないフェイトやチャンス、アンの母シャーリィといった、アルバたちよりもひと周り大人な仲間たちの設定がやたらたくさん用意されているのは、アルソワの周辺設定を固めるという意味もあったが、どのみちいずれ使うものだから、ということで先行して作っていた部分もある。
 実際には使われなかったが。

 そもそも『MI』シリーズは、ナンバリングの『KOF』本編の時空とはパラレルの、1995年にギースが死んで支配者がいなくなったサウスタウンを舞台としている。なので、『KOF MI3』が完結したあとにリリースされたかもしれない『餓狼伝説MAXIMUM IMPACT(仮)』3部作も、当然、ギース死後の混沌としたサウスタウンが舞台になる可能性があった。
 なのでぼくは、『MI2』や『MIA』の作業をしつつ、同時に、『MotW』の流れと可能なかぎり矛盾しないギース死後のサウスタウンやセカンドサウスの設定をあれこれ考える作業もしていた。
 実際にはほとんど無意味だったが。

 で、そういう作業の一環として、『餓狼』と『龍虎』のキャラたちを年齢順にずらーっと並べたことがあった。ギース死後のサウスタウンに現れてもおかしくなさそうなキャラは誰か? ということを検討するためである。こいつはまだ生きてそうだな、こいつは無理あるな、みたいな?
 実際にはまったく活用されなかったが。

 ただ、この時に大雑把に作った資料が、前回の記事を書くに当たってわりと役に立った。

『CotW』に出て欲しい『龍虎』関係キャラ、まあユリとか香澄とか、出られるんじゃね? みたいなことを確認するのに役立ったという意味である。
 で、そこからもう一歩進めて。
 たとえば、『CotW』が『MotW』と同じ2006年の事象を描いた作品と仮定して、なおかつ初期の『KOF』でもお馴染みの、「キャラのプロフィールに記載されている年齢はその年の誕生日を迎えた時点のもの」というルールを大前提として――2006年時点でまあまあ現役で闘えそうな年齢の『餓狼』&『龍虎』キャラは、だいたい以下のようになる。

46歳(1960年生まれ):ローレンス・ブラッド
45歳(1961年生まれ):ユリ・サカザキ
44歳(1962年生まれ):リチャード・マイヤ
43歳(1963年生まれ):山崎竜二、フランコ・バッシュ、藤堂香澄
42歳(1964年生まれ):キム・カッファン、ライデン
40歳(1966年生まれ):ビリー・カーン、ホンフゥ、マイケル・マックス、
           マルコ・ロドリゲス
39歳(1967年生まれ):ダック・キング、ホア・ジャイ
37歳(1969年生まれ):ケビン・ライアン
35歳(1971年生まれ):テリー・ボガード、リック・ストラウド
34歳(1972年生まれ):アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシ
33歳(1973年生まれ):マリー・ライアン
32歳(1974年生まれ):不知火舞、ボブ・ウィルソン
27歳(1979年生まれ):ダイナグリフォンマスク
26歳(1980年生まれ):秦崇雷、秦崇秀、アルフレッド、牙刀
           カイン・R・ハインライン
25歳(1981年生まれ):李香緋
24歳(1982年生まれ):フリーマン
20歳(1986年生まれ):キム・ドンファン
19歳(1987年生まれ):キム・ジェイフンB.ジェニー
16歳(1990年生まれ):双葉ほたる
14歳(1992年生まれ):北斗丸

 いきなりトップが46歳のローレンスになっているのは、彼より年上のアクセル・ホーク(52)やチン・シンザン(54)あたりになってくると、さすがにもう現役からしりぞいているかなと思ったからである。『KOF』の柴舟がちょうど50歳で、これより年上のキャラが参戦してくるにしても、それはもうお師匠さまと呼ばれる達人系老人キャラくらいだろう。
 ちなみに、生年が設定されていないキャラについては、『餓狼』のテリーと『龍虎2』のギースを基準にざっくり算出している。なので、年齢も生年も設定されていないクラウザー、ホワイト、坂田冬次、千堂つぐみ、グラントはこの一覧に入っていない。参考までに、リッパーはギースと同い年、ホッパーは1968年生まれなのでこの時点で38歳。
 ライデンに関しては、最初期の攻略本などでは生年が記載されていたものの、ビッグベアになってからは生年も年齢も不詳となり、以降、生年が表記される作品に登場しなかったこともあって、1964年生まれが公式設定なのかどうかは不明。ただ、『餓狼SP』の時点で「35歳前後?」というぼかした年齢表記になっていたので(つまりテリーより干支ひと回りくらい年上)、これはこれで合っている気がしなくもない。

 こうして並べて見てみると、「うん、イケるイケる、みんな出られるよ!」みたいな気がしてくるから不思議なものである。まあ、みんな出られるよといいつつ、マイケル・マックスは竜白よりさらにありえないだろうと思うぼくは正直者。

三十路人妻経産婦がありなんだから、アラサーの舞ちゃんだろうがマリーだろうがイケるイケる!

 ちなみにちなみに、逆にこの時点で70歳オーバーのおじいちゃんキャラは誰がいるのかというと、タクマパパが75歳、タン先生が82歳、山田十兵平が83歳、リー・パイロンが94歳。あとはワンチャン、『月華』の玄武の翁は270歳くらい
 中国チームのチンが89歳だったこと、高性能な飛び道具とコマ投げ、高速移動投げを合わせ持つという、唯一無二でほかに似たキャラがいないことを考えれば、この枠として腰の曲がった十兵平が「フガフガ……」とか出てきてダイナグリフォンみたいなデカキャラたちをぽんぽん投げまくったら面白そうだとは思う。

 あ、トップの画像が溝口なのは、彼が受け身を取った時のボイスが「イケる!」だからです。

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