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【SNK】正義の味方【KOF】

 お引越しはこれで完了、Pixiv側の元記事は削除しておくで!
 という感じのケンスウ? アテナ? キム? にかかわる話題。

 設定上、『KOF』シリーズでのアテナは、いつか現れる巨大な悪との戦いに備えて鎮老師のもとで修行を続けている、いわば正義の味方である。SNKで正義の人といえばまずはキム・カッファンだが、アテナの正義感は、おそらくキムよりはやわらかい。しなやかで遊びがあり、というとちょっと奇妙ないい方かもしれないが、つまりは融通が利きやすいということである。
 結局、どこまで行ってもアテナたちがやっているのは「人々を悪から守るために悪を倒す」ことであり、そういったスタンスでいる以上、「ならばあなたの正義は絶対に正しいのか?」と問われた時、おそらくアテナは一瞬言葉に詰まるのではないかと思う。単に、歴代のボスなり敵組織なりが、(標準的現代人の)誰の目から見てもはっきり悪だと断言できる相手だったために、アテナは自分の正義に迷うことがなかったにすぎない。

 たとえば「人類はこれだけ地球の生態系を破壊してるんです。このままだと人類だけでなく地球上のすべての生物が死滅しますよ。だからボクたちは人類を滅ぼすんです。それでもボクたちが悪いんですか?」といった切り口でクリスが舌戦を仕掛けてきた場合、まったく悪知恵がはたらかないぶん、アテナはそれに対してうまくいい返せないだろう。
 そもそもオロチ一族は人間のそれとは違う彼ら独自の「正義」で行動しているため、どうやっても「人類側の正義」観で説得できるはずはないのだが、心やさしき優等生のアテナは馬鹿正直にまず相手を説得しようとして、それができずに言葉に窮するだろう。
 その点、キム・カッファンはとても明快に、「私が正しいと思う正義が正しい」と切り捨てることができる。前述のクリスのたとえに対しても、「人類もあやまちをかえりみるべきだが、とにかく今おまえたちオロチ一族のやろうとしていることは悪である」と迷わずに断言して迷わずに闘える。
 とはいえ、これは別段、キムが独善家、偽善者、正義バカだというわけではない。『KOF』のキムはそういう人間なのである。個人的にはそういう境地にいたるまでに何があったかを描いてほしかった気もするが、とにかくキムは、今後のアテナが感じるであろう葛藤や苦悩といったものをひと通り経験して、ある種の悟りのような境地にいたった大人なのだと思う。もちろん何かをきっかけに悩んだりしてもいいが、それをユーザーに見せるのはむしろアテナの役回りで、すでに弟子を多く持つキムには、あまりそういう姿は似合わないのではないだろうか。

……まあ、そういうことで悩むようじゃ、チャン&チョイを指導はできないわな。

 ということを受けて、シイ・ケンスウである。
 あくまでぼくがそう思っているだけだが、ケンスウは、あの師匠の弟子でもあるので、どちらかといえば正義の人には違いないが、アテナやキムほどの強い正義感は持っていない。ただ、ごくごく自然な義憤、弱者をしいたげる強大な悪への怒りといったものは人一倍持っているだろうし、その意味では一般の人間より確かに正義の人かもしれない。
 ただ、ケンスウが闘う理由というのは、おそらく正義のためというより、まず第一にアテナのためのような気がする。アテナが超能力者として高みに登ろうとしているから、ケンスウもまた彼女の一番そばにいたくて修行をしているのだろうし、彼女が悪と闘うというから自分も悪と闘う。アテナがいなければ悪と闘わないのか、というとそういうわけではないのだろうが、モチベーションはかなり変わると思う。
 前述のような舌戦をクリスが仕掛けてきたとして――キムが問答無用でそれを切り捨て、アテナが言葉に詰まってしまうところを、おそらくケンスウは少し考えてから、
「自分らのいう通りにしたら……アカンわ、アテナも助からんやんけ! ほならハナシは簡単や、自分らみんな、ワイが根性叩き直したる! 何しろワイはアテナのナイトやさかいな!
 で自己解決するだろう。
 要するに、ケンスウはとても判りやすい人間らしい人間、好きな女の子のためにいいところを見せようと努力するし、彼女のためなら血を流すこともためらわない正義の味方なのである。

どないや! ワイはアテナのナイトやさかいな!(次の瞬間吹っ飛ばされます)

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