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【SNK】斧枠とは?【SNK】

 アントノフさんといえば、とにかくデカい飛行機を作る航空機メーカーの創設者ーーというのが世界の常識だが、我らSNKファンにとってのアントノフとは、「バチーン!」で知られる葉巻大好きなシャッチョさんである。『KOF XIV』で初登場し、「いかつい外見の割に涙もろくて実はいい人」という設定で、我々の心をガシスと鷲掴みにしたアントノフは、『XIV』のエンディングで会社を追われ、『XV』ではあらたにプロレス団体「ギャラクシー・アントン・レスリング」、略称「G.A.W.」を設立し、その代表としてKOFの舞台にカムバックしてきた。
 そこで今回は、SNK世界におけるプロレスについて。

 そもそもSNKのプロレスゲームといえば、ネオジオの100メガショック黎明期の1993年にリリースされた『ファイヤースープレックス』、そして2000年にネオポケでリリースされた『ビッグバンプロレス』の2作品がある。
 このうち『ファイヤースープレックス』は、プロレス団体「S.W.F.」が開催した世界統一無差別級トーナメントを勝ち抜くことを目的としたゲームである。S.W.F.は「SNKレスリング・フェデレーション」の略で、だったらアタマのSNKは何の略だよと思わなくもないが、ともあれSNK世界では、ここが最大のプロレス団体ということになっている(らしい)。もっとも、登場キャラは10名だが、コンパチキャラが2組いるので実質的に8名といっていいだろう。
 この10名の中には含まれていないが、初代『餓狼伝説』で初登場した覆面レスラー、ラインデンことビッグ・ベアも、もともとはS.W.F.所属だった。ただ、その人気を妬んだタッグの相棒ビッグ・ボンバーダーによって八百長疑惑の濡れ衣を着せられ、それがもとでプロレス界を追放されたことから、ギースに雇われることになったのである。
 また、『XV』のこのステージで背景の一部と化しているふたり、

左奥の赤白タイツがテリー・ロジャース、右奥のレガースつきがマスター・バーンズ。

 テリー・ロジャースとマスター・バーンズも、S.W.F.所属のトップレスラーたちである。
 このようにS.W.F.は、『ファイヤースープレックス』以外のタイトルとさまざまな関連性がある。あのシイ・ケンスウも、S.W.F.に参戦していた日本人レスラー、ザ・レッドドラゴンのファンだといっているし。

 一方の『ビッグバンプロレス』は、プロレス団体「I.E.W.」の絶対王者ジョセフ・スティールのヘビー級王座返上を受けて、トップレスラーたちによるベルトの争奪戦が繰り広げられる、というストーリー。残念ながら、I.E.W.が何の略称なのかは明らかになっていない。何となく想像するなら、インターナショナル・エンターテインメント・レスリングフェデレーション……とかかな?
 ただ、S.W.F.と違ってI.E.W.のほうは、あいにくとほかのゲームタイトルとの関連性はほぼ皆無となっている。唯一、「グリフォンに似てない?」といわれるキャラがいるにはいるのだが、正直、ブロックヘッドとブッシュマンくらいの差がある(判りやすいたとえ!)。

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マスクだけならまあ……でもこいつ、マスクかぶったラモンかと思うほど細い! 

 登場キャラは全10名で、そのうちひとりは元王者のジョセフと抗争を続けている日本人ディーヴァ、いわゆる女子プロレスラーであり、ここは『ファイヤースープレックス』にはないセールスポイントといえる。

 こうしたプロレスゲームに登場するキャラがプロレスラーなのはまあ当然のことなのだが、SNKには『KOF』に参戦していないプロレスラーたちがまだほかにもいる。
 その筆頭といえば、旧ADK版権『WH』シリーズのマッスル・パワーであろう。間合いの広いコマ投げ、高速突進技、上中下3種の当て身(?)という数々の武器をあたえられながらもなぜか弱キャラというのは、明らかに出場タイトルを間違っている。もしこいつが『KOF』に来ていたら、ステップ奈落ばりの低空ギロチンやコンボに組み込めるトルネードブリーカー、ガーポつきジャイアントスイング、さらには1フレデンジャラス以下略によって猛威を振るっていたに違いない。VTRやらGTRなんぞ目じゃない、MTG(マッスル/テリー/ガトー)の時代がやってくるかもしれないのである。
 一方、マッスル・パワーほど出番は多くはないが、『餓狼WA』には貴重な女子レスラー枠である千堂つぐみがいる。ライデンの知人らしく、スーパードロップキックライトとかいう、すごいのか軽いのかよく判らないスパドロをはじめとして、ほかのレスラーキャラがあまり実装していない妙な必殺技を豊富に備えているのだが、それより何よりこの子の一番いいところはステージBGMである(断言)。
 また、リアルな異種格闘技大会をモチーフとした『武力ONE』には、パトリック・ファン・ヒディングというオランダ人レスラーがいる。オランダ人ならヒディンじゃなくヒディンでは? と思うのだが、イタリア人なのにガルシアがいるんだから細かいことはいうまい。
 さらに『GANGAN行進曲』には、マッスル・パワーが目をつけているというシン・ジーナスがいる。正直、ADKのキャラとは思えないほどに地味。というか、超必が若干派手なだけの常人
 そして、大トリを務めるのはみんな大好き『風雲』シリーズの斧枠、ガイルみたいな髪型をしたマックス・イーグルである。21世紀初頭のジパングシティを舞台にしているこのゲームだが、何とマックスくんもS.W.F.に所属している。まあ、現実のプロレスでもパイプ椅子や脚立で殴り合うことはままあるとはいえ、さすがに大男がマジモンの斧で相手をブッ叩くのは、もはやプロレスではなく殺し合いなのではないかという気がするのだが、細かいことは気にしない豪快さがプロレスのよいところ。ただ、その個性の9割を斧に頼っているため、斧を失うとシン・ジーナス並みに地味な男になり果てるに違いない。

 SNK格ゲーの核ともいえる『KOF』シリーズには、ほかの作品から参戦してくるキャラも多い。もしかすると、今後またライデンが復活参戦してきて社長や恐竜王と抗争を繰り広げるような展開もあるかもしれないし、あるいは「俺こそがSNKにおける真のテリー!」と主張してテリー・ロジャースが乗り込んでくる可能性もありえる(まあゼロではないから……)。
 ただ、個人的にはレバーをぐるぐるさせるのが好きなので、何かしらの形でマッスル・パワーには復活してもらいたいところである。

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