見出し画像

【SNK】三太子の女【KOF】

 Dの妹X、それとほんの少しRの話も。ちなみにD=デュオロン、X=シャオロン、R=ラン。Dは大門ではないしRもルガールではない。
 まあ、公式サイトがまだ生きているので、そこのキャラストーリー見ればだいたいのことは判るんじゃね? とも思うが、一応。

 前回の記事ではさほど詳しく触れなかったが、デュオロンには兄弟姉妹がとても多い。というか、近代以前の中国的というべきか、ロンはとても子だくさんで、正室との間に男女9人、そして側室との間に娘をひとりもうけているのだが、この側室の娘というのがシャオロンである。
 合わせて10人いるロンの子供たちのうち、デュオロンは三男、かつ4番目の子供に当たる。上には長男、次男、長女がおり、下には二卵性の双子である四男と次女、シャオロンと続き、さらにその下に、性別設定がなかった3人の幼児がいる。
 ただ、この並びや男女構成が完全に正しいかどうかはぼくもちょっと自信がない。

 そもそも『MIA』でシャオロンという飛賊娘を出すことになった経緯は(ぼくの記憶が確かなら)、当時、すでに退社していたスタッフが、「飛賊関連の設定を掘り下げてほしいから『MIA』にも飛賊キャラを出してほしい」と通勤電車の中で本作プロデューサーのF氏に持ちかけてきたからだそうである。この逸話が本当かどうかはぼくも知らない。冗談かもしれないし、反面、何となくありそうな話という気もする。
 いずれにしても、それからしばらくの間、すでに存在していた飛賊関連(というよりロン関係)の設定を毎朝電車に揺られながら聞かされたF氏は、それをほぼそのままぼくにパス。それをぼくが整理してまとめ、デザインが先行していたシャオロンの設定に組み込んだのである。
 ちなみに、おそらくいにしえのネオジオ民の9割が知りたいであろう「龍の気」については何も聞けなかった。……結局、具体的なことは何も考えてなかったのでは? いや、真相はよく判らんが。

 シャオロンの話に戻ろう。
 シャオロンは幼い頃から、自分はロンの一家に仕える立場だということをわきまえ、デュオロンたちに対しては若さま、ぼっちゃま、お嬢さま、などといった使用人同様の態度で接していた。ロンに対しても父上ではなく我が君、と呼んでいるし、デュオロンに対しても、「3番目の若さま」のような意味合いの「三太子サンターツ」という呼び方をしている。
 シャオロンがみずから進んでそういう立場を選んだのは、自分が側室の娘で、しかもその実母が若くして逝去したため、何の後ろ盾も持っていなかったからだった。シャオロンの母は美しく、シャオロンもその血を受け継いだ美女になることは目に見えていた。そのことが嫉妬深い正室に、シャオロンに対する憎しみにも似た感情をいだかせたのだろう。シャオロンがひたすらへりくだってつねに控えめにしていたのは、正妻の理不尽な癇気を避けるためでもあった。また、そんな母の影響を受けたからか、ほかの兄弟たちも、あからさまにシャオロンを見下したり無視したりしていた。
 しかし、そんな中でロンだけは、シャオロンを我が子として当たり前のように可愛がってくれた。里の人間を皆殺しにする前は、ロンもやさしいパパだったのである。

 では、デュオロンとシャオロンの関係はどうだったか。
 何しろデュオロンは「……」の多い寡黙なクール&ビジュアル系アサシンなので、まかり間違っても「妹よおおおお! おにいちゃんだよおおお!」みたいなことはいわない。サイキに身体を乗っ取られたとしても絶対にいわない。デュオロンはほかの兄弟たちとシャオロンとを特に区別せず、みんなと同じように三点リーダ多めの寡黙モードで接しただけである。
 が、分けへだてなく接したというただそれだけで、シャオロンにとってはデュオロンが特別な存在になった。
「みんなわたしのわるくちゆうけど、でゅおろんくんだけはわるくちゆわなかった……ちゅき」
 みたいな感じ? おいおい、チョロいなあ! と思わなくもないが、シャオロンの少女時代はそれだけ過酷で愛に飢えていたのであろう。それに、何のかんのいいつつ少年時代のデュオロンも、自分の髪の手入れはシャオロンにしかやらせなかったり、彼女のことを笑妹シャオメイという愛称で呼んだりと、いい意味でシャオロンを特別な存在として認識しているようだった。大きくなった今でも、シャオロンのことを心のどこかで気にかけているようでもある。
 果たしてこの兄妹が平和裏に再会する日は来るのだろうか……。

『MI』オリジナルの要素がナンバリングに逆輸入されたのはこれが初かな?

 ここから先はややおまけ的R話。
 同じく飛賊四天王のひとりであり、リンたちとともにデュオロンに先立ってロンの追討に出た南武炎帝門なんぶえんていもん、略して南帝門を束ねるランとはいかなる女なのか。
 ランが初めてファンの目に触れたのは、おそらく『2001』のムックの設定資料ではないかと思う。サイ、チャトとともに掲載され、四天王の紅一点にして最強格、炎をまとった足技を使う、変身してパワーアップする、といった説明が添えてあった。何というか……うん、野生児。露出度高いっていうか野生児。

いるいる、中国の奥地によくいるよね、こういう人たち! ってならねーよ!

 その後に世に出た『2003』のムックの巻頭に掲載されたF氏描き下ろしコミック(?)では、セクシーなチャイナドレスを着こなした美女として描かれており、以降、ぼくの中でのランのイメージはこの路線となった。それを踏まえて書いたのが『MIA』でのシャオロンのオフィシャルストーリーであり、『XII』でのデュオロンのファイターズプロファイルである。
 ランはその母、もしくは祖母が四天王のひとりだったが、里が壊滅した際にロンによって母も祖母も殺されている。その跡を継いで四天王となった彼女にとって、ロンは母親たちの仇であり、デュオロンは仇の息子なのだが、ラン自身は、やや年下の幼馴染みでもあるデュオロンのことを昔から憎からず思っていた。そのため、何かとデュオロンに気に懸けてもらえる立場のシャオロンのことが妬ましくもあり、腹立たしくもあり……といったところなのだろう。

 てか、ロンがそうだったんだから、シャオロンもランもどっちもデュオロンの嫁でよくない?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?