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【SNK】コラボ解説37【キミヒロ】

 ついにやってきたコラボ解説最終回。もともと一連の『キミヒロ』の記事は、この作品の特徴ともいえる自社コラボについて解説するために書き始めたものである。それが終わりということは、『キミヒロ』についての記事を書くのもこれが最後ということになる。やり始める前から判っていたことではあるが、いざとなるとさみしいねー……。

 ということで、ロック&みなのんたちの前に現れたグラント。激闘の末に勝利するとーー。

グラント
 ぐぬっ……こ、これほどとは――。……さすがはギースの息子というべきか。
ロック
 つまらねえことくっちゃべってないで、さっさと吐いてもらおうか! おまえは何者だ!? 俺の力をためすとか、いったい何のためにそんな真似をする!?
グラント
 ふ……甘いな、ロック・ハワード。――ふんっ!
ロック
 な、何? ……うわっ!
トリ
 こ、この野郎……まだこんな余力を残してたってーのかよ……!
グラント
 ギースの格闘センスを受け継ぎながら、敵にとどめを刺せぬその甘さ……。テリー・ボガードの甘さがうつったか、あるいは母親ゆずりのやさしさゆえか?
ロック
 何っ!? 今何ていった!? おまえはかあさんのことを知ってるのか!?
グラント
 ……ああ、知っている。おまえが生まれる前のことだがな。
ロック
 まさか……KOFの招待状と一緒に、あの手紙を寄越したのもおまえなのか!?
グラント
 ふ……俺の口からすべてを語らずとも、いずれあの男がおまえの前に姿を現す……。せいぜいおまえは、その時まで爪を研ぎ澄ませておくがよい……。戦うことを忘れた狼に、生きる価値などない……。
みなのん
 わっ!? 停電!? 誰か明かり明かり!
ギャル
 ちょい待ち――。
イケメン
 逃げられた……というより、立ち去ってくれたというところか……。
ロック
 ナメやがって……あの野郎、いったい何だってんだ!?
エコ
 とにかく学園に戻って、テリーさんたちにこのことを伝えたほうがいいんじゃ……?
ロック
 ……ああ、そうだな。KOFの主催者もこの世界に来てた――それが分かっただけで充分だぜ。

 かくして、謎めいた言葉を残して姿を消すグラント。原作通りといえば原作通りなんだが、一応原作は、進め方によってはこのあとカインとの戦いもあったからなあ(まあ、結局そこでも謎を残して終わるわけだが)。
 一方その頃、原作ではすでにお亡くなりになっているはずの渋ギー陣営。

ビリー
 ギース様……例の学園に、テリーがもうひとり現れたそうです。それと……ロック・ハワードが。
ギース
 …………。
ビリー
 詳しく調べさせたところ、どうやらふたりは10年ほど先の時代から来たらしく……。
ギース
 ふん……捨てておけ。――我々の邪魔をせぬかぎりはな。
ビリー
 よろしいのですか?
ギース
 何だ? ディナーにでも招待して、たがいに久闊を叙せとでもいうのか?
ビリー
 い、いえ……ですが、奴らの話では、いずれギース様は――。
ギース
 仮にだ。仮に未来の私がテリーに敗れることがあったとしても、それは単に私が弱かっただけのこと……。それ以上でもそれ以下でもない。強い者が生き延び、弱い者が滅びる――。その絶対の摂理からは誰も逃れられん。……それにしても、よりによってあの男に育てられることになるとはな……。……因果なものだ。

 ここのセリフは『MotW』のOPを思わせる。強者が生き延びるのが当然、という価値観でいうならギースとカインは同じほうを向いているわけで、もしこのコラボに続きがあり、その両者が出会ったらどうなっていたのか……なんて想像するのも、今となっては楽しいような哀しいような。
 そして一夜が明け、学園の子供たち。

あらためて振り返ると、ちょっとジョーは影薄かったかなー。

ジョー
 オラオラオラオラオラ! テリーの弟子ってはその程度なのかよ!?
ロック
 くっ……調子に、乗りやがって――! 負けてられるかよ!
みなのん
 わー……すごいな、ロックさん。朝からずっとこの調子なんですか?
キム
 ええ、強い相手と戦いたいといって、学園の格闘家たちに挑戦しているんです。
アンディ
 才能があるのはもちろんだけど、いい意味での泥臭さのようなものもあるよ。天才にありがちな、一度のつまづきで折れるような心の弱さとは無縁だね。
ダック
そこはテリーに似たんじゃねェか? テリーに子育てってのが似合わねェけどな。
WW
 俺はただ単に、あいつと同じものを見て、同じものを聞いて、同じものを食ってきた。――ただそれだけさ。子育てなんて、責任重大な仕事をしてきたつもりはないよ。あいつが立派に育ってるように見えるなら、そいつは全部ロックの手柄ってことさ。

あら、ずいぶんと謙虚じゃない、テリー。年を取るとさすがに人間ができてくるわね。
テリー
 そいつはどういう意味だよ、舞? 今の俺は人間的にダメだっていいたいのか? だったらゆうべ、俺が未来の俺から聞いたビッグニュースを教えてやるよ。俺が35になる頃、おまえとアンディはな、日本でまだ――。

 あー! やめてやめて! いわないで! それを聞いたら楽しみがなくなっちゃう!
ギャル
 ……何だかみんなさー、親戚の子の成長を喜ぶおじさんおばさん状態になってね?
トリ
 ま、いーんじゃねーか? 実際、ロックさんはそういうポジションなんだろ。
エコ
 いろいろと謎は残ったけど、ロックさん、気持ちを切り替えられたみたいだね。
イケメン
 いずれまたあの男と戦う時が来る……そのために強さを磨いているんだろう。
ウサタロー
 おい、おまえらー! ロックにばかり稽古させてるんじゃないぜー!
みなのん
 
はは……やっぱりそうなるよねー……。
イケメン
 アンディ先生! 俺たちにも稽古をつけてもらえませんか?
ダック
 YO! どうしてそこでアンディなんだ? まずはこの俺に頼むところだろ!
トリ
 望むところだ! だったらアンタとキム先生も入れて、3対3でやろーぜ!
みなのん
 3対3ていうと、つまり、村雨くんと酉原くんと……あとは僕ってこと?
ギャル
 そりゃそうっしょ。ウチとエコちゃんはサポート要員つーか……ねえ?
エコ
 うんうん、前に出て戦うのは男の子たちの役割なのだよ。
みなのん
 で、ですよねー……。
ウサタロー
 おい、皆野! 気合いを入れろー! 格闘家もヒーローも、まずは気合いだぜー!
みなのん
 よ、よぉし……! ――ライオンハート、行きます!
ロック
 まったく……この世界はお調子者ばかりで退屈しないぜ、ホント。
ジョー
おいおい、勝負の最中にひとり言か? それとも泣き言かよ?
ロック
 そんなわけねぇだろ。――ただ、俺はどこでだって最後まであがき続けてやる……。宿命にケンカ売り続けてやるってな、そういったんだよ!

 この終わり方だと何となくロックが主人公みたいだが、このコラボの中心にいるのがロックなのだから仕方がない。ずっとテリーと放浪生活を送ってきたロックにとっては、テリーと同世代の格闘家たちや、自分と同世代の少年少女たちとすごす学園での日常は、とても新鮮なものだろう。そのあたりのことをあれこれ妄想して二次創作を書いたりもしたが、何だか突然サ終したこのゲームへの手向けのようになってしまって、今となってはやや居心地が悪い。

 何はともあれ、『キミヒロ』自社コラボ解説はこれにて終了。たぶん『キミヒロ』関連の記事もこれで終わりだと思う。
 サ終したソシャゲの復活というのはまずありえないと判っているのだが、できることなら、キャラだけ何らかの形で……ほら、『KOF』の背景とか? ダックといっしょに背景要員とかさ!
 ……ダメ?

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