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「モミジは言った」嬉野さんの言葉の切れはし#248

1999年の秋。
まだ世間が20世紀だった頃。
水曜どうでしょうは、北欧へ行ってね。
20年前の枠撮りの日、高台公園の木々は鮮やかに紅葉していた。
撮影の合間に、カメの扮装をしたミスタさんが色づいたモミジの下に立ったのを見て望遠レンズで写真を撮った。
--嬉野雅道

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1999年の秋。
まだ世間が20世紀だった頃。
水曜どうでしょうは、北欧へ行ってね、
「ヨーロッパリベンジ」というサブタイトルの企画を放送していた。前枠後枠は昔話シリーズで、「うさぎとカメ」もやった。
扮装は大泉さんがうさぎ。
ミスタさんがカメ。

20年前の枠撮りの日、高台公園の木々は鮮やかに紅葉していた。
撮影の合間に、カメの扮装をしたミスタさんが色づいたモミジの下に立ったのを見て望遠レンズで写真を撮った。

色づくモミジとカメの写真は「写真集2」に収めた。

昨日、なにげなく公園を横切ったら、
あの時のモミジがあの日のように赤く色づいていた。

モミジは言った。

「オレを覚えているかい?」と。

わたしは答えた、

「覚えているよ」と。

モミジは続けて言った、

「オレはあれからもずっとここに居たんだよ」と。

まぁ奥さんね。
そんなことをモミジが言ったなんてなぁあんた、もちろん単なる思い付きだけどね。でもね奥さん、枝いっぱいに鮮やかに色づいた葉を広げたモミジに見とれた時、あぁそう言えばこの木の下に昔、緑色のカメの扮装をしたあの人が立つという日があったのだなぁと、思い出してしまったことは本当なのよ。

想い出というものは、人をしみじみさせるねぇ。

ということで奥さんね、
つまんねぇと言われつつも、
本日は解散しますよ。
--嬉野雅道(水曜どうでしょうディレクター)

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