訪問医がお線香あげに

お世話になった訪問医が、ご挨拶かねて、母にお線香をあげさせてほしいとのことで、今朝来てくれました。

母が息を引き取る8時間ぐらい前に、訪問医は母を診に来てきた。その日の夜は、当直ではなかったので、死亡診断書を書いたのは別の医師だったが、こうしてわざわざお線香をあげに来ていただいたことに感謝したい。

「大変でしたか?」ときかれて、今はもうそうは思わないと答えた。病院から家に連れて帰ってきたのだから、もう少し長く生きるかなと思っていたところもある。

すると訪問医が、「亡くなり方は人それぞれで、なかなかどんなふうにいつ亡くなりますとは予想ができないんでね。不安だったでしょうね」と言われ、「そうですね。でも、出血したり、痛みで苦しみながらでなくて良かったです」と答えた。

訪問医は、車で来ているというので、大量に余ったオムツや備品を持って行ってもらった。ほかの患者さんに使ってもらえたらと。

午後からは銀行に行き、母の口座の解約手続きをしてきた。ついでに、夕飯の買い物をしようとスーパーに寄ると、またいつものように、気がつくと、母が食べていたものが目に付き、手に取って買おうとしていた。ヨーグルト、パン、カキフライ、イチゴ…。もう買わなくていいのに。

家まで戻ってくると、通りに介護タクシーが止まっていて、見覚えのある運転手さんが降りて、車椅子のおばあさんを車から降ろした後に、その娘であろう女性が支払いをしていた。それは、母を病院から連れて帰る時に利用した介護タクシーだった。運転手さんが80歳ぐらいのおじいさんで、母はあの日、あんなおじいさんが病院に迎えに来るなんてびっくりしたわ、と笑っていた。自分が、介護タクシーに乗る側でもおかしくない感じなのに、まだ頑張ってるな。

母とあのおじいさんとでは、何が違ったのだろう。母は、少し前までは、あのおじいさんより、よほど健康的に見えたのに…

悲しいから、今日はもう寝よう。



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