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NHK魔改造の夜「トースター高跳び」なるもの

「魔改造の夜」というNHKの番組がありまして。技術を持て余したものづくりの方々が才能と技術の無駄遣いをする番組なんですけれども、これを初めて観ました。お題は"トーストをトースターからできるだけ高くぶん投げる"。想像以上にドラマティックでした。

「魔改造の夜」というNHK番組

NHKは、比較的かたい、議論的または教育的な番組作りで知られている公共放送です。賛否両論ありますが、私の場合は、好んで観る番組がいくつかあります。ピタゴラスイッチとか72時間とかねほりんぱほりんとか。ドキュメンタリも好きです。CMが入らなくて観やすいというのもいい。

ただ、最近のNHKはオタクというかネットというか、そのあたりのサブカル的要素を積極的に採り入れた番組作りをしていることもあります。アニメやゲームやボカロはサブカルなのかメインカルチャーなのか分からなくなって久しいので、「ネット的」という表現のほうが合うのかもしれません。Twitterのつぶやきを番組作りに活用してることもあるしね。

で、「魔改造」という言葉は、私はネットスラングとして見る機会が多かったように思います。「そこまで改造するか、原型ねぇし 笑」みたいな改造レベルのことを意味してたかしら。いろいろ楽しいものです。

その「魔改造」をNHK主催でやってしまおうという番組が、「魔改造の夜」です。

6月29日放送「トースター高跳び」

「魔改造の夜」の2023年6月29日放送は「トースター高跳び」。ポップアップトースターでトーストを焼き、焼き上がったトーストをどこまで高くポップアップさせられるかを競います。

意味わからんね。

NHK【魔改造の夜】トースター高跳び https://www.nhk.jp/p/ts/6LQ2ZM4Z3Q/episode/te/GLQGJWZZJ7/

登場するのは、日本が誇るT大、半導体などで高度な金属加工技術をもつ墨田区のH野製作所、日本が誇る自動車メーカーT社です。調べると伏せ字無しですぐ出てきます。調べなくても分かるチームが2つあります。会社の制服にロゴ入ってるので、目のいい人は読み取れます。

縦横無尽な発想力

どこが一番跳ばしたかは再放送や配信を観ていただくとして、驚いたのは発想力と対応力ですね。

T大は計算とAIで、理論派な感じがすごく強い感じがしました。でも、他のチームと違う戦略で「ぶん投げる」方式を採ってました。マシンが登場した瞬間に他チームも「そうきたか…」と言ってました。試作段階では、他の2チームが採用した方式を試してたんですよね、確か。でも飛距離(?)が出なかったので、他の方法を採ったという形です。

ただ、なんというか。ちょっと不確定要素いっぱいありそうだなあ、みたいな装置のように思いました。実際、第1試行でエラいことになってましたし。そういう意味で、一番ドラマティックだったかもしれません。

H野製作所は、お題をもらってからの試作期間で、早々に原型を作ってしまってました。これは現場の力って感じ。高い加工技術があり、現実で多く使われている形も非常に有効に使っていたように感じました。跳ばし方の精度が高い。電動ドリルの使い方は爆笑しました。とにかく精度の高さを求めて実現させていく力を感じました。

T社は、多様なアイディアを試してみるという発想力が高い印象でした。戦い方もチャレンジ精神旺盛というか。試作期間の作品が一番面白かったかもしれません。

本番でも、2回目で飛距離を伸ばしてきた方法が予想外でした。正直、仕組み自体はさほど珍しいものではありません。そして見た瞬間に、金属同士の摩擦とか骨組みによる動きの制限だとかで素材の弾性を活用してもトーストの初速度に悪い影響があるんじゃないかなあと感じるものでした。飛び出した瞬間にガチャコーンいってたので、「やっぱり難しいかなあ」と。ところが、これが意外に跳んだんですよね。

ものづくりの方々の面白いところがいろいろ観られるので、ぜひ。


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