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土建屋狂騒曲#2 ICTってなにそれ美味しいの? 【序章】

 「おーい、うさぎ~ お前ICTやれよ」
 直上上司である社長兼ねてわが父の、「入社直後」の私に放たれた言葉である。
 はっきり言って非常識であろう。今まで幹部とはいえ自衛隊の普通科勤務しか経験のない私に投げかける言葉ではない。
 ここでいうICTとは建設産業における、「ICT施工」というものに限定される。奇しくも国交省がiConstructionを提唱し始めてしばらくした頃である。
 その他にも「カイゼンせよ」とご下命受けていた案件は多数あったのだが、その「いくつか」がICT施工の導入により改善される見込みがあったので、ICT施工化を最優先事項に掲げ実施する事にした。

 先ずは現況の把握である。わが社はそこらにある吹けば飛ぶような土建屋だったので、昔ながらのやり方だった。幸いにも何故かトータルステーションを持っていたが、誰も使っていなかった。幸いにも何故か2DMGのバックホウを持っていなかったが誰も使っていなかった。
 先代の「理解はできないがとりあえず新しいものを」と、いう言うなればミーハー(先見の明とも)な性格が幸いし、比較的新しい器材は揃っていた。人間はアナログなままだった。
 次に調査である。作戦戦闘の基本である情報収集をしなければならなかった。「ICTってなんぞや」そこからである。比較的早い段階で国交省のHPに到達した。
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/i-construction/related.html
(出典:近畿地方整備局ホームページ)
 「なんだガイドライン出てるならこれに乗っかればいいじゃない」と喜んだのもつかの間、「なにやらソフトや装置に金がかかるんだな」という途中結論に達した。以下が当時見積もったICT施工(土工)に最低限必要な物である。金額は適当にフかしたりしている。

〇ソフトウエア
・3次元設計データ作成ソフト 200マンモス
・3次元点群データ処理ソフト 200マンモス
・写真解析ソフト(metashape等)50マンモス

〇ハード
・トータルステーション又は同等品 300-150マンモス
・空中写真測量用UAV       250マンモス
・3Dマシンガイダンス/マシンコントロール バックホウ 2500マンモス
・GNSS 固定局・移動局及びコントローラ        800マンモス

 上記のものを揃えると、およそ4300マンモスになる。とても零細土建屋が一気に揃えられるものではない。5年償却と考えても年間860マンモスである。しかも上記内容のもの(特にハード)では対応できる工種は限られる。
 おそらく地場零細土建屋の今一歩ICTに踏み出せない一番の原因はここにあろう。

 さて、ある程度情報収集が済んだところで、今度は調達計画である。
 導入順序とメーカ選定は慎重に である。
 私は浅学であった為、ソフトウエアに関して「えいや」と全て必要であろうモノを導入した。結果的にはこの行為がいい方向に働いたため良かったが、会社の規模・条件により捨て銭になりかねない行為であることは明白である。
 当初導入すべきは3次元設計データ作成ソフトと、建設システムの「快速ナビ」に代表されるようなスマート施工管理アプリである。


 この二つがあるだけで現場監督はかなり楽になる。今まで見えなかったモノが見える。これはすごい(月並み)
 当然、機能を最大限活用するには先述した2D発注図→3D設計データの作業が必要である為、それなりの慣れと経験が必要である。が、この程度の作業は土木用CADを普通に使えて、専用ソフトの使い方に慣れるだけでいいので、事務員であっても可能である。
 費用対効果という観点でいうとUAVやTLSといった流行りの測量機器(使用用途・目的がまず違うが)なぞより圧倒的に上である。足踏みしている会社は先ずここからチャレンジするべきである。3D設計データの普段使いとして是非提唱したい。
 次に購入したのは空中写真測量用UAV(ドローン)である。

 が、疲れたのでこの程度にする。




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