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恋する乙女の底力【一人読み・朗読】

恋すると良くも悪くもいろいろ想像しますね。


使用時は利用規約をご一読下さい。

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恋をして

キミの事ばかり考える

ありもしない妄想が
とても鮮明で

気がつくと
勝手に幸せに浸ってる

例えばね

「おはよう」

て、キミの声

ああ好きだなぁ
と気持ちが溢れる

「オレも好きだよ」

だなんて
やけにリアルに
ちょっと照れくさそうな声が
耳の奥に届く

突拍子もない捏造

ああ
自分の妄想力がおそろしい

図々しくも
本当に言われた気がして

ふひひ

なんて変な声が漏れる

手をのばすと
キミの指先に触れた気がする

そっと握って

ぎゅっと握って

嬉しくなって

ふふっ

また笑い声がこみ上げる


ああ
好きだ

キミが大好きだ


ここにはいない
声も聴こえない

当然
この握った手は空っぽ

なのに
私のとてつもない妄想力は
身体の外へ飛び出し

触れ合う距離を
温度を
握り返してくれる強さを
愛しい声を

五感に染み渡らせる

まるで現実だと
強く思えるほどに


ねえ大好きだよ

そう言うと

ありがとう
オレも好きだよ

またキミが笑ってくれた


ただの幻

されど幻


一人
部屋で
道の端っこで
歩いてる途中で
布団の中で

頭と心で
キミとのもしもを楽しんだって
バチはあたらない

よね

多分


想像で繋いだ手を
さらにぎゅうっと握って

ぶんぶんと大きく揺らす

重なり合うこれが本物なら
今頃ペッタンコだ

そんな事考えたら面白くて
楽しくて
嬉しくて
じんわりあたたかくて
幸せで

きっとこのあと
我に返ると恥ずかしくて
何やってんだか
と、すこーし虚しくなる

だから今は
めいっぱい幸せに浸って
愛しくてたまらない想いを
届けたくて

隣のキミに
しまらない顔で笑いかける

デレデレだ


いないキミが
ここに居る

優しいキミを感じる

これこそまさに


恋する乙女の底力

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