スピリチュアル父さん/美輪さん

おじいちゃん領域突入

うちの父はアラカンを過ぎ、おじいちゃんに辿り着いてしまったと最近しばしば嘆くようになった。

ある時、目の前からやってくる男性が白髪のおじいちゃんだと思って道を譲ろうとしたら鏡に映った自分だったらしい。

その姿に愕然とし、

「そりゃあ、バスや電車で席を譲られるようになるよなぁ。」としばらく呟いてた。

悲しみオーラまんまんである。

席を譲ってくれるなんていい人たちではないか。優しい心を持って、お年寄りに席を譲る。スマホをずっと見て気づかない、気づかないふりをする人だっているんだしと思った。

そんなおじいちゃん領域に突入した父は、小柄な体に少し大きめのリュックを背負って仕事に行く。

なんだろう。父のその後ろ姿は小動物がうっかり人間界に出てきてしまったようなそんな後ろ姿なのだ。

おとといはカレーを食べながら、

「週に休みが3日あるくらいがちょうどいいなー。明日金曜で、もう休みか〜!!やったぁ!」

と屈託無く、すごく楽しそうな顔で言っていた。

父を形容する言葉を探すと、憎めない人がぴったりだ。

わたしも週4勤務がいいなーと思った。 


美輪さん

昔、美輪さんと江原さんのスピリチュアル番組があって、それを父と母は毎週のように見ていた。

その当時のわたしはスピリチュアルにあまり興味はなく、気になる芸能人の回だけたまになんとなく見ていた。

父はその番組の影響で、すっかりその世界にハマっていた。

その当時の父の携帯の画面は、周りにきんきらきんのオーラをまとった美輪さんが真ん中にいて微笑みかけているものだった。

思わず突っ込みたくなるような画像だった。というか、突っ込んだ。

「え、なにそれ」

「いいだろ〜これを待ち受けの画面にしてると運気が上がるんだよ」

とニコニコして答えが返ってきた。

それから運気が上がったのかはわからないが、その待ち受け画面にすることで前向きになっていたのならよかったのかなと思う。

その番組のおかげで、わたしはひとつ得をした。

その後10年近く経ち、わたしが経験したスピリチュアルな話をし始めるようになると、父は魂の話ができる素晴らしい身近な理解者となった笑

何が後になってから役立つか、本当にわからないものだ。






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