平成最後の冬までを語り続けて自己紹介⑥ ―嵐と熱意と約束と―

小学5年生の時、担任の先生が変わりました。田舎の学校だったせいか2年に一度しか担任が変わらなかったので、自分にとっては3人目の担任です。

その先生は我々の担任となるのと同時に赴任してきた方で、以前着任していたのはかなり離れた地区の学校でした。そのせいだったのでしょうか、独特の持論や指導方法を貫く、いわゆる「熱血教師」だったのです。

いじめやグループや男女間の壁や、清々しく学校生活を過ごすには障壁となるであろう様々を、先生は「こんなクラスはおかしい」とはっきり断じた上で、生徒たちを叱り飛ばし、言い聞かせ、じっくり話し合って、ひとつひとつ破壊していきました。
そうです、この先生が担任になり、尽力してくれたおかげで、やっと私へのいじめも止んだのです。
もう一生状況なんて変わらないのだろう、と諦めて過ごしていた日々に、それは嵐のように訪れた奇跡でした。

と言ってもすぐには馴染めず、笑ったり意見を言ったり、いろいろなことがうまくできなかった私を、先生はじっと待っていてくれました。「今まで全然喋ってなかったんだからちょっとくらい喋らせてやれ、好きなようにさせてやれ」とほかの生徒たちにも頼みながら。すぐに先生やクラスや常識のルールにはめ込んでしまうのではなく、「多目に見てくれる」期間を持ってくれたことは、いきなり状況が変わって戸惑っていた自分にはとても大きなことだったのではないかと振り返ると思います。大人になったから余計にそう思うのかもしれないですが、「待ってくれる」人は本当に少ないのです。

今ならかなり間違いなく怒られるであろうことも先生はやってたし(そんなに問題があるわけじゃないけど文句言う人は言うだろうなあと)、宿題はめっちゃ多かったし、あれは必要だったのか?と今振り返っても感じることもなかったわけじゃないけど、はっきり言って今までに習ったどの先生ともこの先生は違いました。
それは「仕事への熱量」です。先生にだって生活があり、仕事は生活のためにするものでもあるから、仕事にすべてを捧げる必要はない。私生活は尊重されるものでなければならないでしょう。けど、教師という仕事は特殊で、時として生徒の一生に影響を与えてしまうことすら起きうる、ともすれば非常に責任の重い仕事でもある。先生にとっては何千人もいる生徒のひとりでしかなくても、小さな子供の世界から見ればたった一人の先生の存在はとても大きなものなのです。
その責任から逃げることなく、全力で立ち向かっていた先生は、私の知る中ではこの高学年の時の担任くらいだったと思います。私はどの先生のことも全然嫌いじゃなかったし今でも懐かしく思い出したりもするけど、自分自身に起きたことを振り返ると、やっぱり「決められたこと以上のことはやらない、何もしてない」という状態に近かった先生が多かったのかな、と考えてしまいます。
ここまでしなければ教師という仕事は全うできないのか、と子供心に感じ取った私は、人生の早い段階で将来の職業選択から「教師」を外していました。自分にはここまでできないと思った。ここまでしなければ私のような子供に向き合えないのなら、私の目指すところは別にあるな、と率直に思ったのです。

何も喋らず、笑うこともなく、教室の隅で本を読み、飼育小屋でぼーっとうさぎや鳥を眺めているだけの子供だった私は、クラスメイトと大笑いしながらバカなこともいっぱいやって元気に過ごすようになりました。ほぼ別人ですよ(笑)。どっちが本当の私だったのかはよくわかりませんけども。どっちも私なのでしょうが、「大人しいけどひねくれた私」はやっぱり自分を守るために作った人格だったのかもしれません。今も普通にいますけどね、もう馴染んじゃってるし。

私がちょっと変な子供だったのを、先生はよくわかってたみたいでした。その上で、個性を尊重してくれていたと思います。そういうことができる先生でした。先生もまだ若く、でも決して若すぎず、情熱を仕事に注ぐことができていたからかもしれませんが、きっととてもいい時期に我々は巡り会えたのだろうな、と振り返ってみて思います。

小学校を卒業する時に、先生は私にこう言いました。

「あんたはよく勉強して、語学をたくさん勉強して、そして本を書きなさい」

この言葉は今もずっと、私の人生を支えています。語学はあんまり才能なかったけど(笑)、あれはいろんな国を見なさい、ということだったかもしれないですね。本も書けるような人間にはならないだろうと、せいぜいいい読み手でいるくらいでいいかな、なんて思ってたけど、気が付いたらライターを勝手に名乗ってるという事実…。子供の頃からお話を作って遊んだり絵を描いてふわふわと妄想ばかりしていた私を先生はちゃんと見ていてくれたのかな、なんて今振り返って(今回この言葉ばっかり使ってますが)思います。

めちゃくちゃ大回りしましたが、本はともかく今ブログを書きなぐってるので、先生との約束は少しだけ果たせたかな。語学…。うーん、今からやりますか(笑)。この人信頼できるかも、と思った占い師さんに「言語を二つ以上学ぶといい、将来いろんな国へ行くから」って言われたこともあるのよねえ。しかし現実は英語もろくに喋れないからなあ…。
私はどうも独学だとあんまりやらないタイプで、授業だけに一点集中して基礎を学んで覚えて、という方が向いてるっぽいので、習いに行かなきゃダメだろうな、とは自覚してたりする。うん、金がないんだ(笑)。ラジオ講座もサボってたけど、そろそろ復活させようかしら。だらだら聞いてるだけなんですけどね。

そんな感じで、最後の1年半くらいは楽しく学校生活が送れたおかげで、いじめで壊れた心はそのままでも、少なくとも今もクラスメイトを恨んだりしなくて済んでいるのですよ。それは本当に良かったです。終わりよければすべて良しとはよく言ったものです。
いじめは大人になっても心に傷を残すこと、そして「いじめなんてどうしようもないから手を出さない」は言い訳でしかないこと。私の話をひとつの事例として、知っていただけたらな、と思います。

ではでは、続きはまたいずれ。


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