Notte Stellata ~平昌オリンピック~

本日の記事は2018年3月6日にはてなブログへ掲載した記事の再掲です。掲載にあたって多少の加筆修正を行っています(相当短くしました)。全23回(+1回)シリーズの記事ですが、この記事のみ抜粋して掲載します。
もっと別の機会に載せるつもりだった記事ですが、本日は羽生君の誕生日なので、おめでとうの代わりにこのポエムを←いらん…
昨年の誕生日には、昔「NHKみんなのうた」で流れていた『お誕生日おめでとう』という歌を贈りたいと勝手に思ってたっけな。どうか足と心を大事に。いつまでも、いつまででも待っています。誰が何と言おうと、私はあなたとあなたを支える人たちを信じています。四年前も、昨年も、そして今回も。
元の記事はこちら→「平昌オリンピック雑感:22

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★2月25日・エキシビション②

23:羽生結弦
衣装のストーンがきらめく。漆黒の瞳が夢を見るように天を仰ぐ。リンクにデネブの輝きが降りそそぐ。
これまででいちばんいい出来の『Notte Stellata』。涙が出そうだ。信じられないほど美しい…。
ジャンプにしか注目しない人は考えることもないのだろうが、このプログラムはおそらく羽生君を極限まで美しく見せるためのプログラムだ。それを可能にしているのは、羽生君の圧倒的な滑りの技術である。何気なく滑っているように見えるひとつひとつが、ただひたすらに美しい。しなやかに弓を描く背中、羽根が舞い散るようなスピン。最後に宝物のように挟まれる、ディレイドアクセルとトリプルアクセル。羽生結弦という宝石を、その星のような断面のすべてを、世界中の人類の記憶にしまっておけるように、神が与えてくれた贈り物。
そう、これは奇跡だ。星をリンクに閉じ込めるにはどうしたらいいのか、知恵を出しあって生まれた奇跡。この曲を選んだタラソワ、振付をしたウィルソン、ほかにもきっと数多くの人が、輝く星をいとおしむように作り出した奇跡。
繊細で、無垢で、少女のように微笑む少年の瞳。性別も、年齢も、生命さえも超越した、満天の星空を駆ける白い翼。この星がいつか人になってしまっても、この日の記憶は映像という人類の知恵の中にいつまでも残る。繰り返し繰り返し、同じ夢を見て人は思う。あの日の記憶は幻ではなかったと。あの日見た夢としか思えなかった奇跡は、オリンピックのリンクに永遠に閉じ込められているのだと。星の見えない夜にも、歌の聞こえない朝にも、閉じ込めた記憶を紐解けば、そこには空からこぼれ落ちるように星が瞬いている。美しいものを美しいと呼べること、それは人間の生きる喜び。人であることの幸せ。


何度も何度もショーで本人を見てるのに、本当にこの人存在してるのかなと今更考えてしまうほどこの世のものとは思えなかった。こんな演技のできる男子選手もう出てこないと思うよ…。普通の男にはこの繊細さと清らかさは出せない。そんなもの備わってない…。中身阿修羅なのに、たぶん相当なオタクなのにもう地球どうなってるの←混乱←どっちの羽生君も大好きです

滑り終えた羽生君がリンクにとどまっている。普通は挨拶をして捌けていくのだが…。そこにテッサ、スコット、ザギトワが近寄って来る。テッサがマイクを手にスピーチ。そうか、金メダリストからの挨拶か。

そしてエキシビションはフィナーレへ。まずペアの女性だけ出て来る。リンクに広がる華やかさ。その中央には本当はアリオナがいたんだろうな、と思うと少し切ない。
女性たちを相手の男性たちが待っている。アイスダンス、それからシングル。頂点を目指しこの地に集った才能のきらめきがリンクを駆ける。
ひとり加速して滑っていく羽生君。リンクの中ほどで立ち止まり両手を広げる。その慈悲深い腕の中へ皆が集まってくる。抱きしめ合う笑顔。めちゃくちゃ感動的な絵だった。まさに世界平和だった。今までに見たどのオリンピックのエキシビションよりも優しく、温かかった。チープな言葉だけれど、そこにあったのは、愛。

いやー、いいエキシビションでした。プログラムのバランスも取れてたと思うし、ラストのノッテ・ステラータは世界を浄化した気さえする。何よりスケーターたちが皆楽しそうだった。このオリンピックにおけるフィギュアスケート競技はかつてないほど見応えがある戦いばかりだった。それをもたらしたのは選手たちの競技へのひたむきさだ。スケートが大好きだという気持ちだ。「大好き」という想いは、きっといちばん簡単にかけられる幸せの魔法なのである。

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