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うちの旦那は気長な浦島太郎

うちの旦那は大変気が長い。


結婚する前、レストランで注文が来ないので店員を呼ぼうとしたら、

「店員も忙しいんだね。きっとそのうち来るよ。ほら、こんなに席数があるのにあんなに店員の人数少ない。大変だ〜」

と静止する彼に私は衝撃を受けた。

仏か、
キリストか、
ガンジーか、
ナイチンゲールか、

とにかくそのどれかの生まれ変わりだと思った。

特に、

ウルトラせっかち家系で育った私としてはなおさらカルチャーショックだった。

15分前に法事会場に到着していないと倒れたのではないかと大捜索される祖父を元祖とし、

父も母も締め切りの1週間以上前に全てを完璧に完了し、

分からなかったり、不備があれば光速で問い合わせるタイプ、

家訓は言われたことはないが、掲げるとしたら
『先手必勝』
『黙って待っていたら負け』

というような、前のめりぎみ家系。


そんな中で私は、

列に並んでいると、
どんどん他の子に抜かされて、譲ってしまい、気づいたら最後尾になっているような子供だったので、

この時は母に何してるの!とこっぴどく怒られた記憶がある


幼少期からいつも呑気、遅い、何故この親からこんなにのんびりな子が産まれたのかと言われていた。

だから、レストランの件しかり、

私が旅行の時どんなに出発の準備が遅くても、のんびり本を読みながら何も言わずに待ってくれる旦那のペースがすごくいいなぁと思って結婚した。

この人は私と同類なのだと思った。


ただ、最近

日に日にSKC遺伝子(Sekachi gene)がなんらかのタンパク質を産生し、

ずんずんと私を侵食しているのか、

そもそも同類だと思った私が間違っていたのか分からないが、

旦那の忍耐やのんびりが私の想像を遥かに超えており、

夫婦の中で完全に私は短気キャラと化している。

そして、列を抜かされガール時代の自分はもうおらず、我が実家の家訓、

『先手必勝』
『黙って待っていたら負け』

が正しいと思い、実は体現してしまっていることに気づいた。

自分側の親族の中ではまだまだのんびりランキング一位だが


旦那の赴任に合わせて海外本社採用を目指した際も、

今思うと結構面倒な社員と思われても仕方がないくらい主張し、

それだけならまだしも、

コロナで渡航出来ない間や予定よりも早く旦那の帰任疑惑が浮上した時には、

今度は日本から本社の仕事をさせろと、騒ぎ、

とにかく『黙って待っていたら負け』精神で私は言い続けた。

一方の旦那は、この間、

ずーーーっと、静かに待っていた。

私が海外本社採用されるまで待ち、
私のコロナ渡航キャンセルの解除を待ち、
自らの帰任説が出てからも会社指示を待ち、
帰任が決まってからも辞令を(かなり)待ち、

私がはっきりしない旦那の会社と旦那に
イライラカリカリし、
むしろ旦那の会社に電話をかけてやろうかと
キーキー言っている間も、

彼は大人しく待っていた。

仙人のように待つという彼の姿勢は時に私の理解の範疇を超えていた。



でも、


最後まで二転三転の中辞令が決まった際、

『この国出る時、色々思い出して泣いちゃうかもなぁ』

感動映画でも涙を流さない旦那がぼそっと言ったので、

ほんとは辛かったんだなって。

言わないだけでコロナ禍異国の地で一人待っているのも相当限界だったんだなって。

ずしん、と来るものがあったので、

帰ってきたら

心から

本当にお疲れ様

気長に待ってくれてありがとう

と言おうと思った。

そして、

日本でここ最近急激に浸透した電子マネーの説明を聞き、

どうやって夫婦の家計管理に取り入れるかをワクワク話す浦島太郎くんな旦那を見ていて、

なんだか

私はほっこり幸せな気持ちになったのでした。



【余談】
今回旦那を見ていてもう一つ分かったのは、永遠のポジションは保証されてないが、自らの希望で動くキャリアのが、安定が保証されているが会社の指示で動くキャリアより自分的に好みだなということ。

多分私が彼の立場だったら、はっきりしない会社に苛立って課長、部長飛ばして部門長以上に直談判し、怒られ...そして、嫌になって転職してしまってただろうなと。笑

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