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乃木坂34th、僕が見たかった青空2nd、WHITE SCORPION配信1st~2ndシングル感想

乃木坂46 34th Single「Monopoly」

1.Monopoly
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

ゴージャスなジャケ写、シブツタを貸し切ってのゲリラ披露、SNSでの匂わせ暗号など諸々の仰々しいプロモからの「自転車を坂道で駆け上がる系アイドルソング」はマーケティングと楽曲チームの意思疎通取れてるん?と思いつつ、単純に杉山勝彦作曲の王道爽やかアイドルポップが良い曲だったので「まあ細かいことはいっか」になってる気がする34th表題。好き曲です。
これ、イントロ・Aメロ・サビとメロのリズムが一緒なんですね。なかなかのストロングスタイルだと思いますがこれで一曲突き通すのはお見事。一方でそれ以上のパンチが欲しかったのも事実かもしれない。
その上で間違いなく久保史緒里さんボーカルが楽曲の底上げをしています。乃木さんは露骨にフロントメンに歌割を当てる印象なので、この方針を続けるなら久保ちゃんと今回2列目に下がりましたが井上和さんの歌うまコンビはずっとフロントに置いてください。

MV、これは素晴らしいです。可愛いとアートの両立。極彩色の映像美を魅せつつもちゃんとメンバーがアイドルとして撮られてる。三列目メンバーの出番は少ないので思う所がある人はいるかも(その点前作のおひ天は愛情があったかも)。何だかんだで今の日本でトップアイドルは乃木坂なんだをこれでもかと表している映像ですね。
そして前髪重めさくちゃんが超絶かわいく撮れてる。なにこれ。

2.思い出が止まらなくなる
(好き度:☆☆☆☆☆☆)

本作のアンダー楽曲。センターは5期生中西アルノ。
あまり当noteでは言ってなかった気がしますが、宮田愛萌・鈴木絢音・北川悠理と坂道シリーズの推しが次々と卒業したいま、あえて一人を選ぶならと聞かれたら現在の筆者は中西アルノさんを選びます。arutalk取ってます。それを前提に以下を読んで欲しいんですが、正直に言うと最初はこの楽曲にあまりピンときませんでした。
先ず、このタイミングで彼女がアンダーセンターに選ばれるとは個人的には想定外(そんなベタな復活ルート?を運営サイドがこのタイミングで敷くとは思ってなかった)という点で意表を突かれ、クレジットの作曲youth caseで期待値を否が応にも上げられ、そしてこのMV初解禁。
ライブでの『Actually…』シャウトで彼女を見る目が変わった自分としては、この王道というべきなのかアイドルポップと"中西アルノ"を繋げられずにいたんですね。いまいち楽曲のなかで彼女の歌が浮いているような気がして。時間と予算がないのかMV自体がチープだったというのも曲の初聴感想にデバフを掛けていた気がします。プラス、王道をあてがうことが彼女にとっての正解なのか、それは枠に彼女を当てはめてるだけでは?とめんどくさ解釈オタクになってしまい、あまりこの曲の事を考えないようにしてたんですね。

そして、彼女が座長なら行かない訳にはとアンダーライブに足を運び、この曲をトリで聴くことになる訳ですが、完全に音源とは別物だったんですねこの楽曲。生で観ると断然映える。アンダラだけでなく、これまで紆余曲折あった彼女のヒストリーが"止まらない思い出"としてパフォーマンスに乗り、ライブでの大団円を迎える。詞にもあるように「この地球が自転すれば少しずつ変化する」という諸行無常を描いたフレーズが中西アルノに重なって”今を生きている”"このライブを完遂しようとしている"彼女に想いを馳せるともうそれは、感情ぐちゃぐちゃになるんですよ。刹那の煌きと儚さを表現している楽曲へと変化してしまう。
Actualy…もこの思い出が止まらなくなるも音源だけではそのポテンシャルは測れません。配信でもいいです、ライブでの彼女を見てください。

3.助手席をずっと空けていた
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

梅澤キャプ、松尾美佑、五百城ちゃんと各期の高身長メンが揃ったユニット曲。どこかノスタルジックを誘う、昭和歌謡リスペクトな楽曲ですね。作曲は欅坂46『渋谷川』を手掛けた中村泰輔氏。この手の技はお手の物ということでしょうか。編曲には名コンビのTomoLow氏。
とにかく五百城ちゃんのソロが曲とマッチしてて素晴らしい。1サビ前の「アプローチ♪」と2A「今日言おうとして~」彼女の声質だけで☆1つは上積みできます。なので、欲を言えば彼女のソロもっと多めで聴きたい。梅さんと松尾ちゃんも透き通った声で悪いとは言わないけど。もっと欲を言えば奥田いろはさんとのデュオ「カフェオーレ」楽曲にしてほしかった。

4.羊飼いよ
(好き度:☆☆☆☆☆)

久保史緒里、林瑠奈、中西アルノと各期の歌唱メンを集めたユニット曲。
「チャレンジは買うけどさ…」が自分の感想です。
確かに歌うまじゃないと乗りこなせないグルーヴでもあるけど、このメンバーでやる必要がある曲なのかなとも。「ダサかっこいい」を狙おうとして、「ダサい」「かっこいい」が曲中で共存せず分離した結果悪目立ちしてるアプローチだなと。
チャンチャンカの小梅太夫パートはどうあがいてもダサいし、久保ちゃんのボーカル、台詞ともに舞台チックというか過剰演技なのが気になった。これは曲というより詞とボーカルディレクションの問題?台詞においてはアルノさんの甘いトーン、ボーカルは林の冷めたテイストの節回しがこの曲では合ってたと感じました。コーラスワークでの久保ちゃんは超良い。
アトノマツリの時といい、横ノリやるなら本気で詞を外注した方がいいと思う。惜しい楽曲。

5.手ごねハンバーグ
(好き度:☆☆☆☆)

与田ちゃん、たむまゆ、一ノ瀬ちゃんという可愛い全振りユニット。
こちらも昭和歌謡リスペクト。ただこのEP流れで聴くと『助手席をずっと空けていた』の下位互換にしかならないというのが正直な感想。なぜこの2曲一緒にしちゃったんだろう…聴きどころも助手席に~と比べると少ないし、男声コーラスは煩いし、曲は5分近くと長い。残念ながら「あえてこの曲を聴きたい」という気持ちになりづらいのが正直。ライブで3人のぶりぶり衣装を観て脳を溶かすのが正しい楽しみ方なのかしら。


6.スタイリッシュ
(好き度:☆☆☆☆☆☆)

山下美月・賀喜遥香・菅原咲月のユニット曲。括りはなんだろう、各期の特攻エース的なこと?意図は分かるけど言語化がむずいやつ。
そしてこちらもまた懐メロテイスト。助手席、ハンバーグがドライブミュージックな昭和フォーク歌謡系統ならこっちはマイナー調な昭和アイドル歌謡。中森明菜とかみたいな(詳しくないけど)。
「こういうジャンル」と割り切れば聴いてて楽しい曲です。「そらこの音から始まるならこの音で解決するよね」の暴力。吉本新喜劇です(見たことないけど)。曲名、『スタイリッシュ』じゃなくて『ベテラン』とかでいいと思う。

7.いつの日にか、あの歌を・・・
(好き度:☆☆☆☆☆)

5期生楽曲。今回のセンターは最年少の小川彩さん。筆者の5期内二推しでもあります。
作曲は『人は夢を二度見る』や僕青の『青空について考える』を手掛けた松尾一真。メッセージ性が強い康詞と組み合わさることで良い意味だと重厚で品がある、悪い意味だと説教臭くなる作風は今作でもという感じ。

あまり詞の観点からは楽曲感想を書いていない当noteですが、どうしてもこの曲の性質上は多少そこに触れざるを得ない。「先輩の歴史を誇りに思う、いつの日か私たちもそこへ」というこの主テーマをどう思うか?がこの曲の評価に明確に影響する曲だなと思います。(つまり曲的には良くも悪くも…語りじろはそこまで…という感じです)
デビューして2年近く、すでに表題センターも井上和が経験しており、現選抜に5期の半分以上が入っている今のタイミングで出す曲でこれは合ってるのか…と筆者的には思うのです。「小川彩ソロ曲」なら分かりはするけど。

音楽とは関係ない面で、ものすごい個人的な思想で言うとあまり「伝統の継承」が好きではないというのもありますね。「伝統を疑いつつ、でもいいところは取り入れつつ新しいものを創るのが未来のあるべき姿」が好きな価値観でもあるので、櫻坂の『マモリビト』とともにnot for meなテーマというのもあります。

ちなみに自分は小川彩さんは選抜どころか2年以内に表題センター獲ってもおかしくない逸材だと思っています。ダンスをはじめ先日アンダラでの存在感はとんでもなかった。

僕が見たかった青空 2nd Single「卒業まで」

1.卒業まで
(好き度:☆☆☆☆☆)

「なぜ…」というのがこの曲に関する自分の一貫した感想ですね。
令和発アイドルの2ndシングル表題として出す曲、としてこれは流石に逆張りがすぎる。昭和風、とかじゃなく昭和フォーク歌謡そのものじゃないかという。そういったレトロ歌謡をエッセンスとして取り込んだ最新曲、という訳でもなく何の工夫もなくそのままそれを持ってきただけにしか自分には思えない…"逆に新しい"ではなく純粋な"古い"。
乃木坂とか日向坂のファン(紳士の部)を取り込みたい思惑でもあるのか…という悪い発想になっちゃいますね。
逆に(逆に?)、"こういうジャンルの昭和フォークを女子アイドルが歌ってみた"ベクトルで聴けば悪い曲ではないんですけどね。ただいまのこのグループが置かれている現状を踏まえて「これやってる場合ではないしそんな余裕なくね?」とは思います。

2.君のための歌
(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

「こっちのが表題でいいだろ」は僕青でもあるのね…という…。
日向坂46『キュン』『ドレミソラシド』でおなじみ野村陽一郎が作曲を手掛けた爽やかなアイドルソングです。
清涼感に溢れた打ち込みサウンドで非常に聴きやすく、これは好きな人多いんじゃないでしょうか。日向坂4期生の楽曲が刺さる人は間違いなくこれもお勧めできます。
一方で彼の楽曲に見られる"躁"っぽさとでも言うんでしょうか。『見たことない魔物』のように派手なシンセリードがある訳ではなく、ピアノとキックが主体のまま良い意味で温度が上がりすぎず全編進んでいくので、これを"品"と捉えるか"物足りない"と感じるかで細かい評価が分かれるかもな気はします。いわゆるライブでハイボルテージになる"アゲ曲"かと言ったらまた別なのかな、とは思いますが2段構えのサビや緻密なコーラスワークもあって楽曲としての完成度が凄い。

個人的には『制服のパラシュート』と並ぶ、このグループで1,2を争う名曲です。間違いなくこっちが表題でよかった(なんなら日向坂に欲しかった)。
今回の僕青、選抜制度が導入されこっちがアンダーらしいですがむしろこの曲をあてがわれたこちらのが当たりだったのでは?とさえ思う。

3.暗闇の哲学者
(好き度:☆☆☆☆☆☆)

冒頭からしばらくは壮大なスケールのオケに陰気寄りなメロが乗る欅イズムな楽曲かな…と思いきや、徐々に曲が進むうちに霧が晴れるように開けていく、詞も明確な希望に変わっていく救いのある楽曲。Bメロの連符や全体的に見られるマーチっぽいリズムがアクセントになってて良いですね。この作風が好きかどうかは分かれるかもしれませんが、少なくとも作り手の"ガチ"は感じます。

4.微かな希望
(好き度:☆☆☆☆☆)

聴かせるタイプのバラード。メロに既視感があるなと思ってパブサしたらスピッツの楓という意見が散見されててそれだ!となりました。
この曲、メロの向かう方が絶対に歌い上げるタイプのソロを聴かせてナンボな楽曲だと思うんですがそれは1A、Dメロの一部でしか無く、ユニゾン中心なのが残念。あと泣きのギターが随所に入るのはちょっと余計だったかな…

5.真っ白に塗り直せ!
(好き度:☆☆☆☆☆☆)

本EPでいちばん面白い曲だな、と思いました。というのも「まんまAviciiやっとるやんけ!!」な楽曲。このカントリーとEDMを掛け合わせたサウンドメイクで一番に思い出すのはAviciiでしょ。
昨年を思い出して、乃木坂のおひとりさま天国はAvicii『The Nights』とカーリー,Owl Cityの『Good Time』を元ネタに邦楽用チューニングを掛けた楽曲だったと思いますがこれはAviciiの『Wake Me Up』を原液で坂道フィルター
通してる感じ。もうここまで行くなら開き直ってサビもドロップでいいのでは?と思っちゃった。僕青、過去の坂道シリーズ楽曲を参照して色々やろうしてるのは伝わります。あとは「ちゃんと表題に良い曲を持ってくること」かなと。ここは日向坂と共通する課題。

WHITE SCORPION

配信1st Single「眼差しSniper」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

昨年末にデビューした秋元康プロデュースによる11人女性グループ、WHITE SCORPION。「IDOL3.0 PROJECT」というプロジェクトの元にメタバースやNFTなどのWeb3.0を見据えた活動を予定しているとのことです。
オールドメディアの象徴の一部といっても過言ではない御大と最先端のビジネスを掛け合わせたこの座組、世間的には割と冷ややかな目で見られているのが現実ですが食わず嫌いはよくない、との思いでちゃんと楽曲聴いてみました。

これはこれで…まぁ良いんじゃないだろうか?というのが自分の感想。
MV監督に池田一真、振付にTAKAHIRO、作曲は中村泰輔・TomoLow共作という坂道シリーズ作家のオールスター集結。秋元御大の詞も比較的スタイリッシュに振ってて余計なことはしてない言葉選び。
音楽面。レコード会社はキングレコードなのだけど、00年代前半のavexみあるダンスチューン。この楽曲で「令和の最先端ビジネスとコラボした新時代アイドル!」みたいに売り出すことには懐疑的ですが、単純にこれ歌謡曲としてわたし好きですね。歌モノとしてもしっかりしてるしメンバーの歌唱もデビュー曲としては非常にレベルが高いものと思います。
全体的な印象は上記でも触れた通り「平成にavexで聴いた気がするやつ」なんですが、トラック自体がかっこよくてリピートに耐えますね。2サビ明けの間奏が特に広がりのある低音が効いてて良いです。アウトロも冒頭のストリングスではなくこの間奏のリフレインなのがお洒落です。パーセルマウスみたいな囁きはいらんと思うけど。
ダンス動画も公開されてますが、秋元系の割には比較的人数を絞っているというのもあり非常にパフォーマンスも見やすいです。良作。

配信2nd Single「コヨーテが鳴いている」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)

1stのようなスタイリッシュ系に振ってそれを主軸で行くのかなと思いきや、年頭に発表された2ndは思いの外王道歌謡曲でした。ブラスを主軸にしたトラックが耳を引く90年代風のポップス、「純粋に曲と歌で勝負!」みたいな楽曲です。こういうのめちゃくちゃ好きなんです。
前作はボーカルのエフェクト色が強かったですが、今回は個々の歌声にフィーチャーされてますね。このグループ、結構歌えるメン多いのでは?
やってる事は平成レトロ、トレンドというよりも日本のガラパゴス邦楽なんですが、音作りがまんまそれじゃなくトラックの空気感が現代風にブラッシュアップされてる気はするんですよね。あまりここら辺のミックス界隈詳しくないので詳しくは言語化できないんですが。有名どころだとレコーディングに売れっ子のCarlos K.が関わってるみたい。作曲はアニソンを多く手掛けてる増谷賢さんですね。キャッチーなのも納得。

MVもなかなかにアイドルしてると言いますか、一人のメンバーに焦点を当ててひたすら「存在しない記憶」を見せていくスタイルで。意外と尖った感じではないんだな~という。
今後もひと月感覚で新曲がリリースされるみたいなので引き続き追っていきます。また気が向いたらnoteで取り上げますね。

・君がサヨナラ言えたって・・・ / 櫻坂46
(好き度:☆☆☆☆☆☆)

おまけにもう一つ。
櫻坂46、小林由依さんの卒業に際したソロ曲です。おそらくこの曲、売り出し的に弊noteでレビュー済の7th「承認欲求」のシングル曲となるのかなという事でここでレビュー消化しときます。
MVは過去の欅楽曲要素が散りばめている(らしい)こともあり、本人のこれまでの活動にリスペクトを込めている作品ですね。
ただ楽曲単位での印象は、モロに平成サウンドをそのままやっている感じですね。dreamでこういう曲何曲かありそう。犬夜叉のEDで流れてそう。作曲のYSUさんは日向坂の10秒天使や自販機と主体性を手掛けていることもありこういう方向の作家性なのかな…と思いきや筆者がベタ褒め案件のSKE好きになっちゃったも作曲してる。

一方で、まんま平成中期avexサウンドが曲の余韻としての儚さ、そこにこばゆいさんのボーカルが乗ることで"確かな終わり"感の演出にもなっており、そこは非常にマッチングしているなとも思いました。卒業ソングは得てしてそういうものでもありますが、本人やその辿った軌跡にどれだけ感情移入できるか、が非常にその人の曲評価として反映されるタイプなのだとも思います。
ちなみに、自分はあまり「欅坂」に良い印象を持っていたタイプのファンではない櫻坂新規なのですが、それでも過去の彼女たちの楽曲に追ってみよう、と思ったのは小林さん参加の『渋谷川』でした。自分が坂道シリーズの楽曲を追うきっかけになった一曲、それを歌っているメンバーでもあります。

小林由依さん、8年半のアイドル活動お疲れ様でした。
これからの人生に幸多からんことを。

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