見出し画像

ロックの「お作法」〜曲の構造

「既存の音楽概念をぶち破る、それがロックだ!」と評論家が言っても、「お作法」があります。

今回は曲の構造的な部分からアプローチしてみたいと思います!

基本的な楽曲構造①〜ヴァースとコーラス

日本の楽曲で言うと「ヴァース」はAメロで「コーラス」はサビにあたります。

コーラスの前にはBメロ的な「プレコーラス」が入ることが多いです。これはコーラスに向けて盛り上げる役割を持ちますが、必須ではありません。

あと、いわゆる大サビ前の繋ぎにあたる「ブリッジ」というのもあります。

基本的な楽曲構造②〜フレーズの成り立ち

ギターとボーカルが掛け合いながら進行します。典型的なのがデレク・アンド・ドミノス(というか実質エリック・クラプトン)『レイラ』です。

ギターのフレーズがあまりにも有名ですね。その美味しいフレーズとボーカルが掛け合いになっているような気がしませんか?

ギターが何か弾いている時、ボーカルは歌っていませんよね?これは相手に対して合いの手を入れているわけです。

なぜ掛け合いなのか?

理由としてはロックのルーツにブルースがあるからです。

ブルースでは楽器とボーカルが対話するように展開していきます。

そもそも何で「対話」するのかと言えばブルースはブラックミュージックの系譜です。要するにアフリカの民俗音楽の子孫なわけです。

当のアフリカの民俗音楽では歌い手を複数のパートに分けて「片方が問いかけをして、他方が答える」ものが見られます。それの名残です。

ブラックミュージックの系譜だとゴスペルでも同じです。ソロパートとコーラスパートがあって「ソロパートが問いかけをして、コーラスが答える」パターンが多いです。

実はクラシック音楽でも…

クラシック音楽でも似たものがあります。協奏曲というジャンルです。

協奏曲は独奏楽器とオーケストラが独奏と合奏を交代し、掛け合いながら展開していきます。

ただこれはたまたまで、ロックの様式のルーツではないと思っています。ですが「熱心なクラシック音楽愛好家が実はメタラーでもある」という事象はよく聞きます。私のことでもありますが(笑)

ちなみに、私は詳しくないですがオペラでも独唱と合唱を絡ませながら進むのがありますね。

基本的な楽曲構造③〜パターンの繰り返し

特にコード進行はわかりやすい繰り返しが多用されます。例えばディオの『レインボー・イン・ザ・ダーク』。

この曲はおそらくプレコーラス以外Am→F→Gだけでできてます。

プレコーラスはE→Fですね。

なぜ繰り返すのか?

人間がパターンを見つけることを好む生物だからです。なにせ自然の中にある法則を見つけることで生き残ってきた生物ですから。

要は無意識にパターンを探しているんです。それを見つけ期待通りに繰り返されるとさらにのめり込む、そういう性です。

実はクラシック音楽でも…

余談ですがクラシック音楽でも似たものはあります。ベートーヴェンの交響曲第5番《運命》です。

これは一つのフレーズを手を変え品を変えうんざりするほど繰り返しながら展開させていく曲だったりします。

ロックのわかりやすさの要因

クラシック音楽とロックの根本的な違いは何でしょうか?

「書かれた」クラシックと「弾かれた」ロック

この表題が全てを語っています。クラシック音楽は設計図である譜面が『常に先に』あります。アドリブは存在しますが、現在においてはアドリブすら「書かれた」フレーズだったりします。

ロックの場合は逆です。譜面が先ではなく曲が先にあります。これが何を意味するのか少し見当をつけてみてください。

ロックはクラシック的な詰め方をしない

難易度の高いテクニカルな楽曲であっても、ロックというジャンルでは「机に座って紙に音符を書きつつピアノで確認する光景」は見られません。

逆に言えば「書かれる」ことに束縛されていないゆえに受け入れられ、生き残ったと言えます。

最後に

弾くのはクラシック、聴くのはヘヴィメタルな私としては「クラシックもロックも対立的なものじゃない」というのは頭の片隅に置いてあげてもらえると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?