ネット広告のプロダクトを作る会社が見ている広告の未来(2018年版)

頻繁に書くことでもないので、2018年版とした。

フリークアウトのグループ総会で社員向けに話したことの一部を、実験的に公開してみることにした。狙いは、こういう話を社長が全社員にする会社のカルチャーや、自社の課題を率直に伝えることで採用に繋げたかったのと、広告業界の人にどう受け止められるか知りたかったから。またおそらく数カ月先には海外のカンファレンスなどで話すかもしれないので、フィードバックが欲しいのもある。(お前の言ってることなど、今更過ぎて超レベル低いわーという意見があったら、具体的な根拠を持って教えて欲しいが、自分としては世界中を回って得られた知識・考え方を自分なりに再構成したつもりだ)

フリークアウトという会社を簡単に説明すると、日本におけるリアルタイム広告取引を最初に仕掛けたり、LINE社の広告システムや、日本交通のタクシー車内にあるタブレット広告などを手がける、広告ハッカー集団とでも呼べば、わかりやすい。(技術的にもハードルが高いことをどこよりも早く挑戦するという程度の意味のハッカーで、悪いことはしてない)

広告プロダクトの開発においては、企画から開発してまともな状態になるまでの仕込みに数年のスパンを要するので、旬なものを売る代理店に比べると、より先の未来を見据えて意思決定をしなければならない。なので、今どき旬なモノが何かは代理店に聞けばよいが、未来がどうなるかは、ちゃんと使われるものを作れる開発会社に聞けばいいというのが持論である。そう思って本稿のタイトルを決めた。

アマゾンという会社の影響が日増しに大きくなる中、広告業がどのような影響を受けるのかについて、考えてみるのが本稿の主な内容だ。いくらアマゾンとは言え、わずか一社が起こす影響だけで、広告の未来をどのくらい語れるのかと思われるかもしれないが、noteに一本書くくらいには十分なボリュームとなるだろう。

まずは基本的なことから。広告業界の人にはおさらい。ECなどでオンライン購買をする際の流れがこちら。Consumer Desire(消費者による、ふわっとした欲求)から、Home Delivery(商品が配送されるまで)の流れをまとめた。

この中で、広告が果たしてきた役割は、真ん中の3つ、Brand Recall(ブランド想起)、Search(検索)、Purchase(購買)だ。

「ブランド想起」とは、消費者がある欲求をもった時に、消費者の頭の中でその欲求と、あるブランド名を結びつけるようにしておくこと。例えば、のどが渇いた時に、コカ・コーラのブランドを思い出させたり、電池が切れたら、パナソニックのブランドを思い出させるようなことだ。その後、ブランド名を検索エンジンで検索させて、購買まで持っていくという流れに続く。このブランド想起から購買に至るまでをどこまで効率よく出来たかで、広告商品のパフォーマンスは決まっていく。

そこにアマゾンのような会社が、いよいよ強大な力を持って、消費者欲求から商品配送までを最短経路で繋げようとする戦略において、かなり具体的なアクションが見えてきた中、今後広告がどのような影響を受けるのだろうか?

アマゾンのプロダクト群の中で、このオンライン購買の流れの変化を目的としたものから、比較的わかりやすいものをいくつか挙げると、例えば、Amazon Dash Button、Amazon Echo、それとプライベートブランド戦略がある。

ボタンを押せば商品が届くDash Buttonは、検索を殺し、支払い手間をなくすことで、消費者の購買した感覚を鈍らせるだけでなく、新たなブランドを想起させづらくする効果もある。

音声ボットのEchoも、検索のような網羅性を無くすことで消費者の選択の幅を狭めたり、まだ現時点では商品名を伝えて購買させているが、将来的には「消費者の欲求」だけを伝えて、商品配送を行えるようなポジションにはいる。つまり、喉が乾いたというだけで、特定の好みの商品が届くようになってしまえば、もはやブランド想起すら不要となってしまう。

そしてプライベートブランド。乾電池やUSBケーブルなど、Amazon Basicsのような商品はよく知られているが、一方であまり知られていないのが、実は一見アマゾンのブランドとわからないような、プラベートブランドの数は2018年4月の時点で70以上にも及ぶ。 商品数でなく、ブランド数が70個もあるのだ。どれがアマゾンのブランドなのか、消費者には理解がほとんどムリなレベルになっている。

あらゆる消費財がアマゾンのプライベートブランドで用意され、それがDash Buttonですぐに届いたり、Amazon Echoのようなスマートスピーカーに商品名すら伝えずに、欲求を伝えるだけで届くようになる。そういう未来の構築に、アマゾンという会社が、王手に差しかかっているのが、2018年の今なわけだ。

そして、消費者欲求と商品配送までの距離を短くしようとすればするほど、従来通りのブランドとそれを伝える広告の役割は間違いなく減っていく、これが広告の未来なのではないか?と言うのが、本稿が広告業界に伝えたいことだ。

大げさだと思うのなら、アマゾンのオフライン戦略も見てみると良い。

無人店舗のAmazon GOによって、支払いの煩わしさを無くし購買や支払いの感覚を希薄化させたり、店舗にて消費者に商品を取らせることで配送経路をより短くしているのはわかりやすい。更には、2017年8月のアマゾンによるホールフーズの買収についても、なぜアマゾンが買収先として、高級スーパーを選んだのかは、すでにこれだけの数をもつ(そして更に増えるであろう)プライベートブランド群が得られる恩恵からすれば明らか。規模感だけで買収先を選ばなかったのは、リアル店舗での購買体験が作り上げる、ブランドの押し上げ効果を期待しているとしか思えない、買収先の選び方だ。良いお店の棚に陳列されて買われていくモノは良い商品だという刷り込み効果は、プライベートブランドを多く持ってる会社が最も欲しがるという話なだけだ。

そしてまだ実現には至っていないアマゾンの知財を見てみても、空飛ぶ倉庫からドローンで大型の荷物を飛ばす技術、自動輸送車両専用のハイウェイネットワーク、トンネルを掘って商品を配送するアイデアなどは、もはや余計な説明は不要だろう。いつの日かこれら全部組み上がってしまえば、喉が渇いたかのようなため息をEchoに聞かれただけで、プライベートブランドの好みの飲料が一瞬で届くことでさえ出来てしまいそうで、そうなれば、他社ブランドが入る隙がどこにあろうかというわけだ。

R&D、オンライン、オフラインと、全てが恐ろしく統率がとれた戦略により、消費者欲求から商品配送までの最短距離をアマゾンが築いていく中、ブランドが従来のままのブランドである意味は失われつつあり、それを消費者に伝える役割の広告はブランド以上の変化を迫られている。

また戦略とは直接関係ないが、アマゾンのジェフ・ベゾスは、ブランドについてこんな発言もしている。

Your brand is what other people say about you when you're not in the room.
(あなたのブランドとは、あなたが部屋にいない時、他の人があなたについて話していることだ。)

このような発言をする人物が、ブランドに対してどんな戦略を仕掛けてくるのかを考えてみると、やはり、消費者の手元に、消費財がなくなった時こそが勝負だと考えているはずではなかろうか。つまり・・

電池がなくなった、洗剤がなくなった。無くなった時に、思い出されるようにすればいいだけ!あんなに広告投下しまくるのでなく、もっといいやり方があるだろ!

アマゾンの戦略的プロダクト群を見てから、ブランドに対するベゾスの考え方を聞くと、恐ろしくもシンプルな、この考え方が透けて見えてくる。

新しい世界の到来

消費者視点でみるとアマゾンは正しいことをやっている。「ブランド」の必要性は企業のためであって、消費者からすると、消費者欲求と商品配送がダイレクトに繋がる未来は間違いなく求められているものだからだ。

投資家ウォーレン・バフェットは、コカコーラのような会社が持つブランドの強さに気づいて大きな投資をして大成功をしたが、そのバフェットはアマゾンという企業の強さに気づけなかったと後悔の発言をしていた。今度はそのアマゾンがブランドに対して、バフェットとは全く違った解釈をして、ビジネス展開させようとしている。このことは、新しい世界の到来を感じさせるし、バフェットを抜いて、アマゾンのジェフベゾスが世界一の大富豪となったこともまた、新しい世界の到来を感じさせる。バフェットが見ていたのがブランド1.0だとするなら、ベゾスが見ているのはブランド2.0とでも呼ぶべきかわからないが、とにかくブランドと広告にとっての新しい世界の到来だ。

またこれによりAGFA(Apple, Google, Facebook, Amazon)各社のネット広告戦略も明確になってきた。

アップルは、自社のブランド確立やマーケティングは上手だが、iAdの失敗をみてわかるように、ネット広告の事業は下手クソだった。旧来のブランド企業のイメージに近い。事実、そういった旧来型のブランドが大好きなバフェットが、アップル株のポジションを取っていることも想定通りで、アップルがこの分野において全くの予想外の仕掛け方をするイメージはないだろう。

Google、Facebookの2社の詳細はここでは省くが、我々ネット広告のプロダクトを開発する事業会社は、この2社が、ネット広告の世界を支配する中でどのように戦っていくかが、常に問われてきた。

そこにアマゾンという会社の戦略が見えだしてきたところであり、それは上記3社と比べて極めてユニークなのだ。先に述べたように、まずブランドの有り様を変えようとしていて、その結果として、ブランドを消費者に伝えるべき広告の役割を変えようとしているからだ。

もしアマゾンという会社が、オンライン・オフライン両方に分け隔てない変化を起こすことによって、ブランドそのものの有り様を変えるのなら、その影響はネット広告だけにとどまらない。影響範囲は全ての広告に及ぶのだから、どのような手を打つべきか、全ての広告会社が問われているのではなかろうか・・?

〜ここから採用メッセージ〜

我々フリークアウトは、「人に人らしい仕事を」というミッションを掲げていますが、人の仕事を奪うのはAIだとは考えていません。ここに書いた「新しい世界の到来」からわかるように、人間がデザインする新しいビジネスモデルによって、人の仕事は奪われようとしているのです。AIはその部分要素にしか過ぎません。そうであるなら、逆に人の手に仕事を取り戻させることも、人の手によって可能ではないか。それこそが人に人らしい仕事と考えています。

つまり「人に人らしい仕事を」というのは、フリークアウトが顧客に提供することを目指しているだけでなく、何より我々のため、業界ためでもあり、この存在意義を作れないと、我々は滅ぼされるという危機感をもって業務にあたっています。

そのためには従来通りの広告のままではいけない。そういった考えに基いて当社グループは、アドテック事業だけでなく、例えばフィンテック系の事業にも力を入れています。何も考えず、ただ手を広げたわけでなく、アドテックを突き詰めてきたからこそ、得意とするフィンテック領域もあると考えてのことです。

すでに事業展開している中でも、タクシーの降車時の支払いの煩わしさを無くすタブレット端末を広告媒体にするなど、ペイメントと広告を融合させる事業が始まり出したことで、我々がアドテックから始めて、なぜフィンテックにも力を入れだしたか、わかるような事業もお見せ出来るようになってきました。このような取り組みは更に拡がっていきますし、そのためには、既存のアドテックもフィンテックも、もっともっと尖らせていく必要がありますし、更に新たな事業も生み出したいと考えています。

膨大なデータを活用し、スマホに慣れきった消費者が満足するような、これまでに無いスピード感で解を提供する。

このくらいラフな考えで、色んな事業をやって、それを広告ともうまく融合させていきたいと考えています。

広告業界を変えられるような広告事業をやりたい人
上記の未来への答えを持っていないどころか、上記のような広告の未来をイメージ出来る人がいない職場にいて、このまま茹でガエルになりたくないと思った優秀な方、またこういう話しが大好きだけど、職場で語る相手もいない方、ゼヒ。The best way to predict the future is to invent it!!

新しい事業を作りたい人
あなたのアイデアをもって、ゼロから始める起業もよいのですが、最初からフリークアウトのインフラ(ヒト・モノ・カネ)に載せて始めた方が圧倒的にあなたのアイデアの成功確率が上がるかもしれませんよ!本当にイケてる事業で実績が出れば、スピンオフして子会社上場を目指す選択肢も提供します。

フリークアウトに会社ごとジョインしたくなった経営者の方
挑戦好きな経営者にとって、抱かれてもいいホールディングスカンパニーNo.1を目指しています。

以上、全員大募集です。

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2018年5月@六本木オフィスにて

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