Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2018 Early Spring Selection(2月26日〜4月1日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

芽吹きの季節、近づく春の足音にささやかな歓びを感じるような、メロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、今回も計34時間分を新たに選曲した。

金・土・日トワイライトタイムの特集は、三寒四温の東京から早春のラテン・アメリカの旅に想いを馳せるように、この一年くらいの間に彼の地から届けられた名作群を集大成。その中心はもちろん、前回のこのコラムでも大推薦した、遂に2/25にアプレミディ・レコーズより日本盤CDがリリースされたルエジ・ルナ(Luedji Luna)。豊潤なギターとパーカッションの柔らかでポリリズミックなアンサンブルに、こまやかな陰影に富んだサウダージ香る歌声のしなやかな躍動と伸びやかな輝き。昨年暮れに出た輸入盤ですでに、早耳リスナーの間では“アフロ・ブラジレイロの宝石”というような称賛の声が高まり大きな評判を呼んでいるが、本当にまろやかで生き生きとした、心動かされずにはいられない、いま最も素敵な音楽だと思う。

年が明けてここひと月ほどは、ニュー・アライヴァルも充実。そんな中で、今年のベスト・セレクションに確実に入ってくるだろう最高の仕上がりだったのがレジー・スノウの『Dear Annie』だ。トム・ミッシュ〜ロイル・カーナー〜ジェイミー・アイザック〜キング・クルールを始めサウス・ロンドンのホープたちとも親交の深いアイルランドはダブリン出身の若きMCだが、ケイトラナダ・プロデュースによる気持ちのよいスムースなグルーヴが印象的だった「Egyptian Luvr」やキャロライン・スミスとメロウに絡み合う「23」といった先行曲で高まった期待を全く裏切らない。Free Soulファンも胸を弾ませそうな「Spaceships」にキャム・オビ制作の逸品「Pink Lemonade」、ジェシ・ジェイムス・ソロモンやジェシ・ボイキンス3世らの客演も嬉しい。ヒップホップ〜アーバン・ミュージックの新たな架け橋のような、色彩豊かでフレッシュな2018年ならではのポップ・アルバムだ。

期待が高まると言えば、4月にリリースが予定されているトム・ミッシュ(初来日も決定!)の『Geography』。昨年末のリード・シングル「Movie」は珠玉のメロウ・ミディアムだったが、クルセイダーズ「My Lady」をサンプリングしている今回の「Water Baby」も、2016年夏の名曲「Crazy Dream」を思いださずにいられない黄金コンビとなる盟友ロイル・カーナーをフィーチャーして(逆の組み合わせとなるロイル・カーナーfeat.トム・ミッシュ「Damselfly」も大好き)やはり最高。サウス・ロンドンからは待望のジェイミー・アイザックの新曲「Doing Better」も到着して(アルバムも楽しみにしていいのかな?)、こちらもダブステップ以降のSSW〜ジャズ・ヴォーカルによるメロウなブルー・アイド・ソウルとして期待に違わぬ素晴らしさ。

そしてPuma Blueも、2014年にデモ・ヴァージョンが発表されていて、そちらも好きだった「Only Trying 2 Tell U」をニュー・シングルとして正規リリース。ジェイミー・アイザックをモノクロームにしたような、チェット・ベイカーの魂を宿しジェイムス・ブレイクと同時代を生きるブルー・ウェイヴなベッドルーム・ジャズという趣きが彼らしい。さらにそのPuma Blueと共演したLucy Luのブラン・ニュー「Fakery」(去年の「Outlines」でもふたりは共作していた)も絶品で、僕は「イギリスらしいなあ」と感じずにはいられなかったこの曲を聴いているうちに、無性にサウス・ロンドンに行きたくなってしまった。以前に紹介したジョー・アーモン・ジョーンズやマックスウェル・オーウィン、あるいはムーンチャイルドあたりとの交流も目が離せない若きギタリスト、オスカー・ジェロームのニューEPも、同地の同世代の天才コスモ・パイクとも共振するような風合いでよかった。

そんなシーンの活況をあのジャイルス・ピーターソンが見逃すはずもなく、ジャズ方面からアプローチしたのが、Brownswoodのニュー・コンピ『We Out Here』だ。シャバカ・ハッチングスを音楽ディレクターに、全曲録り下ろしでジョー・アーモン・ジョーンズ/ヌビア・ガルシア/マイシャ/エズラ・コレクティヴ/ココロコら僕好みのUKジャズ新世代の精鋭も揃い、ブロークンビーツ〜ダブステップを踏まえたアフロ/スピリチュアルからアヴァンまでを聴かせる。「usen for Cafe Apres-midi」の兄弟チャンネル「usen for Free Soul」でも、3月の週末夜は僕のセレクションでこうした現行ジャズからトム・ミッシュ周辺までサウス・ロンドンのフェイヴァリットを大集合させているので、ぜひ聴いてもらえたら嬉しい。

サウス・ロンドンについては、僕が選曲/パーソナリティーを務めている1月の「dublab.jp suburbia radio」でも特集したが、そのときに第2特集としたのが「Rhyeとその影響を感じさせるアーバン・メロウな新譜」。そのRhyeのニュー・アルバム『Blood』は、僕の周囲では近年これほど男女問わず幅広く支持されている作品はないのでは、と思うほど好評を博している。先行シングルがどれも素晴らしかったので、まるでベスト盤のような印象さえ抱くが、同じく心待ちにしていたXL主宰リチャード・ラッセルによる多彩なゲストとのコラボレイション・プロジェクト、ソウルとダブの融合がUKらしいEverything Is Recordedのアルバムにも同様の感想を持ったから、これは彼らなりのサブスクリプション/プレイリストの時代への誠実な対応なのかもしれない、と思いながら、それぞれ多くの楽曲を今クールにもエントリーしている。

Rhye(とBonobo)の影響が感じられる新譜として、僕が特に薦めたいのは、ブリストル出身のシンガー/プロデューサーHenry Greenだ。3月リリース予定のアルバム『Shift』から相次いで発表されたリード・トラック「Another Light」〜「Shift」を聴いてほしい。彼(Rhyeデビュー時のように憂いのあるシルキーな歌声から想像しづらいかもしれないが男性だ)はこれまでの作品も、シャーデーに通じるような官能的かつ繊細なセンスとエレガントな美意識を感じさせる、生楽器も生かしたスタイリッシュなアンビエントR&B×チルアウト×エレクトロニカという作風で、一昨年の「Closer」からMVも美しい。

アメリカに目を移すと、いま最も楽しみにしているのは、やはり3月に出る予定のコモン×ロバート・グラスパー×カリーム・リギンス(3人はコモン『Black America Again』の重要曲「Letter To The Free」でもビラルをフィーチャーして共演していた)による新バンド、オーガスト・グリーンのアルバム。ブランディーの歌でサウンズ・オブ・ブラックネス「Optimistic」(チャンス・ザ・ラッパーが支援しているシカゴ再生プロジェクトの象徴曲でもある1991年ジャム&ルイス・プロデュース作)をまさに“Free Soul 90s”という感じでグルーヴィーにカヴァーしていた第1弾シングルも最高すぎたが、第2弾として届けられた「Black Kennedy」も、イントロのビート(メチャ好み!)からラストの優美なピアノまで完璧なジャズ×R&B×ヒップホップ。コンシャスな歌詞ももちろん気になるが、しばらくはこのカリーム・リギンスの快感ドラミングに身を委ねていたい。

ドラムと言えば、J・ディラ〜ソウルクエリアンズ以降を代表する名手、クリス・デイヴ&ザ・ドラムヘッズのBlue Noteから出た初めてのアルバムも力感あふれる充実作だった。何と言ってもアンダーソン・パークも冴えまくり華がある「Black Hole」にしびれたが、「Destiny N Stereo」などはスネアだけでも酔える感じ。レコーディングにはロバート・グラスパーにピノ・パラディーノやアイザイア・シャーキーも参加、あとはディアンジェロがいればという感じだが、ビラル&トゥイート/SiR/アナ・ワイズらを迎えた歌ものからロッキンなファンクまで、オン・マイクのドラム・ワークを堪能させてもらった。

一方で、的を射た絶妙なドラミングと唸らされたのは、エマ・フランクの『Ocean Av』におけるジム・ブラック。とりわけアーロン・パークスのローズ・ピアノも印象的な「Best Friend」でのプレイには悶絶せずにはいられなかった。エマ・フランクはジョニ・ミッチェルやファイストも生んだ国カナダはモントリオールからNYブルックリンに移り住んだ女性シンガーで、この新作アルバムは透明感の美しいフォーキー・ジャズ・ヴォーカルの名盤だ。オープニングの「Magnolia」を筆頭に全曲とても素敵な空気感に満ちていて、「usen for Cafe Apres-midi」のリスナーなら(“Suburbia”はもちろん“Quiet Corner”や“Jazz The New Chapter”の愛好家も)絶対に聴いてほしい。

クリス・デイヴがかつてドラムを担当していた孤高の天才ミシェル・ンデゲオチェロの新作となるカヴァー・アルバム『Ventriloquism』も楽しみでならない。先行公開されオンエアの許可が下りた二大名曲、プリンス「Sometimes It Snows In April」とTLC「Waterfalls」を繰り返し聴きながら、僕は様々な思いが駆けめぐり陶然とした気持ちになってしまった。まさしく崇高という言葉が似合うリメイクで、もう一曲セレクトしているフォース・MDズの「Tender Love」もオリジナルとは一線を画すフォーキーな解釈が彼女らしい。

ヒップホップではやはり、ケンドリック・ラマーが陣頭指揮を執り、映画の日本公開も迫った『ブラックパンサー』のインスパイア盤に尽きるだろうか(キャスティングも含め、いまの空気にジャスト・フィット)。実はその周辺にも見逃せない作品は少なくなく、TDEからのSiR『November』はその代表と言えるだろう。

よりソウルやジャズに接近した歌ものなら、ジェイムソン・ロス/サイ・スミス/ビートチャイルド&ザ・スラッカデリクス、それにアル・ジャロウが絶賛してマイケル・リーグらがサポートするロシアの女性歌手Alina Engiboyanや、ジョニ・ミッチェル集に好感を抱いたポーランドの歌姫Monika Borzymといった名も挙げられるが、中でも出色だったのがサウス・アフリカのフォトジェニックな女性シンガー/ピアニストThandi Ntuliだ。彼女を知ったのは、友人が「suburbia radio」みたいな選曲だと教えてくれたワシントンD.C.の「Soul Conversations Radio」がきっかけで、前クールで僕が強く推したJ. Lamotta Suzumeや今回のセレクションで重宝しているTiombe Lockhartと並んで大プッシュされているのに感心した。「It's Complicated, Part.1」を聴いていると、サティマ・ビー・ベンジャミン×グレッチェン・パーラト(すごい誉め言葉だ)というような印象が浮かんでくる。ベースのBenjamin Jephtaにも注目で、南アフリカのジャズからは今後も目が離せそうにない。

アラウンド・アーバン・ミュージックという観点では、KindnessがプロデュースしたAdrian Underhill、ナイトメアズ・オン・ワックスやKhruangbin、バターリング・トリオのリミックス盤からニルス・フラームまでがイメージされるが(日本盤CDがリリースされたアンティ・リリー&フォニックスやソフト・グラスも)、曲単位で惹かれたものもとても多い。インドの古典音楽をバックグラウンドにもつブルックリンのベース奏者Sameer Guptaによるメロウ・ラーガ・メディテイティヴ・グルーヴ「Little Wheel Spin And Spin」や、70年代にはエチオ・ジャズの生みの親ムラトゥ・アスタトゥケとの伝説の共演もあるエチオピア出身ワシントンD.C.在住のキーボード奏者Hailu Mergiaによるエスニック・ジャズ・ファンク「Gum Gum」、さらにYaejiを始め進境著しいブルックリンのGodmodeからアルバム・デビューが決まったというAaron Childsのフランク・オーシャン以降のアンビエント感覚を宿した内省的なオルタナティヴ・ソウル「Tangerine」あたりは特筆すべきだろう。そのフランク・オーシャンのヴァレンタイン・プレゼント「Moon River」、スティーヴ・レイシーがプロデュース&客演したレイヴン・レネー、ディアンジェロ「Untitled」をサンプル・ループしたニーヨ「Good Man」、ジェイムス・ブレイク〜トレイシー・ソーン&コリーヌ・ベイリー・レイ〜ヴェラ〜シャルロット・デイ・ウィルソン〜マディソン・マクファーリン〜キーファー(ブラクストン・クック「Pariah」のリミックスもよかった)など、他にも新曲&ニューEPで気に入っているものは枚挙に暇がない。ジャネール・モネイの来たるべきニュー・アルバムからの先行カット「Django Jane」〜「Make Me Feel」にも、このところ毎日、元気をもらっている。

ジャズでは、カマシ・ワシントン全面参加でフレディー・ハバード〜ジョン・コルトレーンのカヴァーも嬉しいライアン・ポーターの大作アルバム、LAのマルチ奏者/プロデューサーMASTことティム・コンリーによるビッグバンドからビート・ミュージックまで多彩なアプローチのセロニアス・モンク生誕100周年トリビュート盤、ラッパー/詩人のソール・ウィリアムスと組んだ鬼才デヴィッド・マレイとインフィニティ・カルテット、ムビラ(親指ピアノ)&箏&ギターのアンサンブルに心落ちつくリチャード・クランデル&マスミ・ティルソン、進化を続けるUKジャズの切り札ゴーゴー・ペンギンといったトピックがあるが、欧米以外に目を向けると、キューバン・ジャズの新星ブレンダ・ナヴァレテの『Mi Mundo』が輝いていた。野性と洗練を兼ね備えた(そのあたりはブラジルのルエジ・ルナにも通じる)新世代女性シンガー/パーカッショニスト/作曲家である彼女が、キューバの現行シーンを代表する音楽家たちと、ジャズやブラジリアンも融合されたフレッシュなアフロ・キューバン・ミュージックを聴かせてくれる。

アフリカ勢では、ナイジェリアのレゲエ/ダンスホールも得意とする若きアフロ・ビートSSW、バーナ・ボーイの『Outside』が最高だったことを強調しておきたい。ドレイクが『More Life』で提示したプレイリストというコンセプトへの、アフロ・ポップ×ダンスホールからの回答という感じで、ロンドンのアフロ・バッシュメントからサウス・アフリカのジャズやディープ・ハウス(ブラック・コーヒーら)にまで目配せした傑作アルバムだ。

カメルーン出身のジャズ界のトップ・ベーシストであるリチャード・ボナ(そういえば彼と昨春来日公演を行ったキューバ生まれの名ピアニストで、クインシー・ジョーンズが惚れこんだことでも名高いアルフレッド・ロドリゲスの新作も届いたばかりで、今春の来日も決定)、コンゴ出身のオーガニックSSWロクア・カンザ(生ギター中心の光り輝く木製の汎アフリカ音楽)、カリブ海マルチニーク出身のマルチ奏者ジェラルド・トト(ニュー・ウェイヴ曲をボサノヴァ風にカヴァーして人気を呼んだNouvelle Vagueのヴォーカルも務めていた)による、14年ぶりとなる連名アルバム『Bondeko』も素晴らしかった。まさにヘヴンリーでハイブリッドな、柔らかな天上の調べ。ゴンザレス『Solo Piano』を始めアラ・ニ〜チョコレイト・ジニアス〜バラケ・シソコ&ヴァンサン・セガールなど、フェイヴァリット作品の多いフランスNo Formatからのリリースというのも納得だ。

南米からは、アルゼンチンのアコースティックな夫婦デュオ、ドス・カミーノスの『En Casa』が愛聴盤に。このアルバムにもフィーチャーされているフアン・キンテーロ&ルナ・モンティを継ぐような、ネオ・フォルクローレのまろやかな肌ざわりとたおやかな風合いを愛する方に心から薦めたい好内容。チリのヴィクトール・ハラを始めラテン・アメリカ各地のいい曲が揃っているが、特にオリジナルの「Un Dia De Estos」は名曲中の名曲だと思う。

アルゼンチンではドス・カミーノスと一緒に手に入れたSo Abraの『La Ilusion Detras』も、前作からのアカ・セカ・トリオ〜プエンテ・セレステを思わせる室内楽風味にインディー・ロック感もまぶされたエルネスト・スナヘール・プロデュース作で気に入ったが、ブラジルで何かひとつと言うなら、ギンガにも似た渋くて暖かみのあるヒューマン・ヴォイス詩人Marcelo Tapiaだろうか。知られざるサンパウロ女性SSWのRaquel Martins、シェニア・フランサからゼー・ミゲル・ヴィズニッキまでがゲスト参加したLuiz Romero、安心のMPBヴォーカルZe Renato、エリス・レジーナの娘にして現代ブラジル最高の歌姫と言われるMaria Ritaなどにも触れたいが。

その他では、ボン・イヴェールやフィンクとも比較される稀代のジムノペディスト、ジョノ・マクリーリーによる選曲も抜群(ジェフ&ティム・バックリー/ルーファス・ウェインライト/ポール・ウェラーからセバスティアン・テリエ「La Ritournelle」まで)のアコースティック・カヴァー・アルバム、そのボン・イヴェールから信頼のS.キャリー、去年暮れに出た『Beyond The White』の限定150枚CD(LPは限定99枚)をようやくゲットできたVisionary Hoursの、波の音も心地よく穏やかで美しいクラシカル・アンビエント・フォーク「Rippling River Drifts Blue And Green」もよく聴いた。続いてイタリアのPeo Alfonsiのナイロン・ギター×スティール・ギターが印象深いトリオ作や、ヴァン・モリソンも「最高の声の持ち主のひとり」と称賛するジェイムス・ハンター・シックスによるレイト50s〜アーリー60sマナーのR&Bジャンプ/ソウルといった感じだが、最後に、やや地味な存在ながらとっておきの推薦盤をもう2枚紹介しよう。

それは、テキサス州オースティンを拠点とする男性デュオHovvdyの『Cranberry』と、ジョージア州サヴァンナ出身で現在はブルックリンで活動するグループTriathalonの『Online』。前者は早春ど真ん中、物寂しくも温かい琴線に触れるメランコリーがローファイ・スウィートに紡がれるベッドルーム・フォーク・ロックで、中でも最も沁みる曲「Colorful」が流れてくると、ネオ・アコースティックを大切に聴いていた高校生の頃のような気分になってしまう。後者は「フランク・オーシャンとホームシェイクをつなぐような」とも評される、ローファイ・メロウなインディーR&B感のある、ひたすら気持ちよく中毒性の高いチルアウトでスムースなブルー・アイド・ソウルで、僕は今年の夏も彼らの音楽を聴きながらとろけるようにレイドバックしているだろう。

Luedji Luna『Um Corpo No Mundo』
Reggie Snow『Dear Annie』
Tom Misch『Geography』
V.A.『We Out Here』
Rhye『Blood』
Henry Green『Shift』
August Greene「Black Kennedy」

Emma Frank『Ocean Av』
Meshell Ndegeocello『Ventriloquism』
Thandi Ntuli『Exiled』
Brenda Navarrete『Mi Mundo』
Burna Boy『Outside』
Toto Bona Lokua『Bondeko』
Dos Caminos『En Casa』
Hovvdy『Cranberry』
Triathalon『Online』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
Twilight-time 月曜日16:00~18:00
Twilight-time 火曜日16:00~18:00
Twilight-time 水曜日16:00~18:00
Twilight-time 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

Rhyeニュー・アルバムの話題が尽きない中、注目の次世代アーティストのデビュー・アルバムも登場した。Kindnessが惚れ込みプロデュースしたトロントのシンガー・ソングライター、Adrian Underhillだ。以前からホワイト・ソウル、ブルー・アイド・ソウル的な音楽に惹かれている自分には、またしてもうれしいリリースで、今回のEarly Spring Selectionの選曲に数曲エントリーした。春が近づく頃はメロウで爽やかなヴォーカルが、より耳と心に馴染んでいく。

Adrian Underhill『CU Again』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

日々新たにリリースされる音楽を聴くのと並行して過去のレコードも相変わらず地道に掘っているのですが、そんな中で楽しい出来事の一つは、大好きなヒップホップやブレイクビーツの元ネタ達に予期せず出逢ってしまうこと。ここ数年で最もテンションが上がったのはガボール・ザボの「Gloomy Day」で、2006〜2007年あたりのDJ時にヘヴィー・プレイしていたヘッドノディック「The Drive」の明らかにサンプリング・ソースであるこの曲は、遅めのBPMながらもグルーヴィー&メロウなフュージョンの極みかと。つい先日真夜中のDJでターンテーブルに乗せたときの予想以上に反応があった嬉しい残像と共に、本セレクションでも同時刻帯の最深部にこっそりと忍ばせておきますね。

Gabor Szabo『Faces』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

昨年リリースされた7インチ、「U Turn Me Up」が最高にゴキゲンなアーバン・ブギーだったThe Precious Lo’sのアルバムがタイミングよく国内盤でリリースされるそうなので、今回はこちらをピックアップ。Anthony ValadezやT-Grooveの作品に参加してるカナダ出身の男性デュオで、瑞々しい透明感のあるメロディー・センスが素晴らしい「Too Cool For Love」「Falling For You」をはじめ、Gene Chandlerの「Does She Have A Friend?」をサンプリングした「Older Now」はフリー・ソウル・ファンにもアピールする名曲だと思います。TuxedoファンやStar Creature、Austin Boogie Crew辺りの現代ブギー・レーベルが好きな方にもぜひ。

The Precious Lo’s『Too Cool For Love』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

「usen for Cafe Apres-midi」のコメントがこちらのサイトに引っ越しました。毎回通読して下さる皆様、これからも変わらぬ御愛顧を。本作は2012年に再発されたものの、オリジナル・リリース当時(2003年)にはメディアに「ほぼ無視」されていたコンテポラリー・ジャズの佳作。ドイツらしさでは右に出るものはいないACTレーベルからのリリースと聞けば「エレクトリックを随所にちりばめた中途半端な前衛ジャズか」と思われる向きも多々あろうかと存じますが、いえいえ本作は素晴らしいアルバムです。中でも「ティック・タック」はラップ調(?)から始まり不穏なコード感が不思議な雰囲気を醸しながらも、時計の針音(=時空の魔力)を感じさせるための綿密な工夫があり思わず唸らされるし、天才的なソングライティングを感じさせてくれます。2018年は早くも春のステージへ。今年こそ時空の魔力に負けず堅実に歩を進めたい、と思っております(汗)。

Julia Hulsmann Trio & Rebekka Bakken『Scattering Poems』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

この時期の選曲はうっかりすると初春のイメージに引き摺られてよく言えば淡いトーンの、悪く言えば輪郭のボヤけたものになりがちなので、エッジの立った必ずしも耳あたりがよくない曲を意識的に投入するようにしている。
例えば、シコ・メロ。ブラジル出身のミニマル・ミュージック/現代音楽のアーティスト。2000年リリースのアルバムが2013年にリイシューされ、そこから5年が経過してようやく時代の耳が追いついた。漂えど沈まぬユニークな浮遊感とブラジル的美声の多層レイヤー。耳で聴きつつ脳でも聴くような。中毒性高し、快楽指数なお高し。しかし難解には背を向ける。
今だからこそ、アナログ化を切望する。

Chico Mello『Do Lado Da Voz』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

春の初めのイメージによく似合うSoft Glas「Coral Springs」。アルバムの内容も素晴らしく、トミー・ゲレロのサウンドを洒落乙にしたような雰囲気。
小生、磯の香り漂う浜辺で育ったので珊瑚があるような海に縁のない男ゆえ(笑)、ズマビーチの風を感じさせるような曲に余計に惹かれてしまいます。

Soft Glas『Orange Earth』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

2018年のEarly Spring Selectionでは、ロンドン南部出身のシンガー・ソングライター、トム・ミッシュのニュー・アルバム『Geography』から「Movie」を1曲目にセレクトさせていただきました。古い映画が持つノスタルジックな雰囲気を感じさせる楽曲を作りたいという発想から生まれた作品で、ソングライティングについてはすでに定評のある彼ですが、本作も美しいメロディーが光っています。今年、さらに活躍が期待される彼、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

Tom Misch『Geography』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

寒暖差を感じすぎる冬から春。この春夏はどんな季節になるのか。平和であることを祈りつつ。先日「LIVING STEREO Records リリース・パーティー」も無事大盛況に終わりました。BLACKTAPEからのDJ橋本徹の流れは、STEREOでしか味わえない空間。また必ずこのスタイルで開催したいと思います。橋本さんお忙しい中ありがとうございました。そんな初春を迎える選曲。STEREOの16年前を振り返りながら、橋本さんのレセプションDJや吉本さんとの出逢いからヒロチカーノさんや中川ワニさんなどに教えてもらった現在進行形のジャズ・ミュージシャンのCDにどっぷり。懐かしい、いろいろ考え方が広がった大切な時間でした。それ以降レコードとCDを行き来する衝動買いを繰り返し、今も変わらずですが。今回は初心に帰り、現在進行形ジャズ・ミュージシャンをあの頃(13~15年前)の感覚で選曲してみました。特に現在だからできるボッサなオリジナル曲が見事に心掴むStephanie K.のアルバム。今の言葉で言うならば ゼロ・ジャズ。Alfa Mistも同様、何気ないエレピとソウルフルでヒップだけど、す~~~っと時間が流れていくまさにゼロ・フュージョン。そんな無風なゼロ・サウンドに身を任せていたら、久々にSpangle call Lilli lineを聴き直し、ここにもゼロ・サウンドが。まだまだゼロは奥が深いのであります。

Stephanie K.『A Word Before You Go』
Alfa Mist『Antiphon』
Spangle call Lilli line『For Installation』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

早春の陽射しがうれしい今日この頃。私の住む北海道にも長く待ちわびた季節がやってきました。頬にあたる風が日ごとやさしくなって、目に映る風景が若葉色に華やいでゆく、生命力と光に満ち溢れたこの季節が私は大好きです。そんなうららかな陽気のせいか、選曲をしている間も、心がふわりと軽くなり、気づけば曲に合わせて鼻歌を歌っていることもしばしば。今回は、そんな待ちきれない春への想いをぎゅっと詰め込んで、楽しみながら選曲をしました。2018 Early Spring Selectionのベストワンには、「天使の歌声」と称される、メルボルン在住のオーストラリア人シンガー・ソングライター、タマス・ウェルズの6枚目のアルバム『The Plantation』をセレクトしました。春を待ちわびた雪解け水のように、すーっと心に染み渡るタマスの無垢で清らかな歌声。芽吹いたばかりの樹々の隙間から零れ落ちる早春の陽射しのように、瑞々しい光を湛えたアコースティック・ギターの柔らかな響き。長い冬の静寂がゆっくりと溶けてゆくような、生まれたばかりの春の匂いがする清々しい一枚です。

Tamas Wells『The Plantation』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

ブルックリン在住のジャズ・ピアニストによる初めてのリーダー・アルバムから、2曲選曲しています。カミラ・メザが歌う「Dreams」は冬から春へ向かうこの季節にぴったりな美しく不思議な調べで、「宇宙」というこのアルバム・タイトルのように言葉に形容しがたく、切ない気持ちにさせてくれます。

Eden Ladin『Yequm』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

「usen for Cafe Apres-midi」が始まった2001年と、2018年の現在では、僕ら届ける側にとっての音楽との出会い方が大きく変わりました。当時は、信頼できるレコード屋のバイヤーにオススメの新譜を取り寄せてもらったり、中古レコード屋の棚を端から端まで掘り起こしたりといった方法が主流でしたが、かつてのこの方法では新しい音楽と出会う前に、すでに誰かのセンスで、ふるいにかけられた一部の音楽だけを享受していたのかもしれません。一方現在では、インターネットを使った音楽配信の普及により、その気さえあれば世界中で生まれる音楽をその瞬間によりダイレクトに知ることができ、気軽に試聴できるいい時代になりました。つまり、僕ら選曲する側は、誰かのフィルターやふるいにかけられることなく、自分の耳と感性だけを頼りに、新たな音楽を探せば探すだけ、聴けば聴いた分だけ、純粋にいい音楽と制限なく出会え、それを皆様に届けることができるのです。
さて、そんなふうにして最近出会った音楽の中から紹介するのは、まずはコロラド州デンヴァー出身インディー・デュオTennisの「Ladies Don’t Play Guitar」。「usen for Cafe Apres-midi」リスナーならグッとくるサウンド・アレンジとシンディ・ローパーやマドンナといった80sポップスへのリスペクトを色濃く感じる個性的なヴォーカルが印象的です。その流れを受けて、70年代レア盤コーナーでこんな一枚を見つけたら間違いなく買いたくなる的な音がしたChris Cohenの「In A Fable」や、最近のニューカマーの中では群を抜いて非凡なセンスを感じるカナダ出身のシンガー・ソングライターAndy Shaufの注目盤から「Begin Again」を。さらにエヴァーグリーンな香りのピアノ伴奏と切ないファルセット・ヴォーカルが印象に残ったAstronauts, etc.の「If I Run」と、早くも2018年ベスト選曲にノミネートしたい秀曲満載でお届けします。

Tennis『Yours Conditionally』
Chris Cohen『As If Apart』
Andy Shauf『The Party』
Astronauts, etc.『Mind Out Wandering』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

昨年の暮れに東京・幡ヶ谷に一軒のワイン・ショップが誕生した。オーナーはKENKOU。自然な造りのワインや酒、アテを揃えたワイン・ショップ&スタンドだ。内装は、アフリカン・チェリーの一枚板のカウンターを設えたフロアを白木の吸音壁で囲み、英国製モニター・スピーカーを6基配し、すっと耳と身体になじむ自然なアトモスフィア・サウンドを実現している。音響設計はもちろん実兄のCALMによるもの。KENKOUのアルバムのオープニングの「Prelude to...」に導かれて2018年の春がメロウにはじまろうとしている。

KENKOU『Music In The Air』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

歳をとってもいまだ物欲が衰えず(というか完全に買い物依存症ですね・泣)、デジタル配信オンリーといわれている作品も、インターネットの力を借りてプロモーション盤CDというフィジカルな形の物を探し出すのが大好きで、それを手に入れてはこのチャンネルのセレクションに使用することがあります(インターネットの世界にはプロモーション盤CD専門店なんてものがあるくらいですから・笑)。しかし当然のことながらそのようなフィジカルな形でのプロモーション盤という物が作られていない作品も多く、仕方がないので(笑)最近はデジタル配信の音源を購入する機会が増えてきました。そんな訳で今回のディナータイム選曲はいつにも増して配信で購入した音源を多く使用したセレクションになっておりますが、未だに選曲を行う際にCDデッキを使って1曲1曲録音している超アナログ人間なので、ダウンロードした音源をそのつどCD-Rに焼くという工程が必要になり(しかもご丁寧にジャケットやインデックスまで作成して・笑)、本来世の中を便利な方向に導くデジタルというものの使い方を完璧に間違えていますね(笑)。
さて、それでは今回のセレクションについてご説明いたしますと、まずはイリノイ州出身のライアン・オニールのプロジェクトであるスリーピング・アット・ラストのインストゥルメンタル・ナンバー「Households」をイントロに、YouTubeで偶然見つけてノックアウトされた、そのスリーピング・アット・ラストが2014年に発表していた「I'll Keep You Safe」という作品からスタートしてみました。このスリーピング・アット・ラストというアーティストはアイアン&ワインの作品目当てで所有していた2011年の恋愛ファンタジー映画『The Twilight Saga: Breaking Dawn - Part 1』のサントラに「Turning Page」という楽曲が収録されていたので存在だけは知っていましたが、鈍感なわたくしは今までその素晴らしさに全く気付いておりませんでした。しかし今回「I'll Keep You Safe」という作品をYouTubeで聴いた瞬間に心の柔らかいところを鷲づかみにされたので、それから次から次へと漁るように彼の他の作品を聴いてみました。するとどの作品も強く心に響くものがあり、すぐに彼が運営するサイトを探し出して今までにリリースされているCDを10枚ほど爆買いしてしまいました(笑)。これほどまでに一回の買い物でひとりのアーティストのCDを購入したのは久しぶりですが、先に述べたように今回は曲単位でデジタル音源を多く購入して使用したことで普段よりかなり出費が抑えられており、懐に余裕があったのでついつい調子に乗ってしまいました(笑)。自分はこのコメント欄でたびたび「レッツ・サポート・ミュージシャン」と言っておりますので、このちっぽけな行為が少しでもミュージシャンの創作活動の糧になり、音楽業界を廻す小さな歯車になればそれはとても嬉しいことですからね(その後嬉しいことにサイトを運営している女性からとても心のこもった熱い感謝のメールをいただきました・笑)。続いて2015年から活動しているにも関わらず、こちらも恥ずかしながら最近になってその存在を知ったジュリー・ベイカーという女性シンガー・ソングライターのデビュー・シングル「Sprained Ankle」を連ねましたが、この作品もグサッと心の柔らかいところに突き刺さる名曲です。彼女の作品は他にも昨年リリースされたセカンド・アルバム『Turn Out The Lights』より、デビュー・シングルと同様の美しく凛とした響きを放つ「Appointments」もセレクトしています。
そしてここからは前述したデジタル配信で購入した作品が続きます。まずはニューヨーク出身のアーティスト、チェルシー・カトラーの昨年リリースされたEP『Snow In October』より爽やかなアコースティック・ギターの旋律にキュートなヴォーカルが柔らかに舞うタイトル・トラックをセレクト。続いて昨年Father/Daughter Recordsというレーベルから250本限定でリリースされたオムニバス・カセットテープ『The Le Sigh Vol.III』に収録されていた(わたくしはデジタル音源で購入)Clairoという女性アーティストの、チープな打ち込みとオルガンの音色が細野晴臣氏が1984年に発足させたノン・スタンダード・レーベルからも作品をリリースしていたミカドの「Par Hasard」を連想させる「Pretty Girl」や、ミミという若き女性アーティストのウクレレの静かな爪弾きと愛らしい歌声がセンシティヴに響く「Someday」などをピックアップしてみました。そしてスリーピング・アット・ラストの「I'll Keep You Safe」と同様にYouTubeで偶然見つけ、その素晴らしさにノックアウトされてしまったコナン・グレイの「Idle Town」をディナータイム選曲前半のハイライトとしてセレクトしています。この作品はコナンくんが高校生活最後のシニア・イヤー(日本でいうところの高校3年生)の思い出に、家族や友人たち、そして生まれ育った街に感謝を込めて作ったという記述が載っていたのですが、そんなエピソードからもキラキラと輝く青春の眩しさが溢れていてとても素敵ですね。
ディナータイム選曲後半は、2009年にアイスランドで結成された男女デュオのフェルトベルクによる、「ダンダンダララダンダンダラララ……」と繰り返されるコーラスがとてもキュートなポップ・ソング「You & Me」を皮切りに、リトアニア共和国出身のダディ・ワズ・ア・ミルクマン「Sleeping Alone」、サーフ系シンガー・ソングライターのダスティ・ブーツの最新作「Hideaway」、先に述べた「Idle Town」よりはメインストリーム感が強いコナン・グレイの「Grow」、そのコナン・グレイ同様に2015年のデビュー時はまだ高校生だったオクラホマ出身の3人組、スポーツの青春讃歌「Panama」など、爽やかで風通しの良い男性アーティストの作品を続けました。中盤からはトロピカル・ハウスを代表する DJ/音楽プロデューサーのカイゴがサーシャ・スローンという女性アーティストをゲスト・ヴォーカルに迎え昨年発表した、切なさと優しさを持ち合わせる美しいナンバー「This Town」や、フランス出身のDJ/音楽プロデューサーSenseが2016年にリリースした、ギターの調べがドゥルッティ・コラムを彷彿とさせる「Last Cigarette」、シカゴ出身でロサンゼルスを拠点に活動しているジョー・ボストンによるプロジェクトShallouのミディアム・ダンス・ナンバー「You And Me」、フロリダ出身の男女ユニットSalesの2016年にリリースされたファースト・アルバム『LP』よりひんやりとしたクールな響きを放つ「Pope Is A Rockstar」など、メロウでドリーミーな作品を集めてディナータイム選曲に淡く華やかな彩りを添えてみました。
そして24時からのミッドナイト・スペシャルですが、前半はマジカルでどこか懐かしく、そして仄かにニッチなポップスを集めてセレクションしてみました。まずはこのチャンネルにおいてこのテーマを掲げるなら外すことのできないサウンド・バリアーの「Mornington Crescent NW1」をイントロに、ホリーズのメンバーだったテリー・シルヴェスターが1976年にリリースした傑作セカンド・ソロ・アルバムより甘くて切ない「I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)」や、1960年代に活躍したイギリスのポップ・バンド、デイヴ・ディー、ドジー、ビーキー、ミック&ティックのメンバーだったビーキーとティックにピーター・メイソンが加わって結成されたメイソンの1973年に発表した唯一作『Starting As We Mean to Go On.』から、映画『小さな恋のメロディ』でおなじみのCSN&Y「Teach Your Children」を彷彿とさせる「Don't You Ever Change Your Mind」に繋げ、オールド・プロレス・ファンには「千の顔を持つ男」ことミル・マスカラスのテーマ曲である「Sky High」で有名なジグソーの爽快感あふれる「Sway」や、イリノイが誇るパワー・ポップ・レジェンド、シューズが1979年に発表していたネオアコ・テイスト溢れる「Your Very Eyes」、スタックリッジのメンバーだったジェイムス・ウォーレンとアンディ・デイヴィスによって結成されたコーギスの「I Just Can't Help It」、元パイロットのキーボード・プレイヤーであるウィリアム・ライオールのジグソー「Sky High」へのオマージュもナイスな「Us」などをセレクト。80年代の作品からはイグジビット・Bやモッズ界のポップ・マエストロ、ポール・ベヴォワ率いるジェットセットの作品も織り交ぜて万華鏡のようなマジカル・ポップな世界を表現してみました。
そしてミッドナイト・スペシャル前半のハイライトとしてスーパートランプの1979年に発表され、全米チャート6週連続ナンバー・ワンを記録した大ヒット・アルバム『Breakfast In America』に収録されている「Lord Is It Mine」をセレクトしましたが、初めてこの作品を聴いたのは、この曲がリリースされた小学校5年生の時にラジオで聴いて感動し、少ないお小遣いをはたいて手に入れた「Breakfast In America」の日本盤シングルのB面に収録されていたからでした。A面の「Breakfast In America」も素晴らしい名曲ですが、優しいメロディーをピアノの弾き語りで奏でる「Lord Is It Mine」という作品に感動し、その想いを当時の音楽の先生に話してみると、その先生は授業でこの曲をみんなに聴かせても良いと言ってくれたのでした。そして自分と同じようにみんなも感動してくれるだろうと思い意気揚々とクラスメイトに聴かせてみたのですが、蓋を開けて見ればまだ洋楽というものに対する免疫力を持ち合わせていなかった当時のちびっ子たちをドン引きさせてしまったほろ苦い思い出の作品でもあります(泣)。
ミッドナイト・スペシャル後半はフェアグラウンド・アトラクション解散後にマーク・E・ネヴィンが組んだスウィートマウスでヴォーカルを務めたブライアン・ケネディのソロ作品や、今年に入って突如アンビエントな作風のニュー・アルバム『Sasquatches And Synthesizers』を発表して往年のファンを驚かせてくれたアンディ・ポウラック、そして名曲「Wonderful Life」で知られ、2016年にまだ53歳という若さで亡くなったコリン・ヴァーンコンブのプロジェクトであるブラックなどのアーバンでブルー・アイド・ソウルな80〜90年代の作品を集めてお贈りいたします。そんなセレクションの中で、ミッドナイト・スペシャル前半のマジカル・ポップな流れからこのアーバンでブルー・アイド・ソウルな選曲に移行する橋渡し的作品として「Strawberry Fields Forever」と同様にフルートの音色を真似たメロトロンの響きが美しいポール・マッカートニーの「Summer's Day Song」をセレクトしているのですが、ポール・マッカートニーに絡んだとても嬉しいニュースが飛び込んできたので、余談ではありますがここに書かせていただきます。それは以前ミッドナイト・スペシャルの特集として映画に纏わるセレクションをしたときにこのコメント欄で日本盤DVD化を切に願っていた、ポール・マッカートニーの元彼女であるジェーン・アッシャーが主演し、1971年に公開された伝説の青春恋愛童貞喪失映画『早春・Deep End』が3月23日についに日本盤DVDとしてリリースされるのです(音楽を担当しているのがキャット・スティーヴンスとドイツのロック・グループのカン)。46年の時を経て今年の頭に東京や名古屋などの映画館でリヴァイヴァル上映が決まったときにもしやと思いましたが、これは本当に嬉しいプレゼントですね。

Sleeping At Last『Year One』
Sleeping At Last『Yearbook Collection』
Julien Baker『Sprained Ankle』
Chelsea Cutler『Snow In October』
V.A.『The Le Sigh Vol.III』 
Mimi『I Will Be Okay』
Conan Gray『Idle Town』
Feldberg『Don't Be A Stranger』
Kygo『Stagazing EP』
Sense『Esper』
Sales『LP』
Mason『Starting As We Mean to Go On.』
Shoes『Present Tense』
William Lyall『Solo Casting』
Brian Kennedy『Captured』
Andy Pawlak『Shoebox Full Of Secrets』

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

アーリー・スプリングということで、芽吹きの新しい季節を意識して、軽やかに気持ちを心地よく高めてくれるような楽曲を選びました。この「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルは、商業施設でも流れているということで、どのような空間の中で、どのような人たちへ届くのか、日々、考えながら選曲しています。個人的にも、休日は家族と一緒にショッピングに出掛けることがあって、ふと入ったお店などで、馴染みのある曲の素敵なカヴァーが流れていたら、子どもも反応したりして、思わず笑顔があふれてしまいます。そんな老若男女が素直に楽しめる音楽のひとつが、ディズニー映画だと思っていますが、今回の選曲では、発表されたばかりの『Jazz Loves Disney』のシリーズの最新作から、ベベウ・ジルベルトの「美女と野獣」のカヴァーをセレクト(エマ・ワトソンがプリンセスを務めた、昨年の実写映画も素晴らしかったですね!)。やはり、エヴァーグリーンな魅力を放つ、「午後のコーヒー的なシアワセ」を運んでくる、逸品のヴァージョンでした。

V.A.『Jazz Loves Disney 2 - A Kind Of Magic』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

各セレクターによるコメント・ページも前回からこちらに移転し、今後アーカイヴとして残っていくことを踏まえ、これからはせっかくなので毎回のセレクションのポイントとなっている曲をとりあえず8曲選びだし(ジャケの並びのおさまりもいいので)、基本的に個人の趣味がいささか反映されていることをお許しいただきながら(ご存じのようにこのチャンネルは、オール・ジャンル〜新・旧譜混在の楽曲で構成されていますので)、担当する時間帯の気分に寄り添う選曲の大まかなイメージが伝えられるような紹介をしていければと思っています、はい。
まずは、今回のEarly Spring Selectionを構成する上での指標とした、スフィアン・スティーヴンスの作品の中でもとびきりの名曲と呼びたい、今回のアカデミー賞にもノミネートされた映画『君の名前で僕を呼んで』の主題歌「Mystery Of Love」は、まるで白日夢の中にいるかのような早春の淡い色彩に包まれる美しすぎるナンバー。そして、ボストンの弱冠20歳の女性SSW、Sidney Gishのセカンド『No Dogs Allowed』は、職人的とも言える多彩でカラフルな曲調のキャッチーなポップ・チューンが満載で、選曲では「Where The Sidewalk Ends」「Rat Of The City」「Not But For You, Bunny」の3曲をエントリー。ケイトラナダ・プロデュースのシングルに続くSunni Colonの昨年末リリースの新曲「God Is A Woman」は、繰り返される柔らかなエレピの響きに陶酔してしまうメロウな好曲。イスラエル出身のSSW、Tomer Yeshayahuの『Boidem』は、どこか70年代の辺境系ソフト・サイケを思わせるメランコリックな傑作アルバムで、中でも「I Forgot To Smile」のフォーキーな浮遊感はまさに春らしい響き。ほぼ10年前となるスフィアン・スティーヴンス制作のデビュー作を好んで聴いていた夫婦デュオ、The Welcome Wagonの久しぶりの2017年リリース作品からは「HCQ1」を。木管のアンサンブルも心地よいドリーミーなワルツタイム・チューン。サンフランシスコのガレージ・ロック・バンド、Thee Oh SeedsのOCS名義での通算20作目となるアコースティックながらもアシッドなアルバムからは、ストリングスが美しく施されたナンバー「Neighbor To None」がこの季節に相応しい穏やかさが印象的。仏No Formatらしいアフリカ〜マルチニーク音楽の新しい融合を試みるリチャード・ボナ/ロクア・カンザ/ジェラルド・トトによるユニットToto Bona Lokuaの新作『Bondeko』からは、アカペラの「Ma Mama」が圧巻で爽快。最後は、アメリカン・ゴシックの深い森へと誘われるようなヴァーモントのSSW、Henry Jamisonのデビュー作から、幽玄なるコーラスから始まる魅力的なオープニング・ナンバー「Bright And Future」を。
というところで、今回のセレクションをお楽しみいただければ幸いです。ふ〜。

O.S.T.『Call Me By Your Name』
Sidney Gish『No Dogs Allowed』
Sunni Colon「God Is A Woman」
Tomer Yeshayahu『Boidem』
The Welcome Wagon『Light Up The Stairs』
OCS『Memory Of A Cut Off Head』
Toto Bona Lokua『Bondeko』
Henry Jamison『The Wilds』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

音楽はよく旅に喩えられることがあります。プレイリストやCDの曲順は、時間とともに移ろっていくサウンド・トラヴェルですし、音楽を聴いて遠い昔のことがフラッシュバックして、その世界に没入したり、音楽の世界を自在に旅することだと感じます。
一時期から新譜に魅力的な作品が並ぶ中、今回は自分の持っている音源を再発掘して、新鮮に聴こえたものや、まだ「usen for Cafe Apres-midi」で使っていなかったものなどを中心にしたセレクションを組んでみました。
いくつかご紹介したいトピックもあります。まずはオープニングに置いたシューマン作「Von Fremden Ländern Und Menschen/見知らぬ国々と人々について」。彼の小曲集『Kinderszenen Op.15/子供の情景』の中では「Träumerei/トロイメライ」に次いで有名な曲だと思いますが、まどろみの中にいるようなフィールがまだ浅い春にふさわしいと思い選びました。「Soiree」「You Are The Sunshine Of My Life」に続く流れも気に入っています。今年は、各セレクションをクラシック曲で始めるというのをやってみようかな? と思っています。クラシックはそんなに詳しいジャンルではないので、そのあたりの勉強も兼ねてチャレンジしてみたいと思います。また、この構成は橋本徹さんの熱心なファンの方ならおわかりでしょうが、『Jet Stream』シリーズや『Room Music For Living』シリーズへのオマージュでもあります。
そして、今回のEarly Spring Selectionでは、クラリネットやオーボエといった木管楽器の柔らかな響きをフィーチャーした、春の訪れを告げるようなサウンドを多くチョイスしました。フリューゲルホルンやヴィブラフォンなどの響きも相性がいいですね。また、ブラジリアンやフォーキー・サウンドなど、爽やかさや心が軽く弾むようなニュアンスを感じさせる音も自然と多くなりました。
ジャズ・ピアニスト/アレンジャー、ジム・ビアードの『Revolutions』は、人から「冨田ラボっぽいから、たぶん気に入るよ」と言われて手に取ったのが最初だと思います。実際、冒頭の「Holiday For Pete & Gladys」なんかは、『Shipbuilding』期のアウトテイクと言われても信じてしまいそうな完成度。もちろん、冨田さんがジム・ビアードを研究したというのが正解なのでしょうけど。遊園地ジャケやカラフルなムードは2月後半~3月の陽気にぴったりだと思います。以前、このコラムでピンクと水色がEarly Springのイメージ・カラー的なことを書いたのですが、このアルバムのジャケットの背景が抜けるような青空の色だというのも、意識はしていないのですが、今回選んだ理由のひとつかもしれませんね。

Jim Beard『Revolutions』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00


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