【提言】ドライバーの人手不足を解消する方法

「ドライバーの働き方改革」こと「2024年問題」により、運送業界が人手不足になるというニュースが連日のように報じられている。
また、トラックドライバーだけでなく、地方ではバスやタクシーの運転手の人手不足が深刻であるというニュースもよく聞く。そのために、政府は「ライドシェア」、乱暴な言い方をすれば素人にタクシー運転手の代わりをさせようという政策を実施しようとしている。

このように、あちこちの業界で「ドライバー」が、車を運転する職業の人間が人手不足なのはなぜだろう?

少子化による若者の減少、過疎化、給料の少なさ、長時間労働の過酷さ、いろいろな原因はあるだろう。
だが、俺が思うに、一番の原因は「ドライバーという職業は近い将来不要になる」ということを、皆がうすうす感じているからではないだろうか。

最近の自動運転技術の発達には目覚ましいものがある。前方に障害物があれば自動的にブレーキがかかり、道路上の白線を認識して自動でハンドルが回転し、高速道路のように信号や歩行者がない場所なら、ハンドルもアクセルもブレーキも一切人間が操作しなくてもいいレベルにまで到達している。
先日は、ホンダとGMが無人のタクシーサービスを2026年から東京で始めるというニュースがあった。

さて、これを見て、「将来はドライバーになりたい」と思う子供がいるだろうか?
漫画「MFゴースト」のような、自動運転車が普及して、昔懐かしいガソリン車で人間がレースをすることがスポーツとして盛り上がっている世界でレーサーを目指すならともかく、トラックやバスやタクシーの運転手になっても、籠をかついだり馬車の御者をしたりする人が現代にいないのと同様、仕事が消滅してしまうのは予想できることである。

ならば、今やるべきことは、ドライバーの給料を上げたり待遇を良くしたりして、「人間」のドライバーを増やすことではない。自動運転技術をさらに進歩させて、ドライバーがいなくてもトラックやバスやタクシーを動かせるようにすること、ホンダとGMがやる予定のことをあらゆる業界で進めることである。

とはいえ、これを実現するためには、開発するメーカーの覚悟が求められる。
最近は減っているとはいえ、年間2610人が死んでいることからも分かるように、自動車というのは扱いを間違えれば容易に死につながる道具である。

現在、「自動運転技術」は広く普及しているが、あくまで「運転」を「補助」する技術のレベルであって、免許を持っていない人間が乗って何もしなくても目的地に到達できるというレベルには到底届かない。
それも仕方ないだろう。「運転を補助してくれる車」で事故が起こっても、あくまで車は「補助」しているだけなので、悪いのはドライバーであるということができる。しかし「完全自動運転車」で事故が起これば、それは車が、つまりメーカーが悪いというしかない。
ついでに言えば、そういう車を販売、運用することを認めた監督省庁、つまり国が悪いということにもなってしまう。

だから、ドライバーの人手不足解消のために、国とメーカーが覚悟を持って自動運転技術を開発、普及させていくべきなのである。
「覚悟を持って」というのは、少々死者が出ても、批判や非難に臆することなく断固として完全自動運転車を普及させるということである。
大丈夫、かつては1年に交通事故で1万人以上が死ぬ「交通戦争」と呼ばれた時代があったのだ。
それに比べれば、自動運転技術の開発によって少々死者が増えたところで大した問題ではない。


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