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「なんで数学科は女子が少ないんだろう?」


私は数理科学系(≒数学科)の数少ない女子大学院生の一人なので、教授たちから度々

「どうしたら数理に女子学生が増えるだろう?」

と聞かれる。私は聞かれるたびに、

「うーん、そもそもなんで数理に女子が少ないんでしょうね?」

と質問で返すことしかできない。

正直なんで数理に女子学生が少ないのかは本当に分からなくて、友人との間でもしょっちゅう話題にしてきた。それでも未だに分からないけれど。


いや本当に、なんで数理とか数学系は女子学生が少ないんでしょうね?

答えは分からないなりに、今回は現状の自分の考察を整理したいと思う。

予想1:数学が得意な女性が少ない。


この真偽は私には判断できない、ということは過去に記事にしている通りだ。


よく、女性の方が男性より空間把握能力が低いから数学も苦手、みたいに言われることもあるが、それもどうだろう? 私は自分の運転する車の動きを俯瞰的に理解することができないから運転がめちゃくちゃ下手だ。でも数学は得意だ。

ジェンダーバイアスのことは一旦別にして、単純に『数学のスコアに男女差があるのはなぜか?』を真剣に考えるなら、数学が苦手とは正確にはどこにつまずいている状態なのかを明確にする必要があるように思う。すなわち数学を勉強するという営みを細分化する必要がある。(これは少し重たいので今度別の記事にする。)


予想2:数学を好む女性が少ない


実は私が一番長く信じていた『なんで数学系は女子学生が少ない?』への答えはこれだ。

男の子が好みやすいものと、女の子が好みやすいものには多分違いがある。幼少期であれば男の子はプラレール、女の子はお絵描き、とか。
(もちろん全体の傾向や平均の話と、個人の好みとは無関係だけど。)

だから単純に好みの傾向の問題で、数理の歪な男女比が生まれているのかもしれない。

しかも他人の好みを変える必要なんて当然ないから、数理に女性が少ないのはもうしょうがない、ということになる。

ただこの”しょうがない”が気を付けないといけないところだと、今は思う。

数理に女性が少ないことの理由をこの予想2に求めると、もう諦めるしかできないからだ。

というか、”好みの問題だ”という結論は、諦めをつけるために恣意的に選んできたものである可能性すらある。


予想3:過去の女子合格者数が少なすぎて、同期に女子学生一人だけだったらどうしよう、と女子学生を不安にさせている。


予想3に関しては私の実体験でもある。

受験生時代に赤本の初めの方に載っている受験者数とか合格者数の欄を見た。
後に進学することになる数理科学コースの女子の合格者数だか入学者数だかが毎年2〜3人なのを知って、

「これは同期女子1人の可能性も全然あるぞ…」

と思い、受験を決意するのにある種の覚悟が必要になった。

このハードルがさらに女子学生を減らしている可能性はあると思う。
まさに悪循環。

逆に言えば数理にあと少しでも女の子が増えてくれたら、この点は解消するかも。(実際、最近は女子学生ちょっと増えてきているよね!)


まとめ

多分今回挙げた予想はどれも間違ってはいないと思う。これらを含めた色々な要因が数理の女子学生を減らしているのだろう。

予想2と3は直接的に改善できる類のことではないかもしれない。

でも予想1(数学が得意な女性が少ない)に関しては、ジェンダーバイアス的にも教育方法的にも改善の余地がきっとある。

それで数学系を目指す女性がじわじわと増えてくれれば、本当はちょっと数学興味あるけど自分にできるかな〜と思う女の子の背中を少し押せて、今よりちょっといい循環ができるんじゃないかな〜。

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