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【牛島薫子のその漫画ドーよ!?買うの買わないの?①『スピリットサークル』】

【牛島薫子のその漫画ドーよ!?買うの買わないの?①『スピリットサークル』】

 資格取得の企画だけだと話が続かないので、合間に新しいコーナーを設けました。題して「牛島薫子のその漫画ドーよ!?買うの買わないの?」という企画です。
 この企画は「一部で人気があると聞いたから自分も読んでみたいんだけど情報が少なくて買うか買わないか迷ってしまう」という漫画読み全員が抱える葛藤を、できる限り解消するというものです。
 つまり有名雑誌に掲載されていないとか、ドラマ化もアニメ化もされていないとか、電子書籍化されていないとか、だけど不思議と表紙を見たことがある、タイトルを聞いたことがある、気にはなっているんだけど……という漫画を僕が実際に読んでおもしろかったらみなさんに紹介するということです。基本的に書店に行かなければ置いていない雑誌、たとえばアフタヌーンやスペリオールやヤングキングなどのマイナー誌からピックアップします。(漫画好きからしたらそれらも十分にメジャー誌なんですけどね)。
 あるいは短編集や書下ろしなどで雑誌そのものには掲載されなかった作品などです。
 この企画の主旨はタイトルにある通り「買うの買わないの?」を主軸においています。つまり買うか買わないか迷うくらいの「絶対にオススメの漫画」しか取り扱いません。読んでみて「これはちょっとな~」と思ったら記事にしないので、みなさんはどうぞ購入に迷ってください!(※企画上「これは絶対にオススメしないわ~」という特集も組むかも知れません)。

 そんな訳で第一回目の今日のオススメ漫画はコチラ!
『スピリットサークル』(全6巻)

 この漫画は『惑星(ほし)のさみだれ』(全10巻)を描いた水上悟志先生の著作です。『スピリットサークル』も『惑星のさみだれ』もヤングキングアワーズという雑誌で掲載されていたので、いまいち目立ちませんでした。しかし『惑星のさみだれ』の方はネットで絶大な支持を得て、漫画オタクの中ではかなり有名な作品です。全10巻というコンパクトさと話のまとまりのよさでアニメ化にピッタリの作品だったのですが、アニメ化はされず。(※この文章を書いた(当時2021年9月)ではアニメ化されていませんでしたが、現在ではアニメ化されています。ただ、僕は残念でした)。
 無冠の王者と言いますか、とにかくまぁ、読めばわかるんですが、ジャンプに載っていても遜色ない超優秀作です。
 この連載が終了する頃、ネット民からは大歓迎されていたのですが、作者の水上先生が言っちゃったんですね。
「よーし、次はさみだれよりおもしろい漫画描くぞ~」って。
 で、ネット民からは「いやいや無理だろwww」「これがピークだろwww」と言われていたんですが……。
 できちゃったんですね、前作よりおもしろい『スピリットサークル』が。

 この漫画は「輪廻転生(生まれ変わり)」をテーマに描いた作品で、主人公とヒロインだけじゃなくそれに関わる様々な人物の「過去」あるいは「未来」が密接にリンクし絡み合って「今」を生きていることを描いた壮大なストーリーです。テーマが一見して重たいこともあり、人気自体は『惑星のさみだれ』よりありませんでした。
 しかし話の内容は確実におもしろく、複雑で、考えさせられるものであり、傑作と評しても過小評価かも知れません。

ストーリーの内容としては―
 中学生の主人公「風太」くんは幼い頃から幽霊が見えましたが、特にそれを吹聴もせず、他人には黙って生活していました。
 ある日「鉱子」ちゃんという美少女の転校生がやってきて風太くんは一目ぼれしてしまいます。
 しかし鉱子ちゃんの背後には幽霊が憑いていて、風太くんはそれだけが気がかりでした。
 風太くんは鉱子ちゃんに必死にアプローチして仲良くなりかけますが、鉱子ちゃんに背後霊が見えることを気づかれてしまいます。
 すると鉱子ちゃんの態度は一変「あんたが私の嫌いな奴」と言い、不思議なリングで風太くんを殴りつけます。風太くんは突如、過去の世界へと意識が飛んでしまうのでした。
 その不思議なリングを「スピリットサークル」と呼び、これを使うことによって前世(過去生)に飛ぶことができるんですね。
 実は風太と鉱子ちゃんは7回生まれ変わりをしており、そのどの世界でもお互いがお互いを憎しみ合って生きていました。憎しみ合うと言っても片一方が必ずしも悪い訳ではなく、風太が悪い時も鉱子が敵な時もありました。しかしある世界で風太が世界を滅ぼしかけ、鉱子はそれを止める側となって奔走した時に風太を滅ぼすことを誓うのです。
 とは言っても現代の風太はそれを知る由もなし。
 現代の鉱子が勝手に風太を憎んでいるに過ぎません。
 そのため風太はなぜ鉱子が自分を憎んでいるのか、自分の過去生を確かめるためスピリットサークルで7回の旅をするのです。
 この7つの世界がそれぞれエピソードとなって漫画で表現されるのですが、そのひとつひとつで一本の漫画が描けそうなほど緻密で練られたストーリーになっています。
 読んでいる側としては「次の世界はどのような過去生なのか」がずっと気になります。また、鉱子も「現代の風太が悪い訳ではない」というのは実はわかっていて、段々と風太の姿に惹かれていきます。
 それでも使命を果たそうとするのかどうか、鉱子の答えはどうなるのか。
 そして最大の謎である「風太が世界を滅ぼしかけた」という過去生は一体どんなものなのかが明らかになってくる時、物語はクライマックスを迎えます。

 とにかく輪廻転生がグルグルしており「この過去生と現代がこーゆーふうにつながっているんだ!」と気づいた時にはAhoy!と叫びたくなります。しかもこのようなテーマで濃密な描写がありながら全6巻!どうやってこんなストーリーを短い巻数でまとめあげたんだ!と作者の技量に感服してしまいます。これホントにアニメ化したら絶対に超傑作になるになぁ、惜しい気持ちでいっぱいです。1クールでちょうどいいからね。

 ただねー、なんというかねー。
 第一巻の表紙が風太くんとルンちゃんの二人なんですけどねー。
 ルンちゃんがあまりにも典型的萌えキャラに見えちゃうんですよねー。
 ピンクの髪にツインテールに巨乳で、ってもう萌えキャラ要素詰め込みまくってるんですよ。そのせいで「あ、この漫画は萌え漫画なんだな」って勘違いする人が多いんですよー。
 ちがうよ。ちがうんだよ。
 このルンちゃんもすんごい悲しい過去があるんだよ。
 超重厚なストーリーを持つ輪廻転生漫画なんだよ。唯一無二だよ。輪廻転生って人生でこんなに言うことある?

 kindleなら一冊495円なので全巻そろえても3000円以下です!
 絶対にお得!
 映画を二回観に行くよりも、こちらを全巻そろえたほうが人生は楽しめます!1週間ビールを飲むよりもこっちの方が断然に人生が捗ります!確実におもしろい体験がまっているんで、ほんの少しでも気になる人はぜひ!
 ただし!
 必ず自分の前世が気になって夜寝る時に少し考えるようになるからな!

 おわり!

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