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コンプレックス

焦りだけは立派に感じながらも、ほとんど昨日と変わりない今日、先週と変わりない今週を過ごす。変わり映えのない日々なのに「なんだか嫌だな」と感じる場面が私の心を嫌に動かす。

私は、「私に似ている人」を見るたびに不快感を感じる。もっと詳しく言えば、「自分の中にある嫌いなところ」を他人が持ち合わせていると感じた瞬間に、全身がその人を拒否する。

自分で自分を認められず、コンプレックスを拗らせた結果、こうなってしまったのだろうか。

考え方や価値観の似た人とは、気が合うな居心地がいいなと思う一方で、自分がコンプレックスとしている部分が相手にも見えた途端に目を逸らしたくなってしまう。無性にその人から距離をとりたくなる。シンプルに言えば、自分を見ているようでつらく、それがどうしようもなく耐え難いのだ。


自分への意識は、グラデーションのように存在していて、コンプレックスも好きなところも混ざり合って構成されているような気がする。はっきりと線引きできるものはなく、大抵、コンプレックスに向き合おうと考えても、未知の形のないものを無理やり型にはめるようで腑に落ちる正解には辿り着けない。

そのコンプレックスの中で、唯一明確に見えるほどのカタチがあり、ずば抜けて存在感を放っているのが「過剰な自意識」である。

これがために、自分に似た人を見つけると嫌でたまらなくなるし、自分が自分に非難されているような気持ちにまでなってしまうのだと思う。

「他人からの承認」に固執していると同時に、「自分からの評価」にも固執している。

幼い頃から失敗することをひどく恐れていた。
実のところ、これがいちばんのコンプレックスなのかもしれない。認められたいあまり、人に失望されることを異常なまで恐れている。並行して、自分が自分を受け入れられなくなることに強い恐怖心を抱いている。失敗してしまえば自分の価値はなくなるのでは?とまで思ってしまう。そんな自分が嫌で仕方がないのだ。

何にも臆することなく挑戦していく人が羨ましかったしかっこよく見えて仕方なかった。他人からの承認に対する執着がなさそうなのも、失敗したとしても失わない自分への信頼を持っているようなのも。

何をするにも私は人の目を気にしている。
この発言は一般的に受け入れられるものか、怠けていると思われないか、自分の行動はどう見えるか。常に目を光らせている。
人の目を気にする自分を自覚する度にもう疲れたと感じながら。うんざりだと思いながら。
どうしてやめられないのだろう。
「人の目なんて気にしていませんよ、」なんてすました顔をしながら、心の中では必死にそれに食らいついて生きている。
人の目を気にせずにいていられたら楽なのにと思いながら、そんなのは無理だとはなから決めつけ、この状況を改善する道には向き合おうとしない。
何もかも嫌だという気持ちになってしまい、自分のコンプレックスを形成するコアな部分が、きっと見えていない。見ていない、という表現の方が正しいのかもしれない。


保険をかけすぎる節がある。
失敗した時の失望を和らげられる気がするから。
「そんなに期待してないから笑」
そんな私を見た、当時気になっていた異性はそう口にした。半分バカにしたような口調でかけられたその言葉に、嫌われたかも、と落胆する一方で、心地良さと嬉しさを感じる自分が確かに存在した。ふと心が軽くなった気がした。

私はその異性の、自分を飾らない姿に惹かれていた。自分とは真反対の性格だった。クラスの中心でいつも友達に囲われていた。できることをひけらかさないし、できないことは笑いに変えられる。それが故に、あまりに眩しくて、自分と彼の大きな溝を感じ、気持ちはすぐ離れてしまったが。


承認欲求を拗らせている人のほうが多いのだと思う。少なくとも私の周りはそうで、自分で自分を認められるのも、他人からの評価に執着しないでいられるのも、当時の私には新鮮に映った。

そこまででなくとも、承認欲求と上手く付き合って生きている人に自然と惹かれてしまう。

暴走する承認欲求から目を逸らし、なんとかそれを満たそうとしている人を見ていたたまれない気持ちになるし、見え隠れする他人の承認欲求にどっと心が重くなる。
あまりに自分勝手だと分かっている。
実際私は、他人のそれを見ながら、自分の中にしまい込んだ、今にも暴れ出しそうな承認欲求を見ているのだと思う。だからこそ、そういった人を見て目を背けたくなるし、今すぐにでもその場を離れて一人になりたくなる。
一人になれば、他人を通して自分の拗れたコンプレックスを見ることは無いから。
他人からの視線を変に意識することも減るから。



長らく抱いてきたこのコンプレックスに対して、軽々に希望を語ることも、諦めを差し出すこともできない。

あまりに唐突でまとまりも構成もはちゃめちゃな文章だが、今回はここで終わる。



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