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税金使って格差拡大?

コロナという長いトンネルの出口はまだまだ見えてこないが、政治家や経済界からはコロナ後の景気回復を見据えて様々な声が上がっている。

いや、コロナ終焉を待つことなく、ワクチン接種が進めば景気回復の名のもとにすぐさま「GO TO トラベル」「GO TO EAT」が復活する可能性も高い。「ワクチンパスポートやコロナの陰性証明があれば、プレミアム率(割引率)を上げる」といったプランを公言する政治家もいる。

「今は苦しくとも・・・」歯を食いしばって頑張っている飲食・観光業界関係者は首を長くして待ち望んでいるに違いない。

筆者も「がんばれ」と声を大にしてエールを送りたいところだが、GO TO キャンペーンの恩恵にあずかれない業界の人を考えるとそうもいかない。


「俺たちだって自粛して日本政府に協力してきた。どうして特定の業界だけ休業補償・協力金がもらえて、さらには補助金がつぎ込まれるのか?」


映画業界に生きる人なら言うだろう。
「どうしてGO TOムービーがないんだ!」

演劇業界の人なら口にするに違いない。
「GO TO シアターを!」

キュレーターだって思うはず。
「是非ともGO TO ミュージアムの導入を」

ゲームセンターやバッティングセンターの経営者は
「なぜGO TO 娯楽施設がないんだ?」

銀座や北新地といった高級クラブのママだって黙っていないはず。
「GO TO EATみたいな500円・1000円といった金券ではなく、GO TO トラベルみたいに何割補助という制度をお願いします。なんせうちらは単価が高いので・・・GO TO EATとは別の制度をお願いします

GO TO 銀座(東京)
GO TO 北新地(大阪)
GO TO 錦3(名古屋)
GO TO 中洲(福岡)
GO TO すすきの(札幌)


これを聞いた牛丼屋さんが言うに違いない。
「Go To Eatがあっても恩恵はほとんどない。うちの牛丼は380円。金券を発行するなら100円単位でお願いします」

GO TO 牛丼屋
GO TO 立ち食いソバ・うどん
GO TO お弁当屋さん


駄菓子屋さんだって口を挟む。
「子供相手のお店なので、10円単位でお願いします」

GO TO 駄菓子屋


民宿経営者だって追随する。
「Go To Travelがあっても、うちみたいな安いところは関係ない」

GO TO 民宿
GO TO 簡易宿泊施設



風俗業界に生きる人も主張するに違いない。
「声を大にしては言えないが、GO TO 風俗もお願いします。ソープランドやピンサロだって、ちゃんと営業許可を受けた娯楽施設です。ヤミ営業している違法フーゾク店とは違います」

GO TO ソープランド
GO TO 遊郭
GO TO ピンサロ
GO TO セクキャバ
GO TO ストリップ劇場
GO TO ファッションヘルス
GO TO デリヘル
GO TO SMクラブ
GO TO ホストクラブ
GO TO ゲイバー(おかまバー)


コロナが原因で売り上げが落ちた業種を「GO TO」の後ろにつければなんでもあり。とりあえず声を上げておけば、あわよくば採用される可能性がある。

GO TO 百貨店
GO TO ショッピングモール
GO TO アパレルショップ
GO TO 紳士服店
GO TO ゴルフ打ちっぱなし
GO TO ビリヤード
GO TO ダーツ・バー
GO TO インターネット・カフェ
GO TO AVレンタル・ルーム
GO TO 美容院
GO TO 散髪
GO TO ネイルサロン
GO TO 刺青(TATOO)
GO TO クリーニング店
GO TO 本屋
GO TO 中古本屋
GO TO 文房具店
GO TO ファンシーショップ
GO TO 100均ショップ
GO TO リサイクルショップ
GO TO カラオケ
GO TO 歌声喫茶
GO TO おもちゃ屋
GO TO ゲームソフト店
GO TO 大道芸
GO TO 紙芝居
GO TO 屋台(ラーメン等)
GO TO 夏祭り(綿あめ、チョコバナナ等)
GO TO 花火大会
GO TO 野外フェス
GO TO F1レース
GO TO 鈴鹿8耐
GO TO 高校野球(春&夏の甲子園)
GO TO 修学旅行
GO TO 社交ダンス
GO TO フラダンス
GO TO クラブ(ディスコ)
GO TO オフ会
GO TO 婚活パーティー
GO TO 街コン
GO TO ボッタクリバー(おそらく却下)
GO TO 結婚式
GO TO お葬式
GO TO 法要
GO TO サウナ
GO TO 銭湯
GO TO 指圧
GO TO マッサージ
GO TO 占い
GO TO・・・


「GO TO 業種名」の後に、業界従事者の人数を添えれば正当性のある主張になる。

「どうして EAT とTRAVEL がよくて、うちの業界はダメなんですか?うちの業界には〇〇万人が従事しています。日本政府(与党)にとってうちの業界は要らない、無くなっても構わないということですか?」

(選挙前に)こういった陳情を門前払いできる政治家が果たしているのだろうか?

100万人が従事する業界は守るが、10万人規模の業界は助けません。50万人なら補助しますが、20万人なら自助努力で。

どの業界を助け、どの業界を見捨てるのか。その線引きは難しい。こんなバカげたことをするくらいなら現金を全国民にばら撒いた方が早くて簡単なんだが、財務大臣が言っている。

「10万円配ったけど、大半は消費に回らなかった」

GO TO キャンペーンの目的は景気回復・経済拡大・雇用維持であり、決して国民の生活を守るためではない。景気回復目的での現金給付は考えにくい。


貧困層には申し訳ないが、お金に余裕のある人はどんどん使ってください。GO TO という名の補助金を出しますので、普段とは違うワンランク上の贅沢をして・・・

貧困対策と景気回復は別問題。言葉は悪いが、そういう事なんだろう。経済を回すという意味では正しいのだが、なんだかしっくりこない。

牛丼や立ち食いソバ・うどんといった食事(500円以下)はキャンペーン適用外。1000円のランチを食べている人はキャンペーンを利用すれば同じ金額でワンランク上の食事が楽しめる。まさに「税金使って格差拡大」である。

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額が小さいので大して気にならないが、これがもし高額商品だったら・・・

「1000万円以上の新車購入には25%の補助金を出します。景気回復のため、軽自動車・小型車ではなく高級車を買ってください」

経済効果が同じであれば、別にこれでも構わないはず。


380円の牛丼を食べる庶民に対して

「なんでキャンペーン使わないの?お得なのに」

と笑っていた中間層を、裕福層があざ笑う。

「どうしてフェラーリやランボルギーニを買わないの?お得なのに」


「GO TO キャンペーン」を否定するつもりはないが、誰もが恩恵を受けられる景気対策というものは不可能なのだろうか?

「GO TO キャンペーンで10万円分得した」
「俺は3万くらいかな」
「うちは家族そろって海外旅行に行ったから、EATとあわせれば50万以上得している。おまえは?」
「うちは旅行にも行ってないし、外食もほとんどしないから・・・」

こんな会話は出来れば聞きたくない。



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