授業のこと | テーマの話(前編)

僕が図工の先生になった経緯は前回の記事のとおりで、そんな背景から、最初はなぜ学校で図工が必修なのか、この教科にどんな意味があるのだろうか、そこをちゃんと理解するとこから始めてみました。

そこで、気付きました。図工の領域はずっとずっと実社会と繋げやすい。あぁ、これは面白いなぁ、と思っています。

現在の勤務校は全校児童800名を超える大規模な小学校。そのため、僕は4〜6年生の図工の時間で、1週間のコマが埋まります。僕と子供たちが図工室で授業をスタートするのは4年生。それから3年間、ともに図工の時間を過ごします。そこで、各学年最初に授業で1年のテーマを伝えるようにしています。

授業の中に、題材の中に、暗にメッセージを込める先生もいますが、僕はきちんと説明したい。なぜこの授業をするのか、僕が何を伝えようとしているのか。1年通じて、その想いを伝え続けたい。そう考えて授業をつくると、1つ1つの授業が繋がっていきます。ひとつの作品が完成!終わり!ではありません。図工は作品制作が目的ではないのです。

上手い下手なんてない!!

4年生では、とにかく「上手い下手なんてない!」ということを1年通じて伝え続けています。

あ!っと自分でひらめく
あ!っと他の人を驚かす
あ!っとみんなでおもしろがる

これが4年生のテーマです。取り組んだものがどんなにぐちゃぐちゃだって、失敗したって、全然構わない。この3つの「あ」が達成できれば100点満点。

「先生、これでいいですか?」じゃなくて、「先生これ見て。頑張ったでしょう?」と言って欲しい。友達のアイデアや作ったものを悪く言わない。だから、誰からも「変だ」とか「違う」とか、そういうことは言われない。だから、この時間は安心して取り組める。どんどん思い付いたことに挑戦できる!そう思ってもらうための1年間です。

子供たちにとって、図工の時間が最高の時間になりますように。安心して、楽しく取り組める場所になりますうように。そういう環境をつくるのが僕の4年生に対するミッションだと考えています。

図工に「答え」はない!!

4年生の1年間で「図工、最高!」となってくれる子供たち。ただ、「図工は勉強じゃない」と思う子もいるようで。そんな声から、図工を学ぶ価値と意味を伝えていこうと思いました。

5年生の最初の授業ではこんな話をします。

*****

図工って何で小学校で学ばなきゃいけないんだろう?

1+1=2
カーボンオフセットとは、何を保護するものですか?答えは「森林」

学校で学ぶことのことの多くには「答え」がある。

では、こんな問題はどう?
「世界中の誰もが欲しい!と思う商品って?」
「23歳になった君に、最もふさわしい職業は?」
「世界から戦争をなくす方法は?」

そう、「答え」は1つじゃない。
もしかしたら「答え」なんて、ないかもしれない。

人生には「答え」はない
だから、

一生懸命考えて、悩んで、
みんなで考えて、
一番いい方法を探す/つくる/やる。

大人はみんなこうして頑張っている。お父さんも、お母さんも。
この大事なことを、学校ではどこで学んでるの?

子供たちはニコニコ答えてくれる
「図工だ!!」

*****
遊びみたいだと思っていたけど、大切なことを学んだいるんだ。遊びながら学べるなんて、いよいよ図工ってすごいぞ!なんて思ってくれたら嬉しいです。

5年生の授業では、空気、風、水、音、言葉、算数、社会、学校行事。。。
子供たちの身の回りのあらゆるものと結びつけるようにしています。
願わくば、授業の前と授業の後では視点が変わって、日常がちょっと楽しくなっちゃう。そんな授業を目指しています。

そして6年生へ。これは後編で。

つづく。


3

Yusuke Yamauchi

都内公立小学校図工専科教諭。SOZO.Ed副代表/出張図工室プロジェクト「山と水の図工室」展開中/西荻ペーパートライメンバー/Microsoft Innovative Educator Expert/第21回東京新聞教育賞受賞/第6回キッズワークショップアワード優秀賞受賞。

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