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パワースポットに人が詰めかけたらもうパワースポットじゃない

関西の有名な、以前は比較的ひっそりしていたあるパワースポットは、今は様変わりした。私が初めてそこに行ったのは、UFOを見たから。あの光はどの方向にいるのかなと思って、追いかけて、初めて訪れた。登山口を通った時、太ももにビリビリビリと電気が走った。やっぱり、ここだったんだ。その頃は、人気は、そうでもなかった。

パワースポットともてはやされ、人が増えると、行っても落ち着かなくなった。切羽詰まった人たちが、列をなして、終わりなき祈りを捧げてた。前の方には行けなくて、後ろからお賽銭をそっと投げた。パワースポットには、悩みや苦悩が渦巻いていた。そりゃあ、パワースポットに人が押し寄せると、負のエネルギーが偏って、パワーも足りなくなるだろう。行くと、ちょっとしんどくなった。

そういえば、小学生の頃に、似たような現象を描いたなぞなぞを見たことががある。
問題)空気がきれいで病気が治ると話題の保養地が、たちまち死亡率No. 1になった。なぜか?
答え)噂を聞きつけた病気の人が押し寄せて移住したから。

みたいななぞなぞだった。小学生のなぞなぞにしてはシュールだったから覚えてる。

自力で見つけよう神様、っていうスピッツの歌詞があったけど、パワースポットも自分で見つけよう。そして、自分だけの秘密にしていよう。本当にいいことなんて、人に教えたりしないから。世の中に溢れるいい話は、誰かの利益になるためのもの。みんなが行ったら、パワースポットもパワースポットじゃなくなる。光を見た方向に行こう。そこに自分だけのパワースポットがあるから。神様だって、千人の願いを叶えるのは大変だろう。たった一人の、オリジナルな、心に響く願いを採用してくれるはずだ。自分だけのラジオDJに、投稿しよう。

せめて、人気のない時間に行こう。私はその場所に夜中に行ったことがある。湧き出る水を、コップに6杯飲んだ。時計が0時を打った頃だった。人っ子ひとりいない、っいう表現があるけど、夜中なのに、人っ子ひとりいた。小学生の男の子が、神社の前を、確かに走り回っているのを見た。夜中でも、神社には、人っ子ひとりはいるみたい。


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