作者によって捨てられたfaker.jsを救っているのは誰か

GIGAZINE経由。

かつて、node.jsのライブラリの一つであるcolor.jsは作者が家が火事になった後に「大企業が経済的な支援をしてくれないことへの抗議」として、実行時にアメリカの国旗を表示したり無限ループするコードに書き換えてnpmライブラリにコミットした。当然ながら、このコードを取り込んだ多くのプロジェクトで意図しない挙動が発生した。

その作者による、もうひとつのOSSがfaker.jsというライブラリなのだが、公式サイトによると、こう書かれている。

The Faker project was maintained by Marak Squires, an early-days impactful Node enthusiast and professional who went rogue and acted maliciously on January 4th, 2022. The package was deleted, and the project was abandoned.

https://fakerjs.dev/about/announcements/2022-01-14.html#i-heard-something-happened-what-s-the-tldr

かつでインパクトのあるenthusiastだったMark が、go rogue、つまり悪党になってしまい、パッケージを削除し、プロジェクトを放棄した。

さて、この渦中の栗を拾いに行ったのは、どういう人物なのだろう。faker.jsのページにはメンバー紹介が出ている。


https://fakerjs.dev/about/team.html

コードメンテナはShinigamiというアカウントで活動していてPretierというコードフォーマッタやViteというフロントエンド向けのツールにもかかわっているプログラマ。アイコンは爆裂天使というアニメで素顔を公開していないが、TwitterもGithubも2014年ごろから使い始めており、比較的若いアカウントのようだ。(本人が若いのかどうかはわからないが)

faker.jsに関しては、Marakが2011年ごろから書き加えてたものを、Shinigami92が一気に追い上げている感じ。

https://github.com/faker-js/faker/graphs/contributors

2人目のコミッタはDocs Automationと書かれている。確かに、彼が書いたであろうbotがコミットログに大量に登場している。こういった形での参加もチームにとってはありがたいだろう。

コミッタ以外の役割なども気になる。

Ownerのprisisはgithubでの役割を見ているとfaker.jsのコードには関わっておらず、他のgithub上のプロジェクトも、環境変数の書き換えてるだけなどを裏方っぽい。ただ、オープンソースに出ている活動だけがすべてでなく、オープンでない仕事の方が多いのかもしれないし、何より1人目のメンテナと同じドイツ在住ということで、何かと貢献が大きいのかもしれない。


当時のコミットを見るとMarakが2021年10月に最後にコミットして2022年1月にclarkericanがコミットしている。Marakがfaker.jsを削除したので、clkarkericanがフォークしたサイトで存続をしようということで、その翌日には早くも新チームのprisisとShinigami92が合流している。github上からは見えないが、どこかのチャットで素早くやりとりをしていたのだろう。(その履歴を読みたい)

作者が放棄したプロジェクトをどう救うかという話は、これからも重要になってくるだろう。そのときに必要となるのは、有名なプロジェクトを引っ張った経験というより、小規模でも、コミュニティを引っ張る段取りを付けられるノウハウなのかもしれない。

さて、例のごとく財政的な支援も受け付けていたので、さっそく貢献させていただいた。8位に君臨したので記念キャプチャで締めくくることとする。


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