テンプレ

どうすれば「作り手」のように考えることができるのか?

先日、とある建築家の方と話をしました。話を聞きながら、ぼくのあたまには「ユーザーであるぼくたちは、どうすれば建築家のように考えることができるだろうか?」という問いが浮かびました。

ぼくは兼ねてから、ぼくが得意なワークショップ・デザインとは「クリエイターの技術を体験可能なものに翻訳すること」であるとしています。というわけで今日は、建築家の技術を翻訳してワークショップをつくってみたいと思った話を書きます。

誰もが空間づくりを担っている

ぼくたちはいつも空間を工夫して使おうとします

子育て中の人なら家具のならべ方に頭を悩ませたことも少なくないでしょう。ビジネスマンであれば会議の席のならびに腐心します。ワークショップの会場づくりはワークショップデザインの最も大切な要素です。保育士の方々は、施設内の什器や遊具のレイアウトといつも格闘しているはずです。

そうかんがえると、ぼくたち素人に、建築家がもっている空間のつくりかたについての「暗黙知」をちょっとでも共有してもらえたら、ぼくたちはもっと建築を、いや、暮らしや仕事それ自体を楽しめるようになるはずです。そういうときに役立つのがワークショップなんだよな〜と。

建築家の暗黙知を、アフォーダンスから考える

では、建築家の「暗黙知」とはなんでしょうか?

たとえば、PLAY DESIGN LABの、すばらしいこの記事を読んでみます。
https://www.playdesign-lab.com/report/entry/569

この活動では、子どもが遊具でどのように遊ぶかを、「アフォーダンス」の考え方をとおして観察をしたそうです。

ぼくたちをとりまく環境はいろんな「意味」に満ちています。高さ、硬さ、なだらかさ、せまさといった物理的な条件があり、それに対して「座れる」「ものを置ける」「体を横たえることができる」といった「意味」を見出します

アフォーダンスというのは、知覚心理学者のジェームズ・ギブソンが英語の動詞「アフォード(afford 与える、備える)」から造語した用語で、「環境が動物に、備え、与えている意味」を表すそうです。

記事の中で、こうした「意味」に満ちた環境を知るための単位として、いくつかの「面」の見方が示されています。(図は僕の解釈なので、専門的に正しいかはわかりません!あしからず)

地面   :平均すれば重力に垂直な面。他のすべての面の基準。
囲い   :媒質(空気)を部分的に取り囲む面。
遊離物  :媒質で完全に囲まれた面のレイアウト。面はすべて外向。動く物と動かない物がある。遊離モノは面の連続性を破ることなく動かすことができる。
付着物  :媒質によって完全には囲まれていない。付着物は他の面と物質で連続している凸面体である。
部分的囲い:媒質を部分的に囲むレイアウト。凹面体であり、洞窟や 穴は隠れ家になる。
場所   :場所はより広い場所に包み込まれている。場所には明確な境界はない。
空洞な物 :外からはモノで、内からは囲い。面の一部が外向きで、一部が内向き。カタツムリの殻や仮小屋。
裂け目  :面全体の大きさに比べて小さな二つの平行する面が媒質を囲っている ところ。硬い面には裂け目、亀裂がある。
二面角  :二つの平らな面の接合部。幾何学的平面の交差と混同してはならない。物質を囲む凸状の二面角は縁 edge。媒質を囲む凹状の二面角は隅 corner。
物質を囲む曲がった面(curved convexity)
媒質を囲む曲がった面(curved concavity)

*引用元:「モノと人の行為の関係を観る」プレイ・デザイン・ラボ

建築家は、とても繊細に、こうした「面」のレイアウトをとりあつかっていると言えます。こうした「面」の作用を体験的に学ぶことができるようになるだけでも、ぼくたちの空間への工夫はより楽しくなりそうです。そのようなワークショップをつくりたい!

どうすれば「作り手のように考える」ことができるのか?

具体的にどうすれば「面のレイアウト」の使い方を学ぶことができるのか。このことについては、これから考えていきたいと思います。(オイ)

最後に余談ですが、「今考えていることって建築だけの問題じゃないんだよな」と思います。

「作り手」と「受け手」という考え方がありますよね。たとえば、建築家と住まい手、デザイナーとユーザー、小説家と読者、パフォーマーと観客、ゲームデザイナーとプレイヤー、いろんな例があげられます。

受け手は、作り手がつくったものを受け取ればそれで終了。本当にそうでしょうか?むしろ、住まい手、ユーザー、読者、観客、プレイヤーであるぼくたちが、いかに与えられた情報を解釈し、使いこなすかが問題です。

つまり、作り手のように考える「使え手」であることで、より豊かな暮らしや仕事ができるようになると思います。建築家のように考えて住まう、デザイナーのように考えて使う、小説家のように考えて読む、パフォーマーのように考えて観るということです。

専門家の技術を、誰もが体験可能なものに翻訳すること。これがぼくなりのワークショップデザインの定義です。(気になった方は下記の記事を読んでみてください)

ひとまず、建築を切り口に考えてみたいと、ずっと思っています。そうすることで、作り手と使い手の関係はより豊かになると思われます。クリエイターの技術を翻訳したい!


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子ども向けワークショップの企画・運営が得意です。noteでは発達心理学や認知科学をベースにした「赤ちゃんの探索」、ワークショップの作り方やアートの見方についての「アート・ワークショップコラム」を連載しています。株式会社Mimicry Designディレクター
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