テンプレ_5

話す・聞く・描くー「3ピースダイアローグ」のススメ

「今までボンヤリ考えてはいたけど、言葉にするのは初めてかも…!」

そんなとき、少し視界がクリアになり、手応えを得た気持ちになります。

どうすればモヤモヤした考えから視界をクリアにし、手応えが得られるのか。今日は、ぼくがワークショップで使っている手法「3ピースダイアローグ」をご紹介します。

「3ピースダイアローグ」とは?

「3人集えば文殊の知恵」と言います。この手法は、現在臼井が開発中のものです。語り手、聞き手、描き手の3役になり、ターンを交代して全員が語れるようにする、というシンプルな方法です。

所要時間は1人10分~15分。合計で30分~45分です。

前回の記事では「三位一体型対話モデル」と仮に名付けていましたが、シンプルな名前にしたいと思います。イメージはバンドです。ギターボーカルがメインの語り手になり、ベースが聞き手、ドラムは描き手・・・みたいなイメージです。

3つのメリット ー ターン、満足、親密性

この手法には主に3つのメリットがあります。

1つは個々人が「自分の話をするターン」が確保されること。通常、ワークショップや研修の場では、話が上手い人やアイデアが豊富な人の発話が増え、そうでない人の発話は少なくなってしまいます。しかし、この方法を導入することで、個々人が自分の語りたいことを語る時間が担保されます。

2つめは、個人の満足とみんなの満足を両立できることです。個々人がテーマに対してかかえている「意味」を持ちよることで、そのときその場所ならではの対話や創発が生まれます。また、個々人は自分が持ちよった「意味」を更新して持ち帰ることもできます。時間が平等に配分されることも大きな利点です。

3つめは、親密な空間をつくることです。個々人が自分の話をその場に持ちよることで、その場と心の結びつきが生まれます。愛着や思い入れといってもいいかもしれません。そうして親密なコミュニティを立ち上げることができます。

使えるシーン ー悩みの共有、チームづくり、ふりかえり…

3ピースダイアローグはいろんなシーンで使えます。

飲み会やお茶をするときなどに3人いればできます。意外と1時間ぐらいと限られているときに濃厚な対話をしたいときにぜひ。先日、スープ作家の有賀薫さん、noteディレクターの平野太一さんと3人でテストしてみましたが、それぞれに発見のある素晴らしい時間でした。

たとえば、悩みや葛藤をケアする「対話」の場です。家庭料理のあり方や子育ての悩みを共有する対話のワークショップで活用し、とても役立ちました。

あるいは、チームビルディングの「チェックイン」でも使えます。先日開催された「 #VMQ2019  」では、ビジュアリゼーションに関心を持つ人が多数集まり、この方法でチームビルディングをしました。

授業や講義の「ふりかえり」にも活用できそうです。清水淳子さんの大学の授業では、卒論のテーマ発表後のブレストのために活用いただきました。

「聞き方」や「描き手」にポイントを置き、傾聴やヴィジュアリゼーションを学ぶこともできると思います。

そして今度は、演劇の感想を語るワークショップで活用しようと思っています。

3ピースダイアローグの方法

では、その基本的なやり方をご紹介します。

所要時間:45分(❸と❹を一緒に実施すれば30分)

人数  :
3人〜場所が許す限り何人でもOK

事前準備:問いを立てる

やり方 :
⓪ イントロダクション
❶[5分]フリートーク
❷[2分]聞き手と描き手でふりかえり
❸[3分]追加トーク
❹[5分]シートまとめ/ふりかえり
1~4を繰り返す

事前準備:問いを立てる

まず事前の準備として、問いを決めることが大切です。

ぼんやりと「今悩んでいること」でも良いですし、「どうすれば●●できるのか」とか「よい●●とは何か」など、HOWやWHATを問うかたちになっていると良い探求の時間になります。(詳しく紹介したいので、別途note書きます)

やり方:


⓪イントロダクション

・3人組をつくる
うまく3人組がつくれるよう人数を調整します。端数がでないように1〜2人はスタッフが入れるようにするとよいです。

・ターンを決める
じゃんけんなどでターンを決めてもらいます。

・ルールを説明する
5分フリートーク、2分聞き手と描き手でふりかえり、3分追加トーク、5分ブレスト/ふりかえりという基本の構成を説明します。

❶ フリートーク(5分)

- 1人目が話す
- 聞き手は質問をする
- メモ役はミュート(無言の相槌)
- 5分経ったらアラームやベルを鳴らして会話を切る

❷ ふりかえり1(2分)

- メモ役が気になったポイントを聞き手に伝える
- 聞き手が気になったポイントとすりあわせる
- 語り手はミュート(どんな質問が次に来るか予測)
- 語り手は喋らないようにするのがポイント。

❸ プラストーク(3分)

- 気になったポイントをほりさげる。

❹ ふりかえり2(5分)

- A「話してみてどう感じたか」を語る
- B ワークシートがある場合は3人で協力して作成する

❶~❹を繰り返します。

❺ (時間があれば)全体でシェア/ふりかえり

ワークシートを見せながら、別のグループの人と対話すると、ざっとふりかえりができます。あるいはワークシートを持ち歩いて、興味関心が近い人/チームになったら面白い人を探すようにすると、チームビルディングにも使えます。

いかがでしたでしょうか?まだまだアップデート中なので、感想やご意見ぜひぜひおまちしています。さらに、実践した際はぜひ教えてくださいね!

実践事例

最後に、一部の実践例をご紹介します。

子どもの自主性発見ワークショップ

親同士の悩みをシェアしながら「子どもの自主性を育む協力者の条件とは?」という問いをもとに3ピースダイアログを実践してもらいました。

家庭料理の問診ワークショップ

5/12開催のワークショップにて実施される予定?です!

演劇の感想シェアワークショップ

演劇とグラフィックレコーディングを組み合わせた観劇後の感想シェアワークショップでも3ピースダイアローグを使おうと思っています。ぜひともご参加ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。いただいたサポートは、赤ちゃんの発達や子育てについてのリサーチのための費用に使わせていただきます。