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#秘密基地の話 について考える

こんにちは。ワークショップデザイナーの臼井隆志です。前回の記事で、秘密基地ごっこは「ごっこ遊びと探索行動をかけあわせた最高の体験だ」と書きました。その後、LINE@とTwitterで秘密基地にまつわるたくさんのエピソードを教えていただきました。今回からシリーズで、秘密基地について考察していきたいと思います。

では、まずはいただいたエピソードを見てみたいと思います。今回は主にツイッターから!

屋根裏部屋に入りたい!っていう気持ちって、なんなんでしょうね。未だにロフト付きの部屋とか見るとワクワクしちゃいますよね。人から隠れられる遮蔽性、人が入れるギリギリの狭さなどがいいのかな〜。

「屋根」というのは秘密基地の重要な要素ですよね。傘やビニールシートで工夫、どうやってやっていたんだろ。そして、飯盒炊爨はガチすぎる。どうやって材料、道具を調達したのか、火はどうやってつけたのか、気になります。

ぼうぼうに生えた草が「壁」に見立てられていたのでしょうか。ここでも遮蔽性が要素になっていそうです。結ぶだけで立体的になるのもいいですね。素材として魅力的な「草」。

マンションの隙間!「都市には遊びに必要な隙間がない」などと言われて30年以上たちますが、子どもはたくましく隙間を見つけ、ハックしていきますよね〜。「巣ごもり」というのも気になるキーワード。人間が巣を作る習性があるとして、それを子どもが模倣する、と考えられそう。

これこれ、めちゃくちゃ興味深いです。「入団テスト」にはコミュニティの「内と外」の線引きがありますよね。団員に課せられたその他のルールはあったんでしょうか。ぼくが小学生のときにつくったものには、メンバー以外の人間の侵入を許してはならない。仲間に入れたい場合は必ずメンバーに相談する、などがあったなぁ。

こちらもマンションの隙間。花を飾る、というのがいいですよね。装飾をすることでその空間がより自分にとって居心地のいいものになっていく。そして気になるのは「蚊取り線香」ですよね〜。香りが漂うことで、その香りのするエリアは自分たちの空間だということになる。秘密基地における「匂い」は重要な要素なのかもしれません。

グラフィックレコーダーとしても活躍されているgiriさんが、イラスト付きで投稿してくださいました!ソファは非常に使い易い素材のようですね。その後「ローリングをして破壊する遊びが楽しかった」「親戚の家で勝手なことをして親に怒られた」などのエピソードも教えていただきました。空間をダイナミックに破壊したいと思うのは、おそらくアニメや特撮の影響と思うのですが、楽しいですよね!

秘密基地ごっこの考察

7つのエピソードを紹介させていただきましたが、さまざまなかたちの「秘密基地ごっこ」があるようです。

前回の記事で、秘密基地にはサイズ・用途・加工の3つの探索があると書きました。しかし、みなさんからいただいたエピソードを見ていて、分類基準がゆらぎ、さらに新しい分類を考えてみました。

1つ目は、身体感覚の話。空間に対する身体的な探索(感覚-運動経験)のことを指します。前回書いた、サイズの探索はこれにあたります。

2つ目は、空間をどのように構築するかという話。素材の用い方、組み立て方などの方法の探索です。前回書いた、用途や加工の探索はこれにあたります。

3つ目は、世界観の話。仲間どうしでのイメージやルールを共有する手段の探索です。新しく加わった要素です。赤ちゃんにはできない、言語を介したコミュニケーションによって成立するこの自治性の萌芽は見逃せません。

というわけで、秘密基地ごっこには子どもが大人なっていくうえで好奇心を失わず、楽しさベースで活動できるようになるために必要なことがつまっているように思えます。

このマガジン「赤ちゃんの探索」と、どういう関係があるんだ?!と思われるかもしれませんが、ぼくのなかでは、秘密基地ごっこの萌芽は胎児期にあり、いないいないばあなどで空間性の認知が花開き、トンネル遊びなどの探索行動を経て、見立て、ふり、ごっこ遊びへと発展していくものであると考えています。さらに言えば、思春期に「ごっこ遊び」が抑圧され、青年期に「サードプレイス」として花開く、という仮説も立てています。

つまり、秘密基地ごっこの発達段階がひもとけたとき、「遊びと探索」という観点から赤ちゃん〜思春期までの関わり方が見えてくると思うのです。

というわけで、次回は「秘密基地を通してどのような創造性が育まれるのか」ということを考えてみます。ひきつづき、#秘密基地の話 で、投稿をお待ちしております。また、LINE@でも募集中です〜!


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