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楽しそうなブルーノ・ムナーリ

展覧会「ブルーノ・ムナーリ こどものこころを持ちつづけるということ」(神奈川県立美術館 葉山)に行ってきました。

デザイナー/美術教育者として有名なブルーノ・ムナーリを現代美術家として紹介した展覧会です。身も蓋もない感想を言うと、とにかく作品をつくることを楽しんでいそうなんですよ。おしゃれでお茶目で「こんなふうに楽しく世界を触って遊べたら超いいな〜!」と憧れてしまうんです。

現代美術家としてのムナーリ

展覧会では「未来派」「具体芸術協会」「キネティックアート」「アンフォルメル」「マルチプル」といった現代美術のキーワードがならびます。ムナーリの美術家としての特異点のひとつは「超現実的な世界(シュルレアリズム)」とか「いろんな角度から見た物の形(キュビズム)」とかではなく「その形や色や動きが、それ以外の何ものも表していない」ということにこだわりぬいているところなんだなと思います。

例えば代表作『読めない本』。これはたくさんのシリーズがありますが商品化されたものがYouTubeにアップされていたのでシェアします。

文字や絵はなく、本自体が紙やフェルトやプラスチックでできていたり、ページの形や色がバラバラであったりします。本に触れ、本のページをめくることそれ自体の楽しさを体験しなおすことができるというものです。やっぱ軽やかなんですよね!宗教的モチーフとか性的な情念とかがない。子どもっぽい落書きとかイタズラっぽい感じがありつつ、洗練されている。

そういう子どもらしい手つきで「形・色・物それ自体」について探求していくということを「絵」「本」「写真」「葉っぱ」「フォーク」「文字」といったテーマに対して多角的に(面白がりながら)検証していっている様子が作品からいきいきと見てとれます。

美術の技術の複製=子どものワークショップ

ムナーリは「誰もが作品を制作できる方法」を探求していたとされており、とりわけ子どもの教育に力をいれていました。教育熱心な素晴らしいアーティストであるという見方がある一方で、美術的に見ると、工業的に量産され流通される作品のことを「マルチプル」と言いますが、美術作品を生み出す「技術」それ自体も「マルチプル」にするというコンセプトをかたちにしようとしていたのかもしれないなと思います。

技術はマルチプルだが、遊びは個々人が楽しむことでしか生まれない。だからワークショップが必要だったのかもしれません。そんなワークショップの様子を、こちらの動画でみることができます。ありがたすぎるYouTube。

いやぁとにかくこのムナーリの軽やかさ、見習いたいです。

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