①すべてのはじまり、部登録
2013年春、私は高校に進学しました。
第二志望ではあったけれど、高校生活には希望に満ち溢れていました。
入学からまもなく、部活動の仮入部期間がスタート。中学時代、吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた私は、そのまま吹奏楽部に入るつもりだったので、どこにも見学には行きませんでした。
そのまま1週間が経ち、部登録前夜。
僕は、中学からの友達で、同じ吹奏楽部だった友達にメールを送りました。
「部活どこにするか決めた? また一緒に、音楽やろうや」
すると返信は、意外なものでした。
「私はもう、やりたないし、高校はまた違うことしたい」
えぇぇ、マジで!?
予想外の返信に、僕は驚いたと同時に、このまま安直に入部していいのかと
少し考えるようになりました。
部登録当日、放課後。
吹奏楽部の部室は、北館4階の音楽室
1年の教室があるのは南館4階で、4階には渡り廊下がないため
3階まで降りなければならない。
まだ慣れない校舎をさまよいながら僕は北館の3階に辿り着きました。
すると4階に向かう階段横の部屋から、とても賑やかな笑い声が聞こえました。
そう、その部屋が、放送部だったのです。
「高校は違うことしてみたい」
昨夜の友達の言葉が頭によぎり、僕も知らないセカイに
足を踏み入れようと思い、気付けば何の躊躇もなく放送部の部室の
ドアを叩いていました。
部室の奥から先輩らが順番に座っていて、手前には新入生と思われる
人達が4人座っていた。前に立っている先輩が僕に向かって言った。
「ここ放送部やで!?間違えてへん?」
「いや、僕入りたいんです」
仮入部に一度も現れなかった奴が、いきなり入ってきたのだ。
驚かれても仕方がないですよね。
もし4階に渡り廊下があれば、もし放送部の部室が3階になければ、
きっと入部することはなかったと思います。直感とその場のノリで僕は、
高校の部活を決めてしまいました。そのときの僕には、これから起こる出来事、ましてや自分の人生を大きく方向転換させることになるとは、全く想像できませんでした。
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