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『木地処さとう』 に行ってみた(前編)

上映会を企画したことでいわき市内にこけしを作る工房があることを知り、
実際に工房見学をさせてもらった訪問記です。


出会いは偶然に…

『奥会津の木地師』の上映会を企画したことで、今までする未接触だったSNSを始めた筆者。
Instagramで#木工#漆器などを付けていたためか、木工品や民芸品のオススメ画像が流れてくることが多くなりました。
そんなときに見つけた『こけし』の画像。

子供が寝入る姿が愛らしい

『ねむりえじこ』というかわいいこけしを思わずタップすると、制作している方はいわき市に在住しているとのこと!

失礼ながら存じ上げず、連絡を入れると工房見学OKとのことで、上映会後に訪問させて頂きました。

こけしの製作元『木地処さとう』とは

木地処さとうは、昭和元年創業、伝統こけし製作工房です。
弥生時代より伝わる伝統の技法を守り、かつ現代に愛されるこけしを作ることが私たちの誇りです。
材料となる木材は全て国産天然木を使用。『時間・手間・工人の思い』をたくさん込めた製品を作ることにこだわり続けています。

公式HP木地処さとうの歴史より 

完全に筆者の勉強不足です…
公式HPを見るとその歴史や成り立ち、こけしに対する想いがしっかり書いてある。
こけし初心者にもわかりやすく解説されているので、是非見て頂きたいです!!

現在は二代目の佐藤誠孝氏と妻である美喜子氏、そしてご子息の英之氏と裕介氏という、家族4人で各々がこけしを制作しているということでした。
家族揃ってこけし工人というのは珍しいのでは!?とワクワクが膨らみます。
(私が無知なだけかも知れない…)

まずは平の工房へ

『木地処さとう』では工房を2ヶ所に構えており、いわき市平の工房では誠孝氏、美喜子氏、裕介氏が、山間部の小川町には英之氏が各々制作を行っております。
この日訪れた平の工房では、美喜子氏が対応をしてくださり、色々とお話を伺う事ができました。

出迎えてくれた大小様々なこけし達

個人的に謎だった、なぜ弥治郎系(宮城県白石市発祥)こけしがいわきに…?
答えは創業者の佐藤誠氏の辿った波乱万丈な人生にありました。詳しくは誠氏の息子で誠孝氏の兄・佐藤光良氏の著書『父のこけし』でその人生を垣間見ることができます。

こけしには『系統』や『型』があり、こけしをつくる工人各々の特色が見ることができます。

木地処さとうでつくられるこけしには多数の『型』のこけしがありました。

誠氏の波乱万丈な人生、跡を継いだ誠孝氏の情熱が無ければ、これだけのこけしが一同に揃うことはなかったはずです。
沢山あるこけしの一つ一つに歴史を感じます。

しかしながら、"カワイイ"だけではないこけしの持つ奥深さ…
『こけし沼』にハマる人達の気持ちがわかる気がします。
先人やそれを脈々と受け継ぐ工人達へのリスペクトの気持ちが含まれているのかもしれません。

形状や絵柄をそのままミニチュア化した代物に
卓越した技術を感じる
親指サイズのこけしの首元まで入る細い筆線
惚れ惚れしてしまう

え?手挽きロクロを…!?

話の途中に思いがけないことを聞いた。
「昔、手挽きロクロにチャレンジしたことがあって…」
と美喜子氏がポツリ。
「2人でやるにしても、紐を引く方も大変だし、挽く方も少しずつしか挽けないから時間が掛かるし…大変だった!昔の人はスゴイ!!」
と笑いながら話してくれました。
私はあの手挽きロクロを使ってみた人の話が聞けるとは思いもしませんでした。

今では電動のロクロですが、その前は足踏み、さらにその前は手挽き…と使う道具にも歴史があります。
現代の方が便利にはなりましたが、職人の作業は元来変わらずです。

材料からこけしをつくりあげるまで、最初から完成まで全部一人で行う。

その大変さを知ったいるが故に、昔の人への敬意を忘れずに要られるのかなぁ…
そんな事を思いながら工房見学を終えました。

次に小川町に工房を構える英之氏の元を訪ねますが、長くなったので2分割にします!


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