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ボツ実験紹介!!

こんにちは!
私たち東大CASTは、「科学の面白さを、多くの人に伝えたい。」をモットーに、実験教室やサイエンスショーなどのイベントを実施している東京大学の学生サークルです。
 実験には失敗がつきもの! 特に、それが駒場祭となれば没になってしまうものもたくさん出てきます。今回は、そんな駒場祭で公開できなかった没実験たちを供養すると共にまとめてみました!!
 駒場祭当日はこれらに関係する実験を多くご用意し、原理を小学生にもわかりやすくご紹介していますので、是非お越しください!!


美味しさにはワケがある?サイエンスで見る駄菓子の世界

柑橘ゼリー

 寒天でできたゼリーとゼラチンでできたゼリー、皆さんは区別できますか?

1と2のどちらが寒天で、どちらがゼラチンでしょう?


 見た目でも少し違いがありますが、実は、性質の面でも違いがあるんです!!実は、寒天はアガロースなどのお砂糖を溶かして固めたものなのに対して、ゼラチンはゼラチンを使って固めているものなのです。
 では、この材料の違いを使って見分けていきましょう。方法としては簡単!柑橘類を上に乗せてみれば良いだけです。生の柑橘類を寒天とゼリーの上に置き、変化がない方が寒天、沈んだほうがゼラチンと見分けられます。

沈むパイナップル(柔らかさの差による可能性もあり)


 どうしてこれによって見分けることができるんでしょうか? 
 実は、柑橘類やパイナップル、舞茸などはタンパク質を分解するもの(酵素)を持っています。ゼリーの材料であるゼラチンはタンパク質なので、タンパク質を分解する柑橘類によって分解されてしまって溶けてしまいます。しかし、寒天の元はアガロースなどのお砂糖の仲間なので、タンパク質ではないのです。そのため、柑橘類は寒天を分解することができず、溶けることがありません。
 この違いを皆さんにお見せしようと考えましたが、ブースで見せられるような短時間で、目で見えるほどゼリーが溶けなかったため没になってしまいました。

ポン菓子

 サクサクしたお菓子はたくさんありますが、そのほとんどが油を使って揚げたものですよね。しかし、駄菓子屋さんなどで売っているポン菓子は違います。ポン菓子は、お米に圧力をかけながら熱することで作られているんです。
 圧力をかけながらお米を加熱すると、お米の中の水が蒸発していきます。そこで圧力を低くすると一気に水蒸気が抜け、お米が膨らむことでポン菓子ができるのです。そのため、ポン菓子の断面を見るとお水が入っていた部分が穴になって隙間ができています。このすきまによって、サクサクした食感が作られているのです。ポップコーンも、コーンを温めることで、硬いコーンの殻の中で水が蒸発し、殻が耐えきれなくなって破裂することで圧力が低くなるという、似たような仕組みでできています。
 ブースでもポン菓子を作る再現をして、サクサクしたお菓子を作る原理についてお話ししようとしましたが、専用の機械がなく、圧力を上げるためにアルミを巻いた白米、玄米で試してもあまり成功せず……
 
ネットではうまくいった例がちらほらあるのに、私たちが何百粒(多分それくらいやりました)やっても、うっすらポンッとなるか、ただの焦げたお米が出来上がるだけでしただったため没になりました。
うまくいった方、やり方教えてください。

ポップコーン(ポン菓子は作れず……)

金属の裏の顔を探れ!かたちを変える金属

水銀

 皆さんは液体の金属を見たことがありますか?実は、常温(25℃)で液体の金属は世界で水銀だけなんです。
 そんな水銀を皆さんにご紹介しようと考えましたが、水銀はとても危険な金属な上に高価なので、ご用意することができず、没になってしまいました……

備長炭電池

 皆さんの生活には欠かせない電池。そんな電池を備長炭で作ることができます!
やり方は簡単。備長炭に飽和した塩水を染み込ませたティッシュなどを巻き、アルミホイルをその上から巻くだけです。最後にアルミホイルを備長炭を繋ぐと電気を流すことができます。

備長炭電池


 備長炭電池のどこに「金属の形が変わる」部分があるのでしょうか?
 備長炭電池から電気が流れているとき、アルミニウムは「電子」というものを出しています。アルミニウムが電子を出すと、硬いアルミニウムは「イオン」という別の形になり、水に溶けるようになるのです。
 備長炭電池を長く使っているとどんどんアルミニウムがイオンになっていくので、ボロボロになっていくはずです。この、ボロボロになっていく様子を見ていただき、実際にアルミニウムがイオンになっていく様子を見ていただこうと思いましたが、備長炭電池のアルミニウムがボロボロになるにはとても時間がかかり、ブースであまり見せられないことと、電気を流している様子がとても地味なことから没になってしまいました……

ボロボロになった備長炭電池
穴の空いたアルミニウム

ビスマス結晶

 皆さんはビスマスをご存知ですか?ビスマスはとても安定な元素で、特徴的な色や形をしているので見たことがある人も多いのではないでしょうか。

ビスマスの結晶

 このカラフルな色味はビスマスの「酸化皮膜」とよばれる、表面に小さな錆が集まった構造のせいなのです。そのため、錆びていないビスマスは虹色ではなく他の金属と同じような銀色をしています。
 酸化皮膜は表面を「酸化」することで付けることができます。「酸化」というのは、備長炭電池であったような電子を出してイオンになるのと同じように、電子が別のものに奪われてしまうことをいます。よくある錆びるという現象は酸素によって電子が奪われてしまうというものなんですね。
 ビスマスの酸化皮膜を溶かし、ビスマスに酸化皮膜ができる様子を観察していただくと共に、酸化するということについて説明する予定でした。しかし、色々な溶液に浸していたら、酸化膜が厚くなりすぎたのか希塩酸の濃度が低かったのか分かりませんが、酸化膜を溶かせなくなったため没になりました。

うまく色がつかなかったビスマス

身近な海の秘密を探れ!!海のサイエンス

高波・津波の原理

 皆さんは高波と津波の違いをご存知でしょうか?どちらも海でできる波ですが、大きな違いがあるのです。高波は風によってできる波で、皆さんも台風の日などに白い波が立っているのをテレビなどでみたことがあると思います。

海岸に押し寄せる波

 では、津波はどうでしょうか?津波は地震によって引き起こされる波で、プレートによって押し上げられた海底から水の塊が波となって押し寄せるものです。津波といえば、ただの高い波だと思いがちですが、津波と高波では波の波長の長さが違います。高波の波長は長くても数百mなのに対して、津波の波長は数百kmにまで及ぶのです。簡単にいえば、高波では海の表面の水だけが押し寄せるだけなのに対して、津波では海底から海面までの全ての水が押し寄せてくるということです。水の塊となって押し寄せてくる津波は、それだけ力が強く、大きな被害を引き起こしてしまうのですね。
 これらを説明するために風浪は手持ち扇風機、うちわ、ブロワーなどを用いて再現、津波はプレートをなんらかの模型で再現しようとしましたが、できた高波は波長が短すぎ流などの問題があり、津波は再現することが難しかったため没になってしまいました……

作って体感!サイエンスアトリエ

トマトジュースでブンブンゴマ遠心分離

 今回のアトリエではブンブンゴマを工作する回がございます。ブンブンゴマは、昔からある、高速で回すことでブンブンと音のなるのおもちゃです。
ただブンブンゴマを作るのも良いですが、せっかく高速で回転するものがあるのですから、その遠心力を使ってトマトジュースを遠心分離しようとしたのが今回の試み。しかし、トマトジュースを使うと駒場祭での食品提供になってしまうことや、一回遠心分離すると元に戻らないため、何回も繰り返し遊べないという点から没になってしまいました。
 駒場祭当日は、片栗粉と水を使うことで、片栗粉を水に溶かして何回も遠心分離を体感できるブンブンゴマを一緒に工作します。是非、駒場祭で工作された方は、お家でトマトジュースの遠心分離などいろいろなものを遠心分離して遊んでみてください。(お家でブンブンゴマを使った遠心分離する時はきちんとストローが密閉されているかを確認してね。でないと、中身が撒き散らされちゃうよ。)

クロロフィル・蛍光人工いくら

 今回のアトリエでは、人工イクラを工作する回がございます。人工イクラは、アルギン酸を溶かした水を、カルシウムなどが溶けた水に入れることで、アルギン酸の表面に膜が作られ、粒ができるというものです。
 ただ人工イクラを作るだけでも良いのですが、今回はブラックライトなどを当てると光を発する「蛍光」人工イクラを作ろうとしたのが今回の試み。そこで、まず植物の葉に入っているクロロフィルを使って蛍光する人工イクラを作ってみました。

蛍光していないクロロフィル人工イクラ

しかし、クロロフィルの抽出に使うエタノールのせいでそもそもアルギン酸と混ぜた時にものすごくネバネバに……ちゃんと蛍光はしましたが、工作難易度の問題から没になりました。
次に、市販の蛍光色素を加えて、蛍光する人工イクラを作成。
こちらもちゃんと蛍光しましたが……

蛍光塗料を入れた人口イクラ
蛍光していない蛍光人工イクラ


蛍光していない時の見た目が気持ち悪く、いくらに見えないということで没に……
 当日は水の液性(酸性・中性・アルカリ性)によって色が変わるアントシアニンを加えた人口イクラを工作します。

駒場祭準備ではいろいろな案が出ては消えていったのですね……
11/24,25,26の駒場祭ではさまざまな準備をして皆様をお待ちしております!!
是非お越しください!!


今回もお読みいただきありがとうございました。
ぜひ、他の記事もご覧ください。