イオン結合と金属結合の人間性

イオン結合は陽イオンと陰イオンが引き付けあってできる。
だから少しでもイオンの配列がずれてしまうと、同符号のイオンが近づいて反発し、壊れてしまう。
金属結合は整列した陽イオンの間を自由電子が自由に動き回ることで結合が成り立っている。
だから壊れにくい。ぐねぐねと変形できる。熱や電気も通す。

脆いイオン結合と柔軟な金属結合。
人が生きていくにはイオン結合より金属結合が役に立つと思う。より強いと思う。
イオン結合はメランコリー親和型性格や強迫性格に似ている。
真面目で几帳面で完璧主義で融通が効かない。
だから少しストレスが加わって、自分のいつものルール、世界が揺らぐと、途端に脆く崩れてしまう。病理を生み出してしまう。
金属結合みたいに、しなやかで柔軟な強さがほしい。
剛より柔の強さ。
三浦しをんさんの『風が強く吹いている』で描かれている「強さ」もこういうことなのかなと思う。

中高の同級生にイオン結合っぽい人がいた。
確固たる自己があるようで、どこか危うい感じがあった。
他人と接すること、集団の中で振る舞うことが難しいようで、中学2年生で不登校になった。
だけどまた学校に来るようになって、彼はどんどん変わっていった。
顔つきが優しくなり、コミュニケーションも上手くなり、金属結合的な強さを持てるようになったのかなと思っている。
同窓会で会った彼の写真を見せると、私の母は「まるで別人だね」と驚いていた。

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