FFXIV Original Novel: Paint It, Black #1
1.
「ぎゃっ……!」
剣の閃きで、人間の喉から血液と同時に言葉にならぬ断末魔が漏れ出た。
山賊と思しき汚らしい獣皮を纏った男たちが、ろくに手入れもされていないような刃物を振り回して商人たちを殺していく。
その日、高地ドラヴァニアの空は厚い雲に覆われていた。降雨こそないものの、昼間でも暗く感じられるほどだ。ここは霊峰ソーム・アルの北側であった。そのような荒れ地の付近に集落などもなく、ここには山賊と商人以外に人間の姿はなかった。当然ながら彼らを見咎める衛兵など存在しない