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2019.8.17 これまでのおさらい

歌声紀行をはじめてから半年経ちます。
倍音への気づきから始まって、この半年で主に3つのキーワードが浮かび上がってきました。

1、倍音
2、純正律
3、身体性

自分自信のが抱える「なぜ?」に対して掘り下げた結果、この3つを今後も掘り下げて行くことになりそうです。
言葉を音にした時の自分自信のジレンマを克服する作業は、音楽そのものへのアプローチでもありました。
もしかしたら、僕はこれまでで一番アートをしているのかもしれない。
何かを少しずつ作り上げて行く感覚、、、何もなかったところに輪郭が帯びはじめている感覚。
芸術は、、爆発だ、、
そう言ったあの人の気持ちが少し分かる気がします。

さて、この半年のキーワード3つに至った成り行きを簡単にまとめてみます。

【倍音の考察の成り行き】
TSUTAYA代官山店のCDコーナーでケイシー・マスグレイブスの声を聞いて、、んんん??となった。
(店員さんに尋ねたら、グラミーノミネートのコンピレーションアルバムに入ってるとのことで、グラミーを掲げるきっかけにもなりました。)

まず、声の中にオクターブ上の音が聞こえる??ということに気がつく。

知っていたけどよく理解していなかった倍音という言葉が浮かんだ。

倍音を調べた。

ヘルマン・フォン ヘルムホルツの音近親理論によると、声や音は、基本の音程(基音)となる整数倍の周波数を保有しているらしい。

2倍音に当たるのが、オクターブピッチの声だということがわかる。
つまり、基音や2倍音が強調される様な声が、僕の中でのいい声の定義の一つだと理解できた。
好きなボーカリストや、これまで世界に名を残してきた歌い手を聞いてみると、確かな共通点を感じる。
基音が聞こえやすい、メロディーが曲として良く聞こえる。

また、整数倍音の基音(1倍音2倍音)と3倍音5倍音がメジャーコードになると言うことの理に感動。
整数倍音自体がドレミファソラシドを全て保有するという感動を味わう。

【純正律についての成り行き】
倍音を調べて行く過程で、和音の成り立ちを知ることができて、基音に対する相対的な和音の純粋なハーモニーの存在を知る。それが純正律というものだった。

もしかして、、そう思い、試す。
1、基音をルート音する
2、メロディーをハーモニーとする
3、1と2を和音と見立てて純正律で合わせる。
4、コードチェンジ毎にそのハーモニーを作る

めまぐるしいけれど、、イメージしていると、これまでの霧が晴れていった。
頭の中のイメージで鳴っている音がそこにあった。

はたから見れば理詰め、、窮屈そうで限定的なハーモニー、、、しかしその中で感じるのは、針の穴のごとき狭き門を通過した後の、音の広がりという自由さだった。

そのなかで、倍音自体の和音の構成が純正律なのでは?ということに気がつく。ハーモニーの基礎は倍音構成にあり、その倍音構成は純正律そのものだということを知る。
音楽が他の芸術と違うのは、それ自体が自然科学そのものであり、だからこそ直感的に誰もが楽しめる「音学」ではなく「音楽」と書くのかもしれない。
そう思うと、もっと音を知りたくなって、学ぶことが喜びに変わるのだった。

【身体的な歌についての成り行き】
声という楽器を育てることは、僕の音楽史そのものでもある。天才ではなかったが故の歌の旅だ。

自らの声という船に乗り、音楽という大海原へ漕ぎ出して早20年。なんとか嗅覚で船を漕いできたが、やっと地図らしきものを見つけ、天体を観測して方位を導く様な旅へと変化してきている。

しかし目指す方向がわかったからといって、地図を手にしたからといって、目的地へたどり着けるとは限らない。これまで以上に音楽の波を自在に乗りこなす船が必要だ。

僕は今、島に立ち寄り、その船を作っている。
作っては漕ぎ出し、、また島に立ち寄り、、船をより良いものに作り変えて、そうやって旅を続けている。

1999年ころ)歌い始める→2007年頃)録音してみてがっかりする→ひたすら録音して、イメージしている音の出せているテイクをつぎはぎする→結局ライブではそのイメージ通りにいかないから、苦しむ→ほぼ自己流で10年やる→2017年頃)なかなかいい感じになっていたと思うがチューナーを当ててみると自分の声の不安定さに愕然とする→体の様々を使い発声し書き留め、見える化していく→2019年)空気の圧力と発生源となる体の関係の考察に至る。


長くなりましたが、3つの成り行きを簡単にまとめるとこんな感じです。
面白いのは身体性⇨倍音⇨身体性⇨純正律⇨身体性、とぐるぐると相関して考察が進んで行ことです。

そして何よりも、音楽の懐にいる心地がうれしく、それをシンガーソングライターの表現とともに育てて行くことが、一つのアートになりつつあるのかもしれない。



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