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窓越しの世界・総集編 2019年3月の世界

3/1【認識していないこと】
何度も歩く道なのに、歩道橋の存在に気がつかなかったりする。

毎日通っているのに、あれ?こんな家あったっけ?とか思うこともある。

心当たりのない傷がギターについていたり、いつのまにかすごく長い白髪が生えていたりもする。

この目に捉えてはいるけれど、認識していないこと。

世界は、そんなものばかりだと思う。

3/2【問題とは】
今夜は4.5時間のスタジオワーク。

夜風が気持ちよくで、家を通り過ぎてスーパーマーケットまで自電車で足を伸ばした。

夕食はおにぎり、ローストビーブ、赤ワイン。
期待半分だったスーパーのローストビーフが想像以上。

最近は、スタジオでも、スーパーでも、自転車に鍵をかけないことが多いけれど、
きっといつか盗まれたりして後悔するのだろう。

問題ないと思っていることが、実は問題だったりする。

赤ワインが想像以上に美味しくて飲みすぎてしまったことも、同じく。

3/3【真面目】
まだまだいい響きがあるって、そう思いながら歌ってはいたけれど、それとこれとは別で、歌はどうしたった歌なのだった。

なんだかやけに真面目でいることに、嫌気がさす時だってある。

それでもやっぱり、自分に落第点を出せるのは、自分しかいなのだし、真面目以外の何物も、自分をそこから這い上がらせてくれるものはない。

3/4【人目に触れることで】
二日目の雨。
スタジオにも出かけられないから、もっぱらデスクの前で歌について考えた。

考えて、実践して、それを書き出すまではこれまでと同じだけれど、違うのは人目に触れるということだ。

人目に触れることで成熟していく思考もあるのだ。

3/5【強制的な時間】
昨日までの湿度のせいで、車の調子が悪い。

JAFを待つ間の1時間半、予定が狂ったけれど、なんだか特をした気がした。

天気がいいし、少し歩いてコンビニでコーヒーを買った。
二日ぶりの晴天を満喫。

1時間以上は来ないだろうから、部屋へ戻ってギターを手に取り、歌の考察をした。
やっぱり忘れていたことがあって、それを思い出すことができた。

強制的に作られた隙間の時間。

なんだか授業が休講になったときの、あの感覚。

3/6【見られているということ】
お知らせもせずに始めたブログ。
すでにいくつか投稿していて、何処かの誰かが見ている。

これまで通りノートはぐちゃぐちゃだ。
毎日毎日、部活動みたいなものだけれど、
人生の中で、一番上達した日々って、部活動だったと思う。

顧問がいて仲間がいて、切磋琢磨する。

見られているということはとても重要で、もう一歩だけ踏み込むきっかけにもなる。

3/7【おばあさんの荷物】
階段の下で途方に暮れているお婆さん。
きっとその一段一段に、命を削るくらいの感覚なのだろう。

自分の力ではどうしようもない時というのは確かにあって、そんな時の気持ちはよくわかる。

昔、池袋の病院から駅までをビルにもたれかかるようにして歩いたことがある。
風邪と腰痛がダブルパンチで、一歩一歩にずべてを捧げないと歩けなかった。

駅にたどり着いてからのことは覚えていない。晴れた日の午後だった。
池袋線で入間まで帰ったのは確かだ。
その日、普段何気なく歩いていることが、奇跡に思えた。

さっき、僕はおばあさんの荷物を持って階段を上がった。
軽くはなかったけれど、片手で楽に運べた。

「その荷物、ものすごく重いんです」

そんなおばあさんの言葉が、とてもずっしりと感じた。

3/8【夜は赤ワイン】
八百屋でカリフラワーとパクチーを買う。
郵便局に寄って、タワーレコードにCDとレコードを発送。ゆうメールでレコードが送れなくなったので、送料は500円。
利益の半分は送料に消えた。

帰り道、いつの間にか舗装されている道路に気がつく。

角のコインパーキングのアスファルトが日に日に剥離され、多分もうすぐ建売住宅になるのだろう。

梅の花も見頃を随分すぎて、僕の装いも少しずつ変わっていく。

今夜は、生のカリフラワーとパクチーのサラダ。
ピーナッツを砕いて和えて、塩、コマ油、バルサミコ酢で味付け。
そして、相変わらず夜は赤ワイン。

3/9【自然体を保つ】
自分のことは自分で見れない。

久しぶりに鏡をみると、歌っている自分の顔がひどいことになっている。

良いものは、常に自然体なのだ。

自分を改良しながらも「自然体」それだけは保ち続けていることが必要。

3/10【本番が教えてくれること】
カメラがを向けられると、どんな顔をしたら良いかわからなくなる。

それと同じで、いったい自分がどんな風に声を出していたのか?途端にわからなくなる時がある。

それが本番だ。

そして、その時にできないことは、自分のものになっていない。

本番はそれを教えてくれる。 

3/11【あっけなく】
知らず知らずに、変わっていくものだ。

もちろん変わらないこともあるけれど、変わっては欲しくなかったことほど、あっけなく。

本当にあっけなく、変わってしまうのだ。

3/12【時は進む】
歌い始めると、さっきまでドタバタ遊びまわって居たトトが静かに腰を下ろした。

足元の毛布でじっとしているトトは、何を思っているのだろうか。
早く終わらないかな。とか、良い歌だなとか。何かしらがその小さな頭の中を巡るのだろうか。

何かを思っている自分を考えたり、そんな風に考えることを止めようと思ったり。
一心だったり、無心だったり。

そんな風にして、時は進む。

3/13【記憶の中の寂しさ】
夜になって外へ出ると、思っていたよりも寒い。

もう冬の寒さではないけれど、なんだか寂しくなる寒さ。

寂しいことなんて何もないのに、僕は何に対してそんなに寂しくなっているのだろうか。

それは多分、記憶の中の今日みたいな風の日の夜に、僕はとても寂しかったのだと思う。

3/14【37歳最後の日】
僕は、僕ではないものになりたい。

僕だと疑わしくなるくらい、僕は僕に驚かせてもらったり、感動をもらいたい。

今日、僕は、僕でないものの入り口に立った。

僕でないようで、やっぱり僕だということが、何より嬉しかったんだ。

37歳最後の日。

3/15【38歳、青二才】
知っている街の、知らない店や、知らない路地を訪ねた。

どこか遠くに来た気がして、旅はいつでもできるのだと思った。

新たしい体験は人を成長させてくれる。

そして人は、必要に迫られた時にしか、本気で動けない。

だから、動け!

未熟でも、未完成でも、動き続けろ。

38歳、青二才。

3/16【明日は明るい】
本当の姿をさらすということが、僕を強くしてくれる。

自分はこうだよ!って言えるということはなんて健全なのだろう。

すっぴんを見つめることから逃げなければ、明日は明るい。

3/17【網棚の上の】
今夜は、気分が良かった。
たくさん歌えたし、歌の成長が自分でもわかって、良い試合をしたあとみたいだった。

僕はもう、歌を歌うしかないのだから、それを育てていくことに邁進する自分のことが好きになっている。
そして、今はどうにもならない沢山のことを知っていてもなお、一歩ずつ歩みを進める楽しさを噛み締めていた。

冷たい夜風も心地良く思えるのは、悩んだ挙句着こんできたダウンのおかげだし、季節外れの大きすぎるマフラーも、竹繊維のマスクも、丁度良かった。

日曜の終電車はガランとしていて快適だし、全てが順調だと思っていた矢先、ふと、手荷物が軽い。

あー、と思った瞬間にはもう遅い。

いつかは、ギターを置きっぱなしにしてしまったこともある。

今夜は、網棚の上の、日本酒。

3/18【日本酒との再会】
朝食に出たくなる朝がある。

暖かいコーヒーを飲みながらPCを開き、食事を待つ。
サーブをするウエイトレスの所作になんとなく気品を感じると、朝の時間が少し優雅になる。

PCの充電が尽きて、席を立つ。

郵便局やコンビニへ寄ってから、電車に乗った。

無事に日本酒と再会。

3/19【全ての始まり】
歩き出すと、きっとどこかでつまずく。

歩き出さなければ、怪我をすることもなかっただろう。

知っていれば、歩き出さなかったかも知れない。

でも、歩き出す前に、知っておくべきことなど、一つもないのだ。

真っ白で、真っ暗なところへ踏み出す一歩が、全ての始まりなのだ。

3/20【スタジオのロビー】
約束をしたわけではないのだけれど、落ち合って談笑している。

スタジオのロビーなのだから、僕らの目的は一つだ。

そのことが嬉しくて、僕らは心を通わせることができる。


3/21【心を打つものとは】
風がたくさん吹いて、雲を吹き飛ばし光を運んできた。

どうやら、心を打つものというのは、衝撃が必要らしい。

静かな美しさであっても、その前には必ずそれがある気がするのだ。

3/22【吐き気にように込み上げてくる、愛しさと切なさ】
いったいどれだけの歌を車の中で歌っただろうか。

車は5台目だ。

僕はこの街道を、もう10年以上往来している。
お金も時間も、思い出も、全てこの道に刻まれている。

この街道の隅々には、吐き気のように込み上げてくる愛しさと切なさがある。

3/23【角の蕎麦屋】
自転車だときつい上り坂も、話しなが歩けばなんてことない坂道だった。
夜はまだまだ冷えるから、大判のマフラーが丁度良い。

角の蕎麦屋を覗き込むと、旅情をくすぐられる思いがして、今年の年越しそばはここにしようっと思った。

きっと想像通りの匂いがするだろう。
今年の年の瀬に、僕はどんな僕でいられるだろうか。

3/24【強さと弱さ】
弱さというのは、何よりも強い。

弱さの前で、強さはただただ虚しい。

そして、強さを知らなけれは、本当の弱さを知れない。逆も然り。

3/25【上空1万メールとから見れば】
かなり歩いてきたと思っていた。

上空1万メートルから見下ろしたら、それは同じ場所にいるように見える。

僕の歌の進み具合も多分そんなもの。

3/26【旅支度】
1日が終わるまで、歌もギターも手に付かない。

旅支度や、月末の経理、メールの返信。

ようやく全てが片付いて、これから歌おう。
荷造りを終えた玄関を見て思う。

明日、僕は本当にこれで出発できるのだろうかと。

3/27【目を凝らしてみれば】
離陸の角度、飛び立つまでの距離、スピート。

飛び立つ飛行機のどれもが少しずつ違う。

僕も、君も、あの子も、あの人も、やっぱり少しずつ違うんだ。

目を凝らしてみれば、何もかも。

3/28【子供の頃の僕に】
僕は自分のことを知っている。
誰にも言わない秘密や、心の底で思いたくもないことを思っている。

子供の頃の僕は、決して今の僕を許さないだろう。

でも、こんな僕でも、僕を好いてくれている人がいて、
僕はその人を信じているから、僕は僕を好いていようと思う。

そして、子供の頃の僕に、もう一度好いてもらえるような自分に帰ろうと思う。

車窓からの景色が、僕にそう思わせてくれた。

3/29【僕はまだ生きていた】
昔の僕は怒っていた、聞く気のない奴は帰れって、この場にいないでくれって思っていた。

そんなふうに思うことって、自分が一番傷つく。
傷つきたくないからさ、いつからかそんな風に思うのをやめた。
一生懸命やって傷つくことから遠ざかるようになっていった。

大人になるふりをして’、’ふり’’のつもりが、いつの間にかただ感情を押し殺すだけの大人になった。

今日、久しぶりにそんな気持ちがよぎった。
なんだかすごく懐かしくて、苦しかった。

僕はまだ生きていた。

3/30【僕の疾患】
僕は何か悪いことが起きると、真っ先に人のせいにしようとする。

そして、最終的に、やっぱり自分のせいだと思うことにしている。

疑うということは、一番嫌いな感情だ。

僕の性は一つ、そんな疾患がある。

3/31【嘘は時に】
胸を張って会えたのは、僕が自分に正直であれたからだと思う。

もちろん、嘘をついていることだってある。

それを嘘だと言えるのは、僕だけだ。

嘘は、言わなければ嘘ではない。

でも、僕はいくつも嘘をついている。

嘘は時に残酷で、嘘は時に優しい。

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